提供 http://www.athome.co.jp/takken/kaitou/2001/kaitou.html#030 アットホーム株式会社 業務推進室 研修教育・団体事業グループ  TEL 03-3580-7063     平成4年 [問 35] 宅建業者の意味(免許がいるか) 宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aがその所有地にマンションを建築して、一括してBに売却し、Bが新聞広告により各戸の入居者を募集して賃貸する場合、A及びBは、ともに宅地建物取引業の免許を必要とする。 (2)Cがその所有地をDに請け負わせて一団の宅地に造成して、宅地建物取引業者Eに販売代理を依頼して分譲する場合、Cは、宅地建物取引業の免許を必要とするが、Dは、宅地建物取引業の免許を必要としない。 (3)Fが一団の土地付住宅を分譲する場合、Fは、宅地建物取引業の免許を必要とするが、その分譲が公益法人のみを対象として行うものであるときは、相手方が多数の公益法人であっても、Fは、宅地建物取引業の免許を必要としない。 (4)学校法人Gがその所有地を一団の宅地に造成して分譲する場合、Gは、宅地建物取引業の免許を必要とするが、宗教法人Hがその所有地を一団の宅地に造成して分譲する場合、Hは、宅地建物取引業の免許を必要としない。 平成4年 [問 35] 正解(2) (1)誤り。免許を必要とするには、「取引」と「業」の両方に該当しなければならない。AがBにマンションを売却する行為は「取引」には当たるが、一括して売っているので「業」に当たらない。Bの行為は、自らの貸借なので「取引」当たらない。従って、A及びBは、ともに免許を必要としない。 (2)正しい。CがEに販売代理を依頼して分譲する行為は、自らの売買ということで「取引」に当たり、分譲してもらうというのだから「業」にも当たる。Dの行為は宅地造成の請負だから「取引」に当たらない。従って、Cは免許を必要とするが、Dは免許を必要としない。 (3)誤り。Fの行為は、自らの売買ということで「取引」に当たり、分譲ということで「業」にも当たる。その分譲が公益法人のみを対象として行うものなので、不特定性に欠け、「業」に当たらないのではないかとの疑問も生じるが、業に当たる。公益法人は何万種類もあるから、会社が従業員のみを対象に工場跡地を分譲する場合と同列には論じられない。 (4)誤り。Gの行為は、自らの売買ということで「取引」に当たり、分譲ということで「業」にも当たる。Hの行為も、自らの売買ということで「取引」に当たり、分譲ということで「業」にも当たる。宗教法人であるということで免許不要という例外規定はない。 平成4年 [問 36] 取引主任者(登録を受けられない者) 次の者のうち、宅地建物取引主任者資格登録(以下「登録」という)を受けることができないものはどれか。 (1)A−宅地建物取引業に係る営業に関し、成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人甲が3年前に建設業法違反で過料に処せられている。 (2)B−3年前に乙社が不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとしてその免許を取り消されたとき、乙社の政令で定める使用人であった。 (3)C−6月前に丙社が宅地建物取引業法に違反したとして1年間の業務停止処分を受けたが、その丙社の取締役であった。 (4)D−3年前に丁社が引き続き1年以上宅地建物取引業を休止したとしてその免許を取り消されたとき、その聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に、丁社の取締役を退任した。 平成4年 [問 36] 正解(1) (1)登録を受けることができない。成年者と同一の能力を『有しない』未成年者というだけで、登録欠格事由である。その法定代理人の前歴が問題になるのは、成年者と同一の能力を有しない未成年者が宅地建物取引業者の『免許』を受ける場合である。 (2)登録を受けることができる。『免許取消しを受けた者が法人(乙社)である場合、免許取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に、その法人の役員であった者は、法人の免許取消しの日から5年間、登録を受けられない』。しかしCは、聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内の『役員』ではない。 (3)登録を受けることができる。会社が監督処分を受けた場合に、その役員が登録欠格者となるのは、会社が受けた監督処分が『免許取消し』の場合である。業務停止処分の場合は含まれない。 (4)登録を受けることができる。免許取消しを受けた者が法人である場合、聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内の役員は5年間登録を受けられない。しかし、これが適用されるのは、法人が積極的に悪いことをして免許を取消された場合(不正手段による免許取得・業務停止事由に該当し情状が特に重い・業務停止処分違反)に限る。引き続き1年以上宅地建物取引業を休止したとしてその免許を取り消されたときは、適用されない。 平成4年 [問 37] 複合問題 宅地建物取引業者Aは、建売住宅の分譲を行うこととし、昨年10月1日開発許可を受けて、同年12月1日宅地造成工事を完了し、今年2月1日建築確認を受けたが、同年4月1日現在工事は完了していない。この場合において、次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (1)Aが、宅地建物取引業者Bの強い希望に基づき、開発許可が下りた後の昨年11月1日、建築確認の取得を条件として土地付住宅の売買契約をBと締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。 (2)Aが、今年1月1日、「宅地造成完了、建築確認申請済」と表示した広告を出して、その広告を見た宅地建物取引業者でないCと、建築確認後の同年3月1日土地付住宅の売買契約を締結した場合、宅地建物取引業法に違反しない。 (3)Aが、今年2月15日「建物の形状・構造については、工事が完了した後に説明する」と重要事項説明を行って、同年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者でないDと締結した場合、宅地建物取引業法に違反する。 (4)その土地がEの所有地であったので、Aが、Eと昨年9月1日停止条件付き売買契約を結び、条件未成就のまま今年3月1日土地付住宅の売買契約を宅地建物取引業者Fと締結した場合、宅地建物取引業法に違反しない。 平成4年 [問 37] 正解(2) (1)正しい。業者は、宅地の造成または建築工事の完了前においては、その工事に関し必要とされる許可等の処分(開発許可・建築確認)があった後でなければ、売買・交換契約にたずさわってはならない。契約締結時期の制限である。本肢では、昨年11月1日現在、建築確認を取得していないのだから、土地付住宅をBに売却することはこの規定に違反する。 (2)誤り。業者は、宅地の造成または建築工事の完了前においては、その工事に関し必要とされる許可等の処分(開発許可・建築確認)があった後でなければ、広告をしてはならない。広告開始時期の制限である。本肢では、今年1月1日現在、開発許可は取得したが、建築確認は取得していないのだから、広告することはこの規定に違反する。 (3)正しい。今年2月15日現在、本件住宅は未完成である。未完成の建物については、工事完了後の『建物の形状・構造』を重要事項として説明しなければならないのに、この義務を怠っているから、業法に違反する。 (4)正しい。まず、自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限の規定には違反しない。この規定は買主が業者の場合には適用がないからである。次に、今年3月1日現在、開発許可と建築確認を取得しているので、契約締結時期の制限にも違反しない。 平成4年 [問 38] 複合問題 宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という)と宅地建物取引主任者証(以下「取引主任者証」という)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)取引主任者の業務を行うため、取引主任者証の交付の申請をしようとする者は、その交付の申請前に宅地建物の取引に関する実務経験が2年以上あれば、都道府県知事の指定する講習を受講する必要はない。 (2)取引主任者が転勤して、登録の移転の申請をした場合、その移転後の取引主任者証の有効期間は、登録の移転の申請の日から5年となる。 (3)取引主任者が宅地建物取引業者である場合において、宅地建物取引業を廃止したときは、取引主任者は、速やかに、その登録をしている都道府県知事に取引主任者証を返納しなければならない。 (4)取引主任者が氏名を変更して、変更の登録の申請をする場合、取引主任者は、常にその申請とあわせて取引主任者証の書換え交付の申請をしなければならない。 平成4年 [問 38] 正解(4) (1)誤り。実務経験が2年以上あっても、主任者証交付のための講習は免除されない。2年以上の実務経験によって免除されるのは、登録の際の講習である。 (2)誤り。登録を移転したときの新主任者証の有効期間は、従前の主任者証の有効期間の残存期間である。 (3)誤り。主任者証を返納しなければならないのは、登録を消除されたとき、または、取引主任者証が効力を失ったときである。宅建取引業を廃止しても主任者証を返納する必要はない。 (4)正しい。氏名は登録事項だから、主任者が氏名を変更したときは変更の登録を申請しなければならない。また、主任者の氏名は主任者証の記載事項でもあるから、変更の登録の申請とあわせて、主任者証の書換え交付の申請をしなければならない。例外はない。 平成4年 [問 39] 契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者AがBの所有する宅地の売却の依頼を受け、Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、媒介契約の内容を記載した書面を作成して、Bに交付しなければならないが、この書面には、取引主任者Cの記名押印が必要である。 (2)BがAに支払う報酬については、売買契約が成立しないと確定しないから、媒介契約を締結する際には、報酬に関する事項を定めなくてもよい。 (3)この媒介契約が専任媒介契約であるときは、その有効期間は3月を超えることができないが、有効期間が満了して、Bの更新拒絶の申出がないときは、媒介契約は更新されたものとみなされる。 (4)この媒介契約が専属専任媒介契約であるときは、Aは、契約の相手方の探索については、国土交通大臣の指定する流通機構に当該宅地を登録することにより、行わなければならない。 平成4年 [問 39] 正解(4) (1)誤り。媒介契約の内容を記載した書面には、取引主任者の記名押印は不要である。業者が記名押印すればよい。 (2)誤り。媒介契約書には、常に、報酬に関する事項を定めなくてはならない。 (3)誤り。専任媒介契約の有効期間は3ヵ月を超えることができない。そして、例えば3ヵ月の有効期間が満了した場合、専任媒介契約の有効期間は、『依頼者の申出』があったときに限り、更新される。本肢のように自動更新されるよう なことはない。 (4)正しい。専属専任媒介契約の場合、相手方の探索については、国土交通大臣の指定する流通機構に、契約締結の日から5日以内(休業日は算入しない)に登録することにより行う必要がある。 平成4年 [問 40] 契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものは、どれか。 (1)取引物件が工事完了前の土地付建物であったので、完了時の形状・構造については説明したが、当該物件に接する道路の幅員については説明しなかった。 (2)水道、電気及び都市ガスは完備、下水道は未整備と説明したが、その整備の見通しまでは説明しなかった。 (3)取引(売買)物件が区分所有建物(建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物をいう)であったので、その建物の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約が定められていることは説明したが、その内容は説明しなかった。 (4)取引物件の登記簿の表題部に記載されている所有者の氏名については説明したが、移転登記の申請の時期については説明しなかった。 平成4年 [問 40] 正解(4) (1)違反する。取引物件が工事完了前の土地(土地付建物)である場合、その物件に接する道路の幅員は、説明が要求されている重要事項である。 (2)違反する。水道等が未整備である場合、その整備の見通しは、説明が要求されている重要事項である。 (3)違反する。取引(売買)物件が区分所有建物である場合、その建物の一部を特定の者にのみ使用を許す規約の定めがあるときは、規約が定められていることだけでなく、その規約の内容も、説明が要求されている重要事項である。 (4)違反しない。その宅地・建物の上に存する登記された権利の種類・所有者の氏名等は、説明が要求されている重要事項である。しかし、『移転登記の申請時期』は、説明が要求されている重要事項ではない。なお、移転登記の申請時期は、37条書面の記載事項ではある。 平成4年 [問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地建物取引業者でないBとマンション(工事完了済)の売買契約(価格 4,500万円)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものは、どれか。 (1)Aは、Bから手付金 400万円及び中間金 2,000万円を受領し、中間金については、銀行と保証委託契約を締結して、その契約を証する書面をBに交付したが、手付金については、何ら保全措置を講じていない。 (2)Aは、Bから手付金 600万円を受領するに当たって、半額については銀行と保証委託契約を締結し、また、残りの半額については友人を連帯保証人として、それぞれの契約を証する書面をBに交付した。 (3)Aは、Bから手付金 900万円を受領するに当たって、銀行と保証委託契約を締結し、その契約を証する書面をBに交付したが、その後Bへの所有権移転登記を行ったので、当該保証委託契約を解約した。 (4)Aは、Bから手付金 1,000万円を受領するに当たって、銀行と保証委託契約を締結し、その契約を証する書面をBに交付したが、その後当該マンションを 6,000万円で買いたいというCが現れたので、 2,000万円をBに支払って、Bとの売買契約を解除した。 平成4年 [問 41] 正解(3) (1)違反する。工事完了後は代金額の10%超または1,000 万円超を受領しようとする前に、手付金等の保全措置が必要となる。本肢では手付金と中間金で 2,400万円を受領したのであるから、その前に保全措置が必要となる。保全措置が必要である以上、手付金等の全額(2,400 万円)について保全しなければならない。従って、手付金 400万円について保全措置を講じていないAは、業法に違反する。 (2)違反する。600 万円は代金額の10%超であるから、保全措置が必要となる。ここに保全措置とは、銀行・保険会社・指定保管機関に万一の場合の後始末を頼むことであり、友人に頼んだのではダメである。 (3)違反しない。900 万円は代金額の10%超であるから、保全措置が必要となるのが原則だが、買主がその物件の登記を得た場合は、保全措置が不要となる。従って、その後保証委託契約を解約しても、業法に違反しない。 (4)違反する。業者が自ら売主となり買主が非業者の場合だから、AがBから手付金1,000 万円を受領する行為自体が、手付金の額の制限(代金額の20%まで、本問では 900万円まで)に違反する。 平成4年 [問 42] 複合問題 宅地及び建物の売買の媒介における、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面(以下この問において「35条書面」という)及び第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面(以下この問において「37条書面」という)の交付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)買主が宅地建物取引業者である場合、35条書面の交付は省略することができるが、37条書面の交付は省略することができない。 (2)35条書面の交付は契約締結前に、37条書面の交付は契約締結後に、いずれも売主買主双方に対して、行わなければならない。 (3)35条書面の交付及び37条書面の交付ともに、その交付をする前に、その内容を取引主任者をして説明させなければならない。 (4)買主が宅地建物取引業者でない場合、35条書面の交付及び37条書面の交付は、ともに、事務所以外の場所で行ってもよいが、当事者の承諾があっても、省略することはできない。 平成4年 [問 42] 正解(4) (1)誤り。35条書面の交付義務及び37条書面の交付義務は、ともに、買主が業者である場合にも省けない。これらは8種規制ではないからである。 (2)誤り。35条書面の交付は契約締結前に、37条書面の交付は契約締結後に行う必要がある。しかし、35条書面の交付は買主(となろうとする者)に対して行い、37条書面の交付は売主買主双方に対して行う。 (3)誤り。取引主任者の説明が必要なのは、35条書面であり、37条書面は不要である。 (4)正しい。買主が業者であろうがなかろうが、35条書面の交付及び37条書面の交付は、ともに、事務所以外の場所で行ってもよい。また、両者ともに、当事者(相手方等)の承諾があっても、その交付を省略できない。従って、正しい。 平成4年 [問 43] 担保(営業保証金) 宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者は、主たる事務所と従たる事務所を設けて営業を行うことについて免許を受けた場合、主たる事務所について営業保証金を供託し、その旨を届け出ても、従たる事務所の営業保証金を供託し、その旨を届け出ない限り、主たる事務所で営業を開始してはならない。 (2)宅地建物取引業者は、一団の宅地を分譲するため、専任の取引主任者を設置すべき案内所を設けた場合、その業務を開始するまでに、その案内所に係る営業保証金を供託し、その旨を届け出なければならない。 (3)宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に関し不正な行為をしたため、免許を取り消されたときは、その営業保証金を取り戻すことができない。 (4)宅地建物取引業者が免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしない場合において、その情状が重いときは、その免許をした国土交通大臣又は都道府県知事は、届出をすべき旨の催告をすることなく、その免許を取り消すことができる。 平成4年 [問 43] 正解(1) (1)正しい。新たに宅地建物取引業を営もうとする場合は、主たる事務所のもよりの供託所に(すべての事務所分の)営業保証金を供託し、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、事業を開始できない。「事業を開始できない」とは、すべての事務所で事業を開始できない、という意味である。 (2)誤り。営業保証金供託の対象となるのは、事務所であり、案内所は含まれない。 (3)誤り。免許を取り消されたときでも、その営業保証金を取り戻すことができる。営業保証金の取戻しは、営業保証金を供託しておく必要がなくなった場合にするものである。免許を取り消されれば営業できないのだから、営業保証金を供託しておく必要がない。従って、取り戻すことができる。 (4)誤り。業者が免許を受けた日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしない場合は、その届け出をするよう催告し、それでも届け出をしないときでなければ、免許を取り消せない。情状が重ければ催告がいらないということはない。 平成4年 [問 44] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション(価格1億 7,000万円)の売買契約を宅地建物取引業者でない買主Bと締結した場合の特約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものは、どれか。 (1)手付は、 1,500万円としたが、Bが一括しては払えないというので、 500万円ずつ3回に分割して支払うこととした。 (2)手付は、契約の成立を証するものとして30万円とし、Bの契約の解除については、この他に 1,000万円を支払わなければ、することができないこととした。 (3)手付は、解約手付として 3,000万円とし、Aが契約の履行を完了するまでは、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができることとした。 (4)AB双方の債務不履行による契約の解除に関し、違約金については 2,500万円とし、別に損害賠償額の予定として 1,000万円とすることとした。 平成4年 [問 44] 正解(3) (1)違反する。手付金を分割払いにさせることは、手付けについて信用を供与したことになる。従って、『業者は、その業務に関して相手方等に対して、手付けについて貸付けその他信用を供与することにより、契約の締結を誘引する行為をしてはならない』という規定に違反する。 (2)違反する。Aは自ら売主であり、Bは業者でないから、この手付金30万円は、たとえ契約の成立を証するものとして(証約手付として)授受されたとしても、解約手付となる。解約手付となった場合、買主はその手付(30万円)を放棄するだけで契約を解除でき、それに反する特約で買主に不利なものは無効となる。「30万円の他に 1,000万円を支払わなければ解除できない」という約束は、買主に不利である。従って、業法に違反する。 (3)違反しない。まず、手付額 3,000万円は代金額の20%以内だから業法に違反しない。次に、解約手付による解除は、相手方(A)が『履行に着手するまで』に行う必要があるが、Aが契約の「履行を完了するまで」は解除できる旨の特約は、買主に有利な特約だから、有効である。従って、業法に違反しない。 (4)違反する。損害賠償や違約金を定めるときは、これらを合算して、代金額の20%を超えることとなる定めをしてはならない。合算額 3,500万円は20%を超えている。従って、業法に違反する。 平成4年 [問 45] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが自ら売主として買主Bと事務所等以外の場所で売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (1)Aが宅地建物取引業者でないBとマンションの売買契約を喫茶店で締結した場合、Bは、「事務所等以外の場所で契約をしても、解除できない」旨の特約をすることを承諾していても、当該契約を解除することができる。 (2)Aが宅地建物取引業者でないBとマンションの売買契約を知人宅で締結した場合、翌日Bが解約通知を契約書記載のAの住所に配達証明付内容証明郵便で発送すれば、転居先不明で戻ってきても、当該契約は、解除されたことになる。 (3)Aが宅地建物取引業者でないBと別荘地の売買契約をテント張りの現地案内所で締結した場合、Aが土地の引渡しと移転登記を完了すれば、Bは、代金の一部が未済でも、当該契約を解除することができない。 (4)Aが宅地建物取引業者Bを現地に案内したところ、Bが即座に購入を決め、近くの料理屋で土地の売買契約を締結した場合、翌日Bの意思が変わっても、Bは、当該契約を解除することができない。 平成4年 [問 45] 正解(3) (1)正しい。いわゆるクーリングオフの問題であるが、要件を満たす(売買契約を喫茶店で締結した)以上、クーリングオフは無条件でできる。従って、契約解除(クーリングオフ)できない旨の特約は無効であり、依然として解除できる。 (2)正しい。クーリングオフの効力が生じるのは、買主が書面(解約通知)を発信した時である。従って、転居先不明で戻ってきても、その契約は、発信時に解除されていたことになる。 (3)誤り。テント張りの現地案内所でした契約は、後日クーリングオフできる。もっとも、買主が宅地・建物の引渡しを受け、かつ、『代金全額』を支払った場合には、クーリングオフ出来なくなる。しかし本肢では、Bは土地の引渡は受けているが、代金の一部が未済だから、まだクーリングオフできる。  (4)正しい。クーリングオフ制度は8種規制であり、買主が業者の場合には適用がない。したがって、Bは、その契約を解除することができない。 平成4年 [問 46] 複合問題 Aがクレジットカードを使い過ぎて破産した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、破産の復権を得ない限り、宅地建物取引主任者資格試験を受けることができない。 (2)Aが甲県知事の登録を受けた取引主任者である場合、Aは、破産の日から30日以内にその旨を、また、復権したときは速やかにその旨を、甲県知事に届け出なければならない。 (3)Aが乙県知事の登録を受けた取引主任者である場合において、Aが破産の届出をしないときは、乙県知事は、Aの破産の事実を知ったとき、聴聞をするまでもなく、Aの登録を消除しなければならない。 (4)Aが、破産の復権を得ない限り、Aは、宅地建物取引業の免許を受けることができず、また、Aが他の宅地建物取引業者B社の役員になったときは、B社は、免許を取り消される。 平成4年 [問 46] 正解(4) (1)誤り。「破産の復権を得ない」とは、まだ破産者であることを指す。宅建試験は、登録と異なり、破産者でも受けられる。 (2)誤り。取引主任者が破産した場合30日以内にその旨を登録権者に届け出る必要がある(死亡等の届出)。しかし、復権したとき(破産者でなくなったとき)は届け出などいらない。 (3)誤り。取引主任者が破産したときは、登録権者である乙県知事は、Aの登録を消除しなければならない。しかし、釈明および証拠の提出の機会を与えるため、登録を消除するには、原則として、聴聞を行う必要がある。 (4)正しい。破産者は業者の免許を受けることができない。また、免許を受けた者が法人である場合に役員が破産者であれば、その法人の免許は取り消される。 平成4年 [問 47] 担保(保証協会) 甲は、今年2月1日に本店及び2箇所の支店を設置して宅地建物取引業の免許を取得し、営業保証金を供託のうえ業務を行っていたが、同年3月1日に宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という)の社員となって弁済業務保証金分担金を納付し、さらに同年4月1日に2箇所の事務所を増設し、弁済業務保証金分担金を追加納付した。その後、甲から同年2月15日に宅地の購入をしたAが、当該宅地の取引について 3,500万円の損害賠償債権が発生した(債権発生の日は5月31日)として、6月1日に保証協会に認証を申し出てきた。この場合、Aの認証に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)甲が保証協会の社員となる前の取引であるから、認証額は0円である。 (2)甲が納付した弁済業務保証金分担金相当額 180万円を限度として、認証を受けられる。 (3)甲が保証協会の社員でないとしたならば供託すべき営業保証金相当額 3,000万円を限度として、認証を受けられる。 (4)甲が保証協会の社員であるので、Aの損害賠償債権相当額 3,500万円の認証を受けられる。 平成4年 [問 47] 正解(3) (1)誤り。弁済業務保証金から還付を受けるには、保証協会の認証を受けることが必要である。お客さんは、業者が保証協会の社員となる『前』にした取引(2月15日に宅地の購入をしたこと)についても還付請求権を有するから、認証額が0円ということはない。 (2)誤り。還付請求権の限度額は、『その業者が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金に相当する額』である。6月1日現在、甲業者には本店1、支店4があるから、その業者が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金に相当する額は、1,000 万円+ 500万円×4= 3,000万円である。従って、Aは、3,000 万円を限度として認証を受けられる。 (3)正しい。(2)参照。 (4)誤り。(2)参照。 平成4年 [問 48] 複合問題 宅地建物取引業法に規定する名簿および証明書に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)国土交通大臣及び都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿をその閲覧所に備え、請求があったときは、一般の閲覧に供しなければならないが、この名簿には、宅地建物取引業者の業務停止処分の内容も記載される。 (2)取引主任者は、重要事項の説明をするときは、相手方の請求がなくても、取引主任者証を提示しなければならないが、この取引主任者証の表面には、取引主任者の勤務先も記載される。 (3)宅地建物取引業者は、その事務所に従業者名簿を備え、取引の関係者から請求があったときは、その閲覧に供しなければならないが、この名簿には、取引主任者の事務禁止処分の内容も記載される。 (4)宅地建物取引業者の従業者は、宅地建物取引業者の発行する従業者証明書をその業務中携帯し、取引の関係者から請求がなくても、提示しなければならないが、この証明書には、従業者証明書番号も記載される。        平成4年 [問 48] 正解(1) (1)正しい。業者名簿には、指示処分や業務停止処分の年月日・内容が記載される。 (2)誤り。主任者証の表面に記載されるのは、個人的な事項では、氏名と住所と生年月日だけである。だから、勤務先は記載されない。 (3)誤り。従業者名簿には、その者が取引主任者であっても、事務の禁止処分の年月日・内容は記載されない。(1)の業者名簿と逆の感じになっている。業者名簿は取引の関係者が閲覧することを主眼としているので、業務停止処分の内容等が記載されるのである。それに対し、従業者名簿は方は取引の関係者に閲覧させることよりも、むしろお上自身が業者の現状を把握したい点にウエイトが置かれているので事務の禁止処分については記載されない(記載されていなくても事務の禁止処分をしたのはお上だから知っている)。 (4)誤り。従業者証明書は業務中携帯しなければならないが、取引の関係者から請求があった場合にのみ、提示すればよい。取引主任者が重要事項を説明するときの主任者証とは違う。「従業者証明書には、従業者証明書番号も記載される」という点は正しい。 平成4年 [問 49] 複合問題 監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)宅地建物取引業者は、国土利用計画法の規定に違反して刑罰に処せられた場合、これに伴い、宅地建物取引業法の罰則の適用を受けることはないが、業務停止処分を受けることはある。 (2)宅地建物取引業者は、事務所に置かなければならない専任の取引主任者が退職して欠員を生じた場合、2週間以内に是正措置を講じないと、業務停止処分を受けることはあるが、罰則の適用を受けることはない。 (3)宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませた場合、その他人が宅地建物取引業の免許を受けた者であっても、罰則の適用を受けることがある。 (4)宅地建物取引業者でない者は、宅地建物取引業の免許を受けないで宅地建物取引業を営んだ場合はもとより、その旨を表示した場合も、罰則の適用を受けることがある。 平成4年 [問 49] 正解(2) (1)正しい。「国土利用計画法の規定に違反して刑罰に処せられた」とは、『業務に関し、他の法令に違反し、宅地建物取引業者として不適当であると認められる場合」である。この場合は、指示処分または業務停止処分の対象となる。しかし、罰則の適用はない。なぜか。他の法律(国土利用計画法)によって罰則が科せらた以上、改めて業法で罰則を科する必要はないからである。 (2)誤り。専任の取引主任者が欠けたのに2週間以内に補充等の是正措置を取らなかった場合は、業務停止処分の対象となる。罰則の適用もある(30万円以下の罰金)。 (3)正しい。名義貸しをして営業させた場合は、3年以下の懲役もしくは 100万円以下の罰金、またはこれらの併科となる。これは、業法上一番重い罰則である。免許制度を根底から覆したからである。この場合、名義を借りた者が免許を受けているかどうかを問わない。 (4)正しい。免許を受けないで宅建業を営めば無免許営業であり、無免許営業は(3)と同じく、業法上一番重い罰則である3年以下の懲役もしくは 100万円以下の罰金、またはこれらの併科となる。また、免許を受けないで宅地建物取引業を営む旨を表示すれば無免許営業の表示・広告の禁止に違反し、30万円以下の罰金に処せられる。 平成4年 [問 50] 公共性による規制(報酬額の制限) 宅地建物取引業者Aが単独で又は宅地建物取引業者Bと共同して、甲乙間に契約を成立させて報酬を受領した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法に違反しないものは、どれか。ただし、A・Bともに、消費税の免税事業者であり、消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないものとする。 (1)甲所有の宅地( 3,000万円)の売買について、甲から代理の依頼を受けたAと、買主乙から媒介の依頼を受けたBとが共同して、売買契約を成立させ、Aが甲から 192万円、Bが乙から96万円を受領した。           (2)甲所有の宅地( 1,800万円)と乙所有の宅地( 2,000万円)の交換について、甲から媒介の依頼を受けたAと、乙から媒介の依頼を受けたBとが共同して、交換契約を成立させ、Aが甲から66万円、Bが乙から66万円を受領した。  (3)甲所有の店舗用建物の賃貸借について、甲から媒介の依頼を受けたAが、甲と借主乙との間に、賃貸借契約(借賃月額40万円。保証金 1,500万円、ただし、この保証金は、乙の退去時に乙に返還するものとする。)を成立させ、甲から51万円を受領した。 (4)甲所有の居住用建物の賃貸借について、甲から媒介の依頼を受けたAと、借主乙から媒介の依頼を受けたBとが共同して、甲と乙との間に、賃貸借契約(借賃月額40万円)を成立させ、Aが甲から10万円、Bが乙から30万円を受領した。ただし、媒介の依頼を受けるに当たり、報酬額について別段の定めはないものとする。 平成4年 [問 50] 正解(2) (1)違反する。売買の媒介・代理を行う場合の限度額は、A・B合計で、取引価額×3%+6万円の2倍である。本肢の取引価額は、 3,000万円である(宅地は消費税及び地方消費税が非課税なので)。だから、A・B合計で (3,000 万円×3%+6万円)×2= 192万円までしか受領できない。それなのに本肢では、A・B合計で、 288万円もとっている。 (2)違反しない。交換は高い方が基準額となるので、本肢の取引価額は、 2,000万円である。媒介を行う場合の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円である。だから、AとBは各自、2,000 万円×3%+6万円=66万円まで受領できる(両者免税業者なので66万円に5%の消費税及び地方消費税は上乗せできない)。 (3)違反する。貸借の媒介を行う場合の限度額は、借賃の1ヵ月分(40万円)である。なお、本肢では、権利金の額を取引価額とみなして3%+6万を掛ける計算法は使えない。権利金とは、返還されないものでなければならないが、本肢の保証金は返還されるからである。 (4)違反する。『居住用建物の賃貸借の媒介』についての1業者当たりは、依頼者の承諾があるときを除き(本肢は報酬額について別段の定めがないから、「依頼者の承諾があるときを除き」に当たる)、借賃の1月分の2分の1(20万円)が限度額である。それなのに、Bは乙から30万円を受領してしまっている。 平成9年4月1日から消費税関係法の改正法が施行されており、一般に、消費税の税率は5%だと言われているが、これは、消費税(国税)4%と地方消費税(都道府県税)1%の合計が5%ということである。なお、この改正法によると、消費税の免税事業者でも、課税事業者の半分の消費税及び地方消費税(合計 2.5%)を受領できることになった。しかし、出題当時(平成4年)には関係のない制度なので、問題文には、「消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないものとする」という限定を加えた。     平成5年 [問 35] 宅建業者の意味(免許がいるか) 宅地建物取引業法の免許に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (1)Aがマンションの分譲を反復継続して行う場合、Aは宅地建物取引業の免許を要するが、Aの経営が悪化したのでBが売残りのマンション1棟を買い取り、販売の代理を他の宅地建物取引業者に依頼して不特定多数に売却する場合、Bは宅地建物取引業の免許を要しない。 (2)Cが都市計画区域外において山林を山林として反復継続して売却する場合、Cは宅地建物取引業の免許を要しないが、Dが原野を10区画に区画割して宅地として分譲する場合、Dは宅地建物取引業の免許を要する。 (3)Eが土地を10区画に区画割して駐車場として賃貸する場合、Eは宅地建物取引業の免許を要しないが、Fが駐車場ビル10棟を建設し、Gが媒介して1棟ずつ売却する場合、F及びGは宅地建物取引業の免許を要する。 (4)Hが競売物件である宅地を自己用として購入する場合、Hは宅地建物取引業の免許を要しないが、Iが営利を目的として競売物件である宅地を購入し、宅地建物取引業者を介して反復継続して売却する場合、Iは宅地建物取引業の免許を要する。 平成5年 [問 35] 正解(1)  (1)誤り。マンション分譲の反復継続は、「取引」と「業」に該当するので、Aは免許を必要とする。売残りのマンションを買い取り、販売の代理を他の業者に依頼して不特定多数に売却する行為も、「取引」と「業」に該当するので、Bも免許を必要とする(Bが他の業者に代理を依頼したことは無関係)。 (2)正しい。Cは、宅地を取引していない(都市計画区域外−つまり、用途地域外−の山林を山林として取引する場合、その山林は宅地ではない)ので、免許を必要としない。原野を区画割して宅地として分譲する行為は、「取引」と「業」に該当するので、Dは免許を必要とする。 (3)正しい。駐車場として賃貸する行為は、「取引」に当たらない(自らの貸借は業法上の取引ではない)ので、Eは免許を必要としない。駐車場ビルを建設し、他人(G)に媒介させて売却する行為は、「取引」と「業」に該当するので、Fは免許を必要とする。GがFの駐車場ビルの売却の媒介をする行為は、「取引」(売買の媒介)と「業」に該当するので、Gも免許を必要とする。 (4)正しい。競売物件である宅地を自己用として購入する行為は、「業」に該当しない(反復継続性がない)ので、Hは免許を必要としない。競売物件である宅地を購入し、業者を介して反復継続して売却する行為は、「取引」(I自らの売買)と「業」に該当するので、Iは免許を必要とする。 平成5年 [問 36] 免許(免許を受けられない者) 次の者のうち、宅地建物取引業の免許を受けることができるものはどれか。 (1)A社 その取締役Bが、3年前に、刑法第 233条(業務妨害)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終えた。 (2)C社 その政令で定める使用人Dが、3年前に、土地の投機的取引に関連して、国土利用計画法第23条の届出をせず、かつ、無免許で宅地の売買を数回行っていた。 (3)E社 その相談役Fが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律により都道府県公安委員会が指定した暴力団(以下この問において「指定暴力団」という。)の構成員であり、かつ、社長GよりもE社に対する支配力が大きい。 (4)H社 その取締役Iが、J社の代表取締役であったとき宅地建物取引業に関し指定暴力団の構成員に暴力的要求行為をすることを依頼したため、業務停止処分に該当し、その情状が特に重いとして、J社が1年前に宅地建物取引業の免許を取り消された。  平成5年 [問 36] 正解(1) (1)免許を受けることができる。取締役が普通の犯罪(業務妨害罪)を犯した場合に、会社が免許を受けることができなくなるのは、その取締役が『禁固以上の刑(禁固か懲役)』に処せられ、執行を終えてから5年経たない場合である。「罰金」に処せられても、会社は免許を受けることができる。 (2)免許を受けることができない。政令で定める使用人が、『免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正……な行為』をした場合、会社は免許を受けることができない。 (3)免許を受けることができない。社長より会社に対する支配力が大きい相談役が、『宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者』である場合、会社は免許を受けることができない。指定暴力団の構成員であるということは、宅地建物取引業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者、に該当する。 (4)免許を受けることができない。取締役(I)が、『業務停止事由に該当し情状が特に重い、に該当するとして、免許を取り消されてから5年経たない他の会社(J社)の取締役だった』場合、今の会社(H社)は、免許を受けることができない。   平成5年 [問 37]  複合問題 宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者は、専任の取引主任者となることはできないが、専任でない取引主任者となることができる。 (2)取引主任者は、宅地建物取引業法第35条の重要事項の説明を行う場合、相手方に宅地建物取引主任者証を提示しなければならないが、その相手方と初めて会ったときに宅地建物取引主任者証を提示していれば、改めて提示する必要はない。 (3)宅地建物取引業法第37条の書面については、取引主任者が記名押印することを要し、建物の賃貸借の媒介の場合でも、これを省略することはできない。 (4)事務所におかれる政令で定める使用人が取引主任者となったときは、その者は、その事務所に置かれる専任の取引主任者とみなされる。 平成5年 [問 37] 正解(3) (1)誤り。営業に関し成年者と同一の能力を『有しない』未成年者は、専任であるかどうかを問わず、取引主任者になること自体ができない。 (2)誤り。重要事項の説明に際しては主任者証を提示しなければならないが、提示は、その都度する必要がある。 (3)正しい。37条の書面の記名押印は取引主任者がしなければならない。また、37条の書面は、賃貸借の媒介の場合でも省略できない。 (4)誤り。『宅地建物取引業者(法人のときは役員)』が、取引主任者となったときは、その者は、その事務所に置かれる専任の取引主任者とみなされる。しかし、政令で定める使用人には、このような特例がない。 平成5年 [問 38] 監督処分 宅地建物取引主任者資格登録(以下「登録」という。)の消除に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (1)Aが役員をしている宅地建物取引業者B社が、不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとしてその免許を取り消されても、Aは、宅地建物取引主任者証の交付を受けていなければ、その登録を消除されることはない。 (2)取引主任者Cが知人に頼まれて無免許で宅地の売買の媒介を数回行った場合、Cは、その登録を消除されることがある。 (3)Dが宅地建物取引主任者資格試験に不正な手段で合格した場合、Dがその後取引主任者として業務に従事していても、その事実が発覚したときは、Dは、その登録を消除されることがある。 (4)取引主任者Eが刑法第 211条(業務上過失傷害)の罪を犯し、10万円の罰金の刑に処せられた場合、Eは、その登録を消除されることはない。 平成5年 [問 38] 正解(1)  (1)誤り。不正の手段により免許を受けたとして免許を取り消された者が法人(B社)の場合、その聴聞の期日及び場所の公示前60日以内に役員であった者は、登録を消除される。この場合、主任者証の交付を受けているか否かは無関係である。主任者証の交付を受けていなくても登録は受けているからである。 (2)正しい。無免許営業を行った場合には、3年以下の懲役または 100万円以下の罰金に処せられる。つまり、無免許営業を行った場合には、業法違反で罰金以上の刑に処せられることになる。『業法違反で罰金以上』の刑に処せられたときは、登録が消除される。 (3)正しい。不正な手段で合格し取引主任者として業務に従事していたということは、『不正の手段により登録を受けたとき』に該当し、登録が消除される。 (4)正しい。業法違反と暴力団犯罪(例:傷害罪・背任罪)を犯した場合は、『罰金』に処せられただけでも、登録が消除される。しかし、それ以外の普通の犯罪(本肢の業務上過失傷害罪)では、『禁固以上の刑(禁固か懲役)』に処せられたときに登録が消除される。 平成5年 [問 39] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者AがBから土地を取得して、宅地に造成し、自ら売主となって、Cに分譲する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)AB間の契約が売買の予約である場合、Aは、予約完結権を行使するまでの間は、宅地建物取引業者でないCと、売買契約を締結してはならない。 (2)AB間の売買契約において、開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合、Aは、その条件が成就するまでの間でも、宅地建物取引業者であるCとなら、売買契約を締結することができる。   (3)AB間の売買契約が締結されても、土地の引渡しがすむまでの間は、Aは、宅地建物取引業者でないCと、売買契約を締結してはならない。 (4)AB間の売買契約において、その効力の発生がBの代替地取得を条件とする場合、Aは、その条件が成就するまでの間は、宅地建物取引業者でないCと、売買契約を締結してはならない。 平成5年 [問 39] 正解(4) (1)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、他人(B)の所有する物件について売買契約を締結できないが、他人との間で物件の買取り契約(売買の予約を含む)を結んでいれば、売買契約を締結できる。 (2)誤り。買主が業者であるときは、自己の所有に属しない物件の契約締結制限はないから、その限りでは、AはBの所有する物件についてCと売買契約を締結できる。しかし、AがCに売却する段階で、本肢の宅地は工事完了前であり、かつ、許可等の処分(開発許可)を受けていない。このような場合には、買主が業者でも、売買契約を締結できない(契約締結時期の制限の話)。従って、AはBの所有する物件についてCと売買契約を締結してはならない。 (3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、他人の所有する物件について売買契約を締結できないが、他人との間で物件の買取り契約を結んでいれば、売買契約を締結できる。他人との間で物件の買取り契約を結んでいる以上、土地の引渡しが済んでいなくても、売買契約を締結できる。 (4)正しい。他人との間で物件の買取り契約を結んでいても、停止条件付きの契約であるとき(その効力の発生がBの代替地取得を条件とする場合)は、ここでいう『物件の買取り契約』に該当しない。従って、物件の買取り契約を結んでいないことになり、Aは、Bの所有する物件について売買契約を締結できない。 平成5年 [問 40] 複合問題 取引主任者Aが宅地建物取引業者Bに勤務する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aが氏名を変更したときは、Aは変更の登録の申請を、また、Bは変更の届出をしなければならない。 (2)Bの事務所の所在地が変更になった場合、Aは変更の登録の申請を、また、Bは変更の届出をしなければならない。 (3)Bが廃業した場合、Aは変更の登録の申請を、また、Bは廃業の届出をしなければならない。 (4)AがBの専任の取引主任者となった場合、Aは変更の登録の申請を、また、Bは変更の届出をしなければならない。 平成5年 [問 40] 正解(3)    *変更の届出(業者Bがする)は、次の事項が変わった場合にする。      @商号・名称 A役員・政令で定める使用人の氏名      B事務所の名称・所在地      C専任の取引主任者の氏名     *変更の登録(主任者Aがする)は、次の事項が変わった場合にする。      D氏名 E住所 F本籍 G宅地建物取引業の業務に従事する者にあっては、その業者の商号または名称 (1)誤り。Aは変更の登録が必要(上記D)。Aは専任の取引主任者ではないので、Bは変更の届出が不要(上記C参照)。 (2)誤り。Aは変更の登録が不要(上記D〜Gのどれにも当たらない)。Bは変更の届出が必要(上記B)。 (3)正しい。Aは変更の登録が必要(上記G)。Bが廃業した以上、Aが業務に従事する業者の商号または名称が変わるからである。Bは廃業の届出が必要。廃業の届出は変更の届出ではないが、有名な届出である(変更の届出と同様、廃業の届出は30日以内にする)。 (4)誤り。Aは変更の登録が不要(上記D〜Gのどれにも当たらない)。Bは変更の届出が必要(前記C)。新しく専任の取引主任者を採用したときも、専任の取引主任者の氏名の変更に他ならないからである。 平成5年 [問 41] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 (1)買主Bが宅地建物取引業者である場合、売買契約の締結が現地近くの喫茶店で行われても、Bは、当該契約を解除することができない。 (2)買主Cが宅地建物取引業者でない場合、売買契約の締結がCの自宅で行われても、その場所の指定がCの申出によるものであるときは、Cは、当該契約を解除することができない。 (3)買主Dが宅地建物取引業者でない場合、売買契約の締結がAの事務所で行われ、Aが宅地建物取引業法第37条の2の規定の適用について書面で説明しないときは、Dは、当該宅地の引渡しを受け、かつ、代金の全額を支払うまでの間、当該契約を解除することができる。 (4)買主Eが宅地建物取引業者でない場合、売買契約(当該宅地の引渡し及び代金の全額の支払いは1ケ月後とする。)の締結が現地のテント張りの案内所で行われ、Aが宅地建物取引業法第37条の2の規定の適用について書面で説明したときは、Eは、その説明の日から起算して8日以内に限り、当該契約を解除することができる。 平成5年 [問 41] 正解(3)  (1)正しい。買主が業者であるときはクーリングオフは適用されない。 (2)正しい。『買主が申し出た場合の自宅または勤務先』で契約が締結されたときは、買主は後でクーリングオフできない。 (3)誤り。買主がクーリングオフできるには、『事務所等以外の場所』で契約の締結等がなされたことが大前提になる。従って、事務所で契約が締結された場合には、一切クーリングオフできない。 (4)正しい。現地のテント張りの案内所は『事務所等以外の場所』に該当するので、買主はクーリングオフできる可能性がある。しかし、買主が業者よりクーリングオフを行うことができる旨、及び、その方法について書面を交付して告げられた日から起算して8日を経過した場合には、クーリングオフできなくなる。従ってEは、その説明の日から起算して8日以内に限り、クーリングオフ(当該契約を解除すること)ができる。 平成5年 [問 42] 複合問題 宅地建物取引業者の広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)新聞折込広告で、実際に取引する意思のない物件を分譲すると広告した場合、宅地建物取引業法に違反して、6月以下の懲役に処せられることがある。 (2)一団地の住宅を数回に分けて販売する場合、最終回の分譲については、売主が明らかであるので、これを省略して広告してもさしつかえない。 (3)宅地建物取引業者が宅地建物取引業法第65条第2項の規定による業務停止の処分を受けた場合、宅地建物の販売をすることはできないが、当該処分期間経過後の販売に関し、あらかじめ広告をすることはできる。 (4)建売住宅の分譲について、建築確認が下りる前に「建築確認申請中」として新聞広告をした場合、宅地建物取引業法に違反して、20万円以下の罰金に処せられることがある。 平成5年 [問 42] 正解(1)  (1)正しい。虚偽広告の禁止等に違反した(実際に取引する意思のない物件を分譲すると広告した)場合は、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。   (2)誤り。広告には取引態様の別(本肢では売主である旨)を明示しなければならないが、この取引態様の別は、その都度、明示しなければならない。 (3)誤り。業務停止の処分の期間中は、広告をすることもできない。つまり、業務停止の処分の業務には、広告業務も含まれる。 (4)誤り。工事完了前であり、かつ、許可等の処分(本肢では建築確認)を受けていない場合には、広告できない(広告開始時期の制限の話)。従って、建築確認が下りる前に「建築確認申請中」として新聞広告をした場合、広告開始時期の制限に違反する。しかし、広告開始時期の制限に違反しても罰則はない。 平成5年 [問 43] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、建築工事完了前の建物を、宅地建物取引業者でない買主Bに代金 6,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金として 500万円を受け取った。この場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。 (1)契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、Bは手付を放棄して、また、Aは手付の3倍の額を償還して、契約を解除することができる」との特約を結んだ。 (2)契約締結の際、ABの合意で、「当事者の一方が契約の履行に着手した後契約を解除するには、 1,200万円の違約金を支払わなければならない」との特約を結んだ。 (3)契約締結の1週間後に中間金 1,000万円を支払うこととされていたので、Aは、手付金 500万円について、中間金受領の際に、まとめて手付金等の保全措置を講じた。 (4)Aは、手付金等の保全措置について、C信用金庫と保証委託契約を締結し、その連帯保証書をBに交付した。 平成5年 [問 43] 正解(3) (1)違反しない。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、授受された手付は解約手付となる。解約手付が授受された場合、売主(業者)は買主が履行に着手するまでは、手付の倍額を返還して契約を解除できる。これに反する特約で買主に不利なものは無効である(業法違反でもある)。本肢の特約は「A(業者)は手付の3倍の額を償還して契約を解除することができる」というものであり、買主に有利な特約である。従って、有効であり、業法に違反しない。 (2)違反しない。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、代金額の20%(1,200万円)を超える違約金を定めることはできないが、本肢の違約金の定めは20%ちょうどなので、業法に違反しない。また、本肢の特約は「履行に着手した後」に関するものなので、(1)で述べた解約手付の性質にも違反しない。 (3)違反する。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、工事完了前の物件については、代金額の5%を超える手付金等を受領しようとする前に手付金等の保全措置を講じる必要がある。本肢の手付金は代金額の5%を超えているので、手付金を受領しようとする前に、保全措置を講じなければならない。 (4)違反しない。手付金等の保全措置は保証委託契約でもよい。ここでいう保証委託契約は、銀行等(信用金庫を含む)に連帯保証を委託し、その連帯保証書を買主(B)に交付することである。 平成5年 [問 44] 契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)相手方が宅地建物取引業者であったので、重要事項の説明は、取引主任者でない代表者が行った。 (2)当該物件の引渡時期については、未だ定まっていなかったので、何も説明しなかった。 (3)当該物件には、私道の負担がなかったので、私道に関しては、何も説明しなかった。 (4)当該建物は、表示登記はされていたのが、所有権保存登記がされていなかったので、建物の登記簿上の所有者に関しては、何も説明しなかった。 平成5年 [問 44] 正解(2)   (1)違反する。重要事項の説明は取引主任者でなければ絶対に行えず、相手方が業者の場合でも同じである。  (2)違反しない。そもそも物件の引渡時期は、説明が義務付けられている重要事項に当たらない。物件の引渡時期は、37条書面に記載が義務付けられている事項である。 (3)違反する。私道の負担に関する事項は、説明が義務付けられている重要事項に当たる。私道の負担がない場合は、ない旨を、説明しなければならない。  (4)違反する。表示登記(表題部)がなされた以上、所有権保存登記(甲区)がなされていなくても、表題部には所有者の氏名が登記される。そして『表題部に記載された所有者の氏名』は、説明が義務付けられている重要事項である。 平成5年 [問 45] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者A社は、自ら売主となって、工事完了前のマンションを宅地建物取引業者でない買主Bに 4,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金 300万円を受け取った。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 (1)AB間で、その譲渡価額についてA社が 1,000万円値引きする代わりに、瑕疵担保責任については、A社の責めに帰するものに限るとの特約をした場合、Bは、この特約に拘束される。 (2)A社の資金事情が悪化して、A社が債務を履行しない場合、Bは、A社が講じた手付金等の保全措置により連帯保証したC信託会社に対し、契約を解除することなく、 300万円の返還を求めることができる。 (3)A社が倒産した場合、Bは、A社の講じた手付金等の保全措置により連帯保証したD銀行に対し 300万円の返還を求めることができるとともに、その取引により生じた損害があるときは、A社が供託していた営業保証金から弁済をするよう求めることができる。 (4)宅地建物取引業者E社がA社を吸収合併した場合、E社は、A社の債権債務を承継するが、A社の取引主任者が行った重要事項説明については、責任を負わない。 平成5年 [問 45] 正解(3) (1)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者であるときは、瑕疵担保責任について、民法の規定より買主に不利な特約をしてはならず、した場合には無効になる。本肢の特約(瑕疵担保責任については、A社の責めに帰するものに限る)は、民法の規定より買主に不利な特約であり無効である。従って、買主Bはこの特約に拘束されない。 (2)誤り。手付金の返還を求めるには、その前提として契約を無くしておかなければならない。従って、Bは契約を解除しなければ、300万円の返還をCに求めることができない。この知識は民法の知識であり、宅建取引業法に書いてあるわけではない。 (3)正しい。本肢のような場合、Bは、Dに対して連帯保証債務を履行するよう請求する権利と、営業保証金の還付請求権の、2ツの権利を持つ。同一人(B)に2ツの権利が発生した場合、その者は2ツの権利を別々に行使できる。この知識も民法の知識である。 (4)誤り。吸収合併という行為は、相続と同様、権利義務の『一切を』承継する行為である。従って、E社はA社の取引主任者が行った重要事項の説明についても、その責任(義務)を承継する。この知識も民法の知識である。 平成5年 [問 46] 担保(営業保証金) 宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者は、免許を受けた場合において、主たる事務所と2ケ所の従たる事務所を開設するときは、営業保証金 2,000万円を、いずれかの事務所のもよりの供託所に供託した上で、その旨宅地建物取引業の免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 (2)営業保証金の供託は、株式で行ってもよい。 (3)宅地建物取引業者は、取引の相手方に対し、取引が成立するまでの間に、取引主任者をして、営業保証金を供託した供託所及びその所在地を説明させなければならない。 (4)宅地建物取引業者は、免許を受けても、営業保証金を供託し、その旨の届出をするまでは、宅地建物の売買契約をすることはもとより、広告をすることもできない。 平成5年 [問 46] 正解(4)   (1)誤り。営業保証金の供託先は、すべての事務所の分について『主たる事務所のもよりの』供託所である。「いずれかの事務所のもより」の供託所ではない。 (2)誤り。営業保証金は国債・地方債等の一定の有価証券で供託できるが、株式(株券)ではダメである。相場の変動が大きく担保として不適当だからである。 (3)誤り。業者は、取引の相手方に対し、取引が成立するまでの間に、営業保証金を供託した供託所及びその所在地を説明する義務がある(供託所等の説明義務)が、この説明は、取引主任者にさせる必要はない。 (4)正しい。業者は、免許を受けても、営業保証金を供託しその旨の届出をするまでは、業務を開始できない。この『業務』には、広告をすることも含まれる。従って、営業保証金を供託しその旨の届出をするまでは、広告をすることもできない。 平成5年 [問 47] 担保(保証協会) 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)甲の社員A(国土交通大臣免許)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、甲保証協会の社員となることによって営業保証金の供託義務を免除されるが、弁済業務保証金の還付可能額を増額するため、さらに乙保証協会の社員になることもできる。 (2)Aが新たに従たる事務所を設置した場合、Aは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を納付しないと、甲保証協会の社員たる地位を失うのみならず、国土交通大臣から業務停止処分を命ぜられることがある。 (3)Aが従たる事務所を廃止した場合、Aは、当該弁済業務保証金の還付請求権者に対する公告を行えば、その事務所に係る政令で定める額の弁済業務保証金分担金の返還を、甲保証協会に対し請求することができる。 (4)甲保証協会がAの取引に関し弁済業務保証金の還付を行った場合、Aは、甲保証協会の社員たる地位を失うとともに、その還付充当金の納付をしなければならない。 平成5年 [問 47] 正解(2)   (1)誤り。保証協会の社員となれば営業保証金の供託義務を免除される。しかし、いかなる場合も2ツ以上の保証協会の社員になることはできない。 (2)正しい。新たに従たる事務所を設置した場合は、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金(1ヵ所30万円)を納付しないと、保証協会の社員たる地位を失う。のみならず、業務停止処分を命ぜられることがある。 (3)誤り。保証協会の社員である業者が従たる事務所を廃止した場合は、保証協会が、弁済業務保証金の超過額を取戻し、業者にその分の弁済業務保証金分担金を返還する。この場合には、弁済業務保証金の還付請求権者に公告を行う制度はない。 (4)誤り。弁済業務保証金の還付が行われた場合でも、還付充当金を納付すべきことを保証協会から通知された日から2週間以内に納付すれば、社員たる地位を失うことはない。 平成5年 [問 48] 複合問題 甲県内の一団の宅地30区画の分譲について、売主である宅地建物取引業者A(乙県知事免許)が宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)に販売代理を依頼して、Bが案内所を設けて、売買契約の申込みを受ける場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 (1)Bは、その案内所の設置について国土交通大臣及び甲県知事に届け出る必要があるが、Aも、その分譲について届け出る必要がある。 (2)Bは、その案内所の従業員数に対して5人に1人以上の割合で、専任の取引主任者を置かなければならない。 (3)Bは、その案内所に置く専任の取引主任者について、Bの事務所の専任の取引主任者を派遣しなければならない。 (4)Bは、その案内所の見やすい場所に、専任の取引主任者の氏名を表示した標識を掲げなければならない。 平成5年 [問 48] 正解(4) (1)誤り。他の宅建取引業者(A)が行う10区画以上の一団の宅地の分譲の代理を行う場合、自分(B)が、案内所(契約行為等を行うもの)を設置すれば、自分は、案内所等の届出を行う必要がある。しかし売主Aは、契約行為等を行う案内所を設置していないので、案内所等の届出を行う必要がない。案内所等の届出が必要なのは、契約行為等を行う案内所を設置した業者に限られるのだ。 (2)誤り。10区画以上の一団の宅地の分譲を案内所(契約行為等を行うもの)を設けてする場合の案内所には、専任の取引主任者を『1人以上』置けばよい。 (3)誤り。専任の取引主任者は事務所や案内所『ごとに』置かなければならないから、専任の取引主任者は他の事務所や案内所の専任の取引主任者を兼任できない。 (4)正しい。10区画以上の一団の宅地の分譲を案内所を設けてする場合の案内所には、標識を掲げなければならない。しかも、本問のような案内所には専任の取引主任者を『1人以上』置くので−(2)参照−、標識には専任の取引主任者の氏名を表示しなければならない。 平成5年 [問 49] 監督処分 甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aに対する監督処分についての次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aがその業務に関し取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるとして指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、その情状のいかんにかかわらず、その免許を取り消すことができる。 (2)Aが免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合、甲県知事は、Aに対し、1年以内の期間を定めて業務停止を命ずることができる。 (3)Aが乙県内において不正な行為をした場合、甲県知事はAに対し業務停止を命ずることができるが、乙県知事は業務停止を命ずることができない。 (4)甲県知事がAの免許を取り消す場合、Aの出頭を求めて公開による聴聞を行わなければならないが、A又はAの代理人が正当な理由なく聴聞の期日に出頭しないときは、甲県知事は、聴聞を行わないで、取り消すことができる。 平成5年 [問 49] 正解(4)   (1)誤り。指示処分を受けその指示に従わなかった場合には、業務停止処分事由になる。業務停止処分事由に該当し『情状が特に重いとき』は、免許取消処分になる。従って、指示処分を受けその指示に従わなかった場合、その情状のいかんにかかわらず免許を取り消すことができるわけではない。 (2)誤り。免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合は、免許取消処分になる。業務停止処分では済まない。 (3)誤り。不正な行為をした場合には業務停止処分になる可能性がある。業務停止処分は、免許権者(甲県知事)のみならず、現場の知事(乙県知事)も命ずることができる。 (4)正しい。免許取消処分等の監督処分を行うには、公開による聴聞を行わなければならないのが原則である。ただし、本人(または代理人)が正当な理由なく聴聞の期日に出頭しないときは、聴聞を行わないで、免許取消処分等の監督処分を行うことができる。 平成5年 [問 50] 公共性による規制(報酬額の制限) 宅地建物取引業者A(消費税の免税事業者)が甲の依頼を受け、宅地建物取引業者B(消費税の課税事業者)が乙の依頼を受けて、契約を成立させ、報酬を受領した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法に違反しないものはどれか(消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないで良い)。 (1)Aは、甲の媒介依頼を受けて、甲所有の宅地及び建物を代金それぞれ 3,000万円及び 1,575万円(消費税及び地方消費税込み)で、売買契約を成立させ、甲から 142万円の報酬を受領した。 (2)Aは、甲の媒介依頼を受けて、甲所有の事務所ビルの1 室を権利金(権利設定の対価として支払われる金銭で、返還されないものをいう。) 300万円、借賃月額13万円で、賃貸借契約を成立させ、甲から14万円の報酬を受領した。 (3)Aは甲から媒介依頼を、また、Bは乙から媒介依頼を受けて、共同して甲乙間に、甲所有の建物 3,090万円(消費税及び地方消費税込み)と乙所有の建物 4,200万円(消費税及び地方消費税込み)の交換契約を成立させ、Aは甲から98万円、Bは乙から 133万円の報酬を受領した。 (4)Aは甲から代理依頼を、また、Bは乙から媒介依頼を受けて、共同して甲乙間に、甲所有の居住用建物の賃貸借契約を借賃月額24万円で成立させ、Aは甲から24万円、Bは乙から12万円の報酬を受領した。 平成5年 [問 50] 正解(2) (1)違反する。売買の媒介を行う場合の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円である。本肢の取引価額は、 4,500万円である(建物は消費税及び地方消費税込みだから 1,575万円×100/105 = 1,500万円が本体価格なので)。だから、Aは、 4,500万円×3%+6万円= 141万円までしか受領できない(Aは免税業者なので 141万円に5%の消費税及び地方消費税を上乗せできない)。 (2)違反しない。貸借の媒介を行う場合、それが事務所ビルで権利金の授受があるときは、その権利金の額を取引価額とみなして、売買の媒介の計算式で報酬の限度額を計算できる。すると、Aは、 200万円×5%+ 100万円×4%=14万円まで受領できる。なお、Aは、免税業者なので14万円に5%の消費税及び地方消費税を上乗せできない。 (3)違反する。交換は高い方が基準額となるので、本肢の取引価額は、 4,000万円である(建物は消費税及び地方消費税込みだから 4,200万円×100/105 =4,000 万円が本体価格なので)。だから、AとBは1人当たり、4,000 万円×3%+6万円=126 万円まで受領できる。課税業者のBは、126 万円に5%の消費税及び地方消費税を上乗せして、132 万3,000 円までなら受領できるが、133 万円受領したのでBが違反する。 (4)違反する。貸借の媒介または代理を行う場合の限度額は、借賃の1ヵ月分(24万円)である(報酬を受領できる業者が2人いるときも合計額で)。 平成9年4月1日から消費税関係法の改正法が施行されており、一般に、消費税の税率は5%だと言われているが、これは、消費税(国税)4%と地方消費税(都道府県税)1%の合計が5%ということである。なお、この改正法によると、消費税の免税事業者でも、課税事業者の半分の消費税及び地方消費税(合計 2.5%)を受領できることになった。しかし、出題当時(平成5年)には関係のない制度なので、問題文には、「消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないで良い」という限定を加えた。 平成6年 [問 35] 免許(免許を受けられない者) A社(主たる事務所を甲県に、従たる事務所を乙県に設けて、甲県及び乙県で宅地建物取引業を行うために、新設された会社である。)の宅地建物取引業の免許の申請に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)A社は、国土交通大臣の免許を受けなければならないが、その申請の際、登録免許税9万円を納めなければならない。 (2)A社が免許の申請書を提出するにあたって、重要な事項について虚偽の記載をしたときは、A社は、免許を受けることができない。 (3)A社の主たる事務所に従事する者が16名(営業14名、一般管理部門2名)、従たる事務所に従事する者が5名である場合、A社は、専任の宅地建物取引主任者を、少なくとも、主たる事務所にあっては4名、従たる事務所にあっては1名置かなければ、免許を受けることができない。 (4)A社の免許申請の直前に、A社の代表取締役が道路交通法に違反して罰金の刑に処せられた場合、A社は、免許を受けることができない。 平成6年 [問 35] 正解(4) (1)正しい。2ツ以上の都道府県の区域内に事務所を設置するときは、国土交通大臣の免許を受けなければならない。そして、国土交通大臣の新規免許を受ける場合は、9万円の登録免許税が必要である。 (2)正しい。免許の申請書・添付書類に、重要な事項について虚偽の記載があるときは、申請しても免許が与えられない。      (3)正しい。事務所について法定の数の専任の取引主任者を置いていない場合は、申請しても免許が与えられない。ここに『法定の数』とは、事務所にあっては従業員(そこの事務所のすべて)5人に1人以上の割合をいう。従って、少なくとも、 ・ 主たる事務所では、16÷5= 3.2=4名 ・ 従たる事務所では、5÷5= 1=1名    の専任の取引主任者を置かなければ、免許を受けることができない。 (4)誤り。A社が免許を受けることができなくなるのは、取締役(代表取締役)が『禁固以上の刑(禁固か懲役)』に処せられた場合である。業法違反と暴力団犯罪(背任罪・傷害罪・暴行罪等)を犯した場合は、罰金に処せられた場合でもA社が免許を受けることができなくなるが、道路交通法違反は業法違反や暴力団犯罪に当たらない。 平成6年 [問 36] 取引主任者(登録後の事情変更) 宅地建物取引主任者Aが死亡等一定の事由に該当するに至った場合の届出に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法によれば、正しいものはどれか。 (1)Aが死亡したときはその相続人が、破産したときはA自らが、届出をしなければならない。 (2)Aが成年被後見人となったときはその保佐人が、被保佐人となったときはその後見人が、届出をしなければならない。 (3)Aが公職選挙法に違反して禁錮刑に処せられた場合、Aは、届出をしなければならないが、刑法第 247条の罪(背任罪)を犯して罰金刑に処せられた場合は、その必要はない。 (4)Aが不正の手段により宅地建物取引業の免許を取得したとして、その免許を取り消されたときは、Aは、届出の必要はない。 平成6年 [問 36] 正解(1) (1)正しい。取引主任者が『死亡』したときは『相続人』が届出なければならない。また、取引主任者が『破産』したときは『本人』が自ら届出なければならない。 (2)誤り。取引主任者が『成年被後見人』となったときは『後見人』が、被保佐人となったときは『保佐人』が届出なければならない。これは民法の無能力者制度の知識である。成年被後見人の保護者は後見人といい、被保佐人の保護者は保佐人という。本肢は逆なので誤り。 (3)誤り。普通の犯罪(公職選挙法違反)で『禁固以上の刑(禁固か懲役)』に処せられたときは、本人が届出なければならない。また、『暴力団犯罪』(背任罪がこれに該当)では、『罰金』に処せられたときも、本人が届出なければならない。 (4)誤り。不正の手段により宅建取引業の免許を取得したとして、その免許を取り消されたときは、本人が届出なければならない。 平成6年 [問 37] 複合問題 宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という。)と宅地建物取引主任者証(以下「取引主任者証」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)取引主任者は、常時取引主任者証を携帯して、取引の関係者から請求があったとき提示することを要し、これに違反したときは、10万円以下の過料に処せられることがある。 (2)取引主任者は、取引主任者証を紛失した場合、その再交付がなされるまでの間であっても、取引主任者証を提示することなく、重要事項説明を行ったときは、取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止されることがある。 (3)取引主任者は、取引主任者証を他人に貸与してはならず、これに違反したときは、事務の禁止の処分を受けることがあるが、情状が特に重くても、登録を消除されることはない。 (4)取引主任者は、勤務先を変更したとき、取引主任者証の書換え交付の申請を行わなければならない。 平成6年 [問 37] 正解(2) (1)誤り。取引主任者は、取引の関係者から請求があったときは、主任者証を提示することを要する。これに違反したときは、10万円以下の過料に処せられることがある。しかし、取引主任者には、主任者証を常時携帯する義務はない。 (2)正しい。取引主任者として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたときは、事務の禁止処分になることがある。主任者証を提示しないで重要事項説明を行うことは、取引主任者として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をしたことになる。したがって、事務の禁止処分になることがある。 (3)誤り。他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたときは、事務の禁止処分になることがある。主任者証を他人に貸与した場合は、これに該当する。そして、事務の禁止処分になる事由に該当し、情状が特に重いときは、登録を消除される。したがって、主任者証を他人に貸与し、情状が特に重い場合は、登録を消除される。 (4)誤り。取引主任者は、勤務先を変更しても、主任者証の書換え交付を申請する必要はない。そもそも主任者証に勤務先は記載されていないからである。 平成6年 [問 38] 免許(免許取得後の事情変更) 宅地建物取引業者Aが事務所の廃止、新設等を行う場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)甲県知事の免許を受けているA(事務所数1)が、甲県の事務所を廃止し、乙県に事務所を新設して、引き続き宅地建物取引業を営もうとする場合、Aは、直接、乙県知事に免許換えの申請をしなければならない。 (2)甲県知事の免許を受けているA(事務所数1)が、事務所を廃止し、又は甲県内で増設した場合、Aは、甲県知事に、それぞれ、廃業の届出又は変更の届出をしなければならない。 (3)国土交通大臣の免許を受けているA(事務所数2)が、甲県の従たる事務所を廃止し、乙県の主たる事務所だけにした場合、Aは、甲県知事を経由して、乙県知事に、免許換えの申請をしなければならない。 (4)国土交通大臣の免許を受けているA(事務所数2)が、甲県の主たる事務所を従たる事務所に、乙県の従たる事務所を主たる事務所に、変更した場合、Aは、国土交通大臣に変更の届出をしなければならない。 平成6年 [問 38] 正解(3) (1)正しい。Aは、甲県の1ツしかない事務所を廃止し、乙県に事務所を新設して、引き続き宅地建物取引業を営もうとするのであるから、免許換えを申請する必要がある。免許換えは新免許権者(乙県知事)に直接申請するのが原則だ。 (2)正しい。Aが1ツしかない事務所を廃止した場合は、免許権者(甲県知事)に廃業の届出をする必要がある。また、事務所を甲県内で増設した場合は、『事務所の名称・所在地』の変更に当たるから、変更の届出をしなければならない。そもそも、変更の届出は次の事項のどれかが変わった場合にする必要があるが、本肢の変更の届出はBに当たる。 @商号・名称 A役員・政令で定める使用人の氏名 B事務所の名称・所在地 C専任の取引主任者の氏名 (3)誤り。国土交通大臣の免許を受けているAが、甲県の従たる事務所を廃止し、乙県の主たる事務所だけにしたのであるから、免許換えを申請する必要がある。しかし、免許換えは新免許権者(乙県知事)に直接申請するのが原則だ。 (4)正しい。Aは、主たる事務所と従たる事務所を入れ替えたのだから、『事務所の名称』の変更に当たるので、変更の届出が必要である。(2)のBに当たる。 平成6年 [問 39] 複合問題 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、乙県でも新たに宅地分譲と建築請負を行うこととして、宅地分譲については宅地建物取引業者B(乙県知事免許)と販売代理契約を締結した上、Bが分譲地(50区画)に案内所を設けて行うこととし、建築請負についてはAが乙県に出張所を設けて行うこととした。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 (1)Aは、国土交通大臣に免許換えの申請をする必要はない。 (2)Bは、案内所の届出を、乙県知事にのみ行えばよい。 (3)Bは、案内所で宅地の売買契約の申込みを受けるときでも、契約の締結を事務所で行うこととすれば、案内所に専任の取引主任者を設置する必要はない。 (4)Bは、案内所に標識を設置し、売主がAであることを明示しなければならない。 平成6年 [問 39] 正解(3) (1)正しい。免許換えは、事務所の所在地変更が前提となるが、Aは事務所の所在地を変更していないので、免許換えは必要ない。なお、Aが乙県に設けた出張所は事務所ではない。宅地建物取引業を営まない所(建築請負を行う所)は、宅建取引業法上の事務所ではないからである。 (2)正しい。10区画以上の一団の宅地の分譲を案内所(契約行為等を行うもの)を設置して行う場合には、案内所の届出が必要である。届出先は、免許権者(乙県知事)『および』その所在地を管轄する知事(乙県知事)である。両方とも乙県知事なので、Bは、案内所の届出を乙県知事に行えばよい。 (3)誤り。10区画以上の一団の宅地の分譲を案内所(契約行為等を行うもの)を設置して行う場合の案内所には、1人以上の専任の取引主任者を設置する必要がある。本肢の案内所は、契約の申込みを受けるのだから、契約行為等を行う案内所に該当し、1人以上の専任の主任者を設置する必要がある。 (4)正しい。10区画以上の一団の宅地の分譲を案内所を設置して行う場合の案内所には、標識を設置する義務がある。そして、標識には、自己(B)が代理業者であるときは、売主(A)の商号または名称を記載しなければならない。 平成6年 [問 40] 契約前の規制(一般) 宅地建物取引業者Aの行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、別荘地に住宅を建設して分譲する場合、契約の締結を建築確認後に行うこととすれば、広告については、建築確認前であっても、建築確認申請中である旨を表示して行うことができる。 (2)Aは、取引態様の別について、広告の際省略しても、顧客から注文を受けた際に明示すれば、さしつかえない。 (3)Aは、実在しない物件を広告し、又は虚偽の表示を行ってはならないが、物件が実在し、その表示に誤りがなければ、実際に取引する意思のない物件を、広告してもさしつかえない。 (4)Aは、媒介物件の売却の依頼を直接受けた宅地建物取引業者が作成した広告を、そのまま掲載して、A名義のチラシを作成し、配布した場合でも、その広告内容によっては、責任を問われることがある。 平成6年 [問 40] 正解(4) (1)誤り。工事完了前で、かつ、許可等の処分(本肢では建築確認)がない場合、業者はすべての広告ができない(広告開始時期の制限の話)。なお、本肢では文章全体から、別荘地の住宅は工事完了前であることが推論される。 (2)誤り。業者は、広告をするときも注文を受けたときも、両方に、取引態様の別を明示する必要がある。 (3)誤り。物件が実在し、その表示に誤りがないとしても、実際に取引する意思のない物件を広告することは、おとり広告であり、誇大広告等の禁止の対象となる。 (4)正しい。Aは、媒介物件の売却の依頼を直接受けた業者ではない。それなのに、直接依頼を受けた業者が作成した広告を、そのまま掲載してA名義のチラシを作成・配付することは、広告内容によっては「Aが直接依頼を受けた」かのような誤解を与える。取引態様の別は、本当のことを明示しなければならないので、そのような誤解を与えた場合は、取引態様の明示義務に違反する。従って、責任を問われることがある。 平成6年 [問 41] 契約前の規制(重要事項の説明義務) * 宅地建物取引業者がマンション(区分所有建物)の一室の賃貸借契約を媒介するに際し、重要事項の説明を行った。この場合、次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)マンションの所有者については、登記名義人を説明したが、マンションの抵当権については、借主に関係がないので、説明しなかった。宅地建物取引業法第35条の規定に違反しない。 (2)敷金の額については、説明したが、その保管方法については、借主に関係がないので、説明しなかった。宅地建物取引業法第35条の規定に違反しない。 (3)マンションの管理費のうち、所有者が負担しなければならない費用の額については、借主が負担するわけではないので、説明しなかった。宅地建物取引業法第35条の規定に違反する。 (4)マンションの管理の委託を受けている者について、その氏名は説明したが、住所については、必要がないので、説明しなかった。宅地建物取引業法第35条の規定に違反しない。    * 区分所有建物  建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物をいう。 平成6年 [問 41] 正解(2) (1)誤り。物件の上に存する登記された権利の種類(本肢では抵当権)は、重要事項として説明が義務付けられている。従って、業法に違反する。 (2)正しい。借賃以外に授受される金銭(本肢では敷金)の額、授受の目的は、重要事項として説明が義務付けられている。しかし、借賃以外に授受される金銭(敷金)の「保管方法」は、説明が義務付けられている重要事項ではない。従って、業法に違反しない。 (3)誤り。区分所有建物について、『建物の貸借の契約』の場合は、平成8年の改正で、『その建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額』は、説明が義務付けられている重要事項から削除された。従って、業法に違反しない。なお、「建物の貸借以外の契約(例:マンションの売買契約)」の場合は、その建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額は、依然として重要事項として説明が義務付けられているので、注意。 (4)誤り。区分所有建物について、建物の貸借の契約の場合は、マンションの管理が委託されているときは、委託を受けている者の氏名の他に住所も、重要事項として説明が義務付けられている。従って、業法に違反する。 平成6年 [問 42] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者でない買主Aが宅地建物取引業者である売主Bと宅地の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aは、Aの申出により、Aの取引銀行の店舗内で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。 (2)Aは、Bの営業マンの申出により、Aの勤務先で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。 (3)Aは、Bから媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者Cの申出により、Cの事務所で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。 (4)Aは、Bの現地案内所(テント張り)で買受けの申込みをし、その翌日Bの申出によりAの自宅で売買契約を締結したときは、その契約を解除することができない。 平成6年 [問 42] 正解(3) (1)誤り。業者(B)が自ら売主となり、買主(A)が非業者であるときは、『事務所等以外の場所』で買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできる。取引銀行の店舗は、事務所等以外の場所に該当する。従って、Aは解除(クーリングオフ)できる。Aの申出の有無を問わない。 (2)誤り。事務所等以外の場所で買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできるが、「業者(B)が申出た場合の勤務先」は事務所等以外の場所に該当する(「買主(A)が申出た場合の勤務先」は事務所等以外の場所に該当しないが……)。従って、Aは解除(クーリングオフ)できる。 (3)正しい。媒介の依頼を受けた別の業者(C)の事務所は、「事務所等以外の場所」に該当しない。従って、Aは解除(クーリングオフ)できない。Cの申出の有無を問わない。 (4)誤り。テント張りの案内所は『事務所等以外の場所』に該当する。従って、Aは解除(クーリングオフ)できる。なお、買受けの申込みが「事務所等以外の場所」(テント張りの案内所)で行われた以上、Aの申出によるAの自宅(事務所等以外の場所に該当しない場所)で契約の締結が行われたとしても、Aは解除(クーリングオフ)できる。もっとも、本肢では、Bの申出によるBの自宅なので、このようなことは考えないでよい。 平成6年 [問 43] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でない買主Bとマンション(価額 5,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)AB間の合意で、Aが瑕疵担保責任を負う期間について、Bが瑕疵の事実を知ったときから1年間と定めても、Aは、当該物件の引渡し後2年間は瑕疵担保責任を負わなければならない。 (2)AB間の合意で、違約金を 2,000万円と定めても、Aは、 1,000万円を超える部分については、Bに対し請求することができない。 (3)AB間の合意で、当事者の一方が契約の履行に着手するまでの間の契約の解除について、Bは手付の半額を放棄し、Aは手付の全額を償還して解除することができると定めても、Aは、手付の倍額を償還しなければ解除することができない。 (4)AB間の合意で、Bが契約の履行に着手するまでの間の契約の解除について、Aは手付の3倍額を償還して解除することができると定めた場合、Aは、手付の倍額の償還だけでは、解除することはできない。 平成6年 [問 43] 正解(1) (1)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、瑕疵担保責任について民法の規定より買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は無効となる。でも、本肢の定め(特約)は民法の規定より買主に不利となる特約とは言えず(民法の規定と同じであり)、有効である。従って、売主は、買主が「瑕疵の事実を知った時から1年」まで、瑕疵担保責任を負う。 (2)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、損害賠償額の予定または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超えることとなる定めをしてはならず、これに反する特約は代金額の20%を超える部分について、無効となる。従って、1,000 万円をこえる部分は請求できない。 (3)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、手付は解約手付となる。解約手付が授受された場合、売主は、買主が履行に着手するまで、手付の『倍額』を返還しなければ解除できず、これに反する特約で買主に不利なもの(「Aは手付の全額を償還して解除することができる」との定め)は、無効である。従って、Aは、手付の倍額を償還しなければ解除できない。 (4)正しい。本肢のように、「Aは手付の3倍額を償還して解除することができる」と定めた場合は、買主に有利なので、有効である。従って、Aは、手付の倍額の償還だけでは解除できない(手付の3倍額を償還しなければ解除できない)。 平成6年 [問 44] 複合問題 宅地建物取引業者Aが自ら売主となって造成工事完了前の宅地を買主Bに分譲する契約(価額 5,000万円、手付金 1,000万円)を今年10月1日締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものは、どれか。 (1)Aが当該宅地の所有権を所有権者Cから停止条件付きで取得する契約を同年5月1日締結したが、同年10月1日現在その条件が未だ成就されていない場合において、Bが宅地建物取引業者であるとき。 (2)Aが当該宅地の開発許可を同年9月1日取得し、同年9月10日その分譲のパンフレットをBに郵送した場合において、Bが宅地建物取引業者でないとき。 (3)Aが同年9月25日重要事項説明を行った際、造成工事完了時の当該宅地の形状・構造を説明したが、当該宅地に接する道路の構造・幅員を説明をしなかった場合において、Bが宅地建物取引業者であるとき。 (4)Aが同年10月1日手付金を受領する際、手付金等の保全措置を講じなかった場合において、Bが宅地建物取引業者であるとき。 平成6年 [問 44] 正解(3) 本問は、いわゆる8種規制に当たるかどうかを問うものである。8種規制は、買主(B)が非業者である場合にのみ適用される、業務上の規制である。8種規制に当たらない業務上の規制なら、買主が非業者であるか業者であるかを問わず適用される。 (1)違反しない。本肢は、自己の所有に属しない物件の契約締結制限の話であるが、これは8種規制である。従って、買主(B)が『業者』である本肢には適用されず、業法に違反しない。 (2)違反しない。本肢は、広告開始時期の制限の話であるが、これは8種規制ではない。従って、買主(B)が『非業者』である本肢にも適用される。もっとも、工事完了前の物件であっても、本肢のように許可等の処分(本肢では開発許可)があれば、広告開始時期は制限されない。従って、業法に違反しない。 (3)違反する。本肢は、重要事項の説明義務の話であるが、これは8種規制ではない。従って、買主(B)が『業者』である本肢にも適用される。工事完了前の宅地については、工事完了時におけるその宅地に接する道路の構造・幅員も、重要事項として説明しなければならない。従って、業法に違反する。 (4)違反しない。本肢は、手付金等の保全措置の話であるが、これは8種規制である。従って、買主(B)が『業者』である本肢には適用されず、業法に違反しない。 平成6年 [問 45] 担保(営業保証金) 宅地建物取引業者Aが甲県知事の免許を受けて営業保証金を供託した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、営業保証金の供託を地方債証券によって行うことができるが、その際の当該証券の価額は、額面金額の 100分の80である。 (2)Aは、営業保証金を供託しても、その旨を甲県知事に届け出た後でなければ、事業を開始することができず、これに違反したときは、6月以下の懲役に処せられることがある。 (3)Aは、営業保証金の供託を現金と国債証券によって行った後、主たる事務所を移転して供託所が変更になったときは、営業保証金の保管替えを請求することができる。 (4)Aは、Aの営業保証金の還付がなされたときは、その不足額を供託しなければならないが、その供託は、還付がなされれば、その旨の通知がなくても、行わなければならない。 平成6年 [問 45] 正解(2) (1)誤り。営業保証金の供託は地方債証券によって行うことができるが、その場合、『地方債証券の価額は額面金額の 100分の90』である。 (2)正しい。営業保証金を供託しても、その旨を免許権者(甲県知事)に届け出た後でなければ、事業を開始することができない。違反したときには、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が定められている。従って、6ヵ月以下の懲役に処せられることがある。 (3)誤り。営業保証金の『保管換え』は、営業保証金を『金銭のみ』をもって供託していた場合に行うものである。主たる事務所を移転したため主たる事務所のもよりの供託所が変わっても、今まで『有価証券のみ又は有価証券をまじえて』供託していたのであれば、保管換えではなく、『新たな供託』をする。本肢では、供託を現金と国債証券(有価証券)によって行っていたのだから、新たな供託をする必要があり、保管替えは請求できない。 (4)誤り。営業保証金の還付がなされたときは、その不足額を供託しなければならないが、その供託は、業者が、免許権者からその旨の『通知書の送付を受けた日から』2週間以内に行うことになっている。従って、通知がないうちは不足額を供託しないでよい。 平成6年 [問 46] 担保(保証協会) 本店と3ケ所の支店を有する宅地建物取引業者A(甲県知事免許、昨年12月1日営業開始)が、今年4月1日宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入し、弁済業務保証金分担金を納付したが、その後同年7月1日、Bから、同年3月1日のAとの不動産取引により債権が生じたとして、弁済業務保証金の還付請求があった。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 (1)Bの取引はAが保証協会の社員となる前のものであるから、Bの還付請求は、Aがそのとき営業保証金を供託していた供託所に対して、しなければならない。 (2)Aの納付した弁済業務保証金分担金は 150万円であるが、Bが保証協会から弁済をうけることができる額は、最高 2,500万円である。 (3)Bが還付を受けるには、その額について、甲県知事の認証を受けなければならない。  (4)Aは、Bが還付を受け、当該還付額相当額の還付充当金を納付すべきことを保証協会から通知されたときは、2週間以内にこれを納付することを要し、その納付をしないときは、Aの免許は、効力を失う。 平成6年 [問 46] 正解(2) (1)誤り。保証協会は、社員(A)と宅建取引業に関し取引をした者(B)が有するその取引により生じた債権について弁済する義務を負うが、この義務は、当該社員が社員となる『前』(3月1日)に宅建取引業に関して取引をした者が有する債権にも及ぶ。従って、Bの還付請求は保証協会に対してすればよい。 (2)正しい。弁済業務保証金分担金の額は、主たる事務所60万円、従たる事務所1ヶ所30万円なので、Aが納付した弁済業務保証金分担金は 150万円である。ところで、Bが弁済業務保証金から還付を受けることができるのは、『その業者が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金に相当する額の範囲内』である。営業保証金の額は、主たる事務所 1,000万円、従たる事務所1ヶ所 500万円なので、本店と3ケ所の支店を有するAと宅建取引業に関し取引をしたBは、 ・1,000万円+ 500万円×3ヵ所=2,500 万円 を限度として、弁済を受ける権利を有する。 (3)誤り。お客さんが弁済業務保証金から還付を受けるには『保証協会』の認証を受けなければならない。免許権者(甲県知事)の認証ではない。 (4)誤り。Bが還付を受け、その還付額相当額の還付充当金を納付すべきことを保証協会から通知されたときは、2週間以内に納付しなければならない。これを怠ると、Aは『社員たる地位』を失う。Aの免許が効力を失うのではない。 平成6年 [問 47] 契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業者でないBからその所有地の売却の依頼を受け、Bと専属専任媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)Aは、当該物件の情報を、必ず、国土交通大臣の指定する流通機構(指定流通機構)に登録しなければならない。 (2)Aは、当該物件の評価額について意見を述べるときは、Bの請求がなくても、必ず、その根拠を明らかにしなければならない。 (3)Aは、Bとの合意により、当該専属専任媒介契約の有効期間を、2月とすることはできるが、100 日とすることはできない。 (4)Bは、当該物件の媒介の依頼を宅地建物取引業者Cに重ねて依頼することはできないが、Bの親族Dと直接売買契約を締結することができる。 平成6年 [問 47] 正解(4) (1)正しい。専属専任媒介契約を締結した場合は、物件の情報を、必ず、国土交通大臣の指定する流通機構に登録しなければならない。なお、登録は契約締結の日から『5日』以内(休業日は算入しない)にする必要がある。    (2)正しい。媒介契約を締結した場合、物件の評価額について意見を述べること自体の制限はない。依頼者の請求がなくても意見を述べることができる。ただ、物件の評価額について意見を述べるときは、依頼者の請求がなくても、必ず、その根拠を明らかにしなければならない。 (3)正しい。専任媒介契約(専属専任媒介契約を含む)の有効期間は、3ヵ月を超えることができない。従って、その専属専任媒介契約の有効期間を、2月とすることはできるが、100 日とすることはできない。 (4)誤り。専属専任媒介契約を締結した場合、依頼者は、他の業者に重ねて依頼することはおろか、自分で相手方(買主)を見つけてくること(自己発見取引)も許されない。従って、Bは親族Dと直接売買契約を締結することができない。 平成6年 [問 48] 公共性による規制(報酬額の制限) 宅地建物取引業者Aが甲の依頼を受け、宅地建物取引業者Bが乙の依頼を受けて、AB共同して甲乙間の契約を成立させ、報酬を受領した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお、Aは消費税の免税事業者、Bは消費税の課税事業者とし、消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないものとする。 (1)貸主甲の業務用建物を1月当たりの借賃 100万円で乙が借りるとの賃貸借の媒介の場合、Aが甲より 100万円、Bが乙より 103万円受領した。 (2)貸主甲の店舗用建物を権利金(権利設定の対価として支払われる金銭で、返還されないものをいう。) 500万円、1月当たりの借賃20万円で乙が借りるとの賃貸借の媒介の場合、Aが甲より21万円、Bが乙より20万 6,000円受領した。 (3)甲所有の宅地及び建物の代金をそれぞれ 3,000万円及び 2,000万円(消費税及び地方消費税込み)で乙が買うとの売買の媒介の場合、Aが甲より 156万円、Bが乙より 160万 6,800円受領した。 (4)甲所有の宅地を代金 4,000万円で乙が買うとの売買の媒介の場合、Aが甲より 136万円、Bが乙より 129万 7,800円受領した。 平成6年 [問 48] 正解(2) (1)違反する。貸借の媒介を行う場合の限度額は、借賃の1ヵ月分(100 万円)である(報酬を受領できる業者が2人いるときも)。 (2)違反しない。貸借の媒介を行う場合、それが店舗用建物で権利金の授受があるときは、その権利金の額を取引価額とみなして、売買の媒介の計算式で報酬の限度額を計算できる。すると、AとBは1人当たり、500 万円×3%+6万円= 21 万円まで受領できる。Aは消費税の免税事業者なので、 21 万円に対する5%の消費税及び地方消費税を上乗せできない。Bは、消費税の課税事業者なので、 21 万円に対する5%の消費税及び地方消費税を上乗せでき、21万円×105 %=22万 500円まで受領できる。 (3)違反する。売買の媒介を行う場合の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円である。本肢の取引価額は、約 4,905万円である(建物は消費税及び地方消費税込みだから 2,000万円×100/105 =約 1,905万円が本体価格なので)。だから、AとBは1人当たり、 4,905万円×3%+6万円=約153 万 1,500円までしか受領できない(Bは、約153 万 1,500円に5%の消費税及び地方消費税を上乗せできるだけ)。 (4)違反する。売買の媒介を行う場合の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円である。宅地は消費税及び地方消費税が非課税なので 4,000万円が本体価格だから、本肢の取引価額は、 4,000万円である。すると、AとBは1人当たり、4,000 万円×3%+6万円= 126万円までしか受領できない。 平成9年4月1日から消費税関係法の改正法が施行されており、一般に、消費税の税率は5%だと言われているが、これは、消費税(国税)4%と地方消費税(都道府県税)1%の合計が5%ということである。なお、この改正法によると、消費税の免税事業者でも、課税事業者の半分の消費税及び地方消費税(合計 2.5%)を受領できることになった。しかし、出題当時(平成6年)には関係のない制度なので、問題文には、「消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないものとする」という限定を加えた。 平成6年 [問 49] 複合問題 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)取引主任者Aが、取引主任者証の有効期間満了前に都道府県知事の指定する講習を受けることができなくて、取引主任者証の有効期間を更新することができなかった場合、Aは、その受講できなかったことに特別の事情があるとしても、当該有効期間満了後は、取引主任者の業務を行うことはできない。 (2)取引主任者Bが不正の手段により宅地建物取引主任者資格試験を受験したとして、その合格を取り消され、登録を消除されたときは、Bは、その翌日重要事項説明をする約束があっても、その業務を行うことはできない。 (3)宅地建物取引業者Cの免許の有効期間が満了した場合、Cが当該有効期間満了前に所定の免許の更新の申請をしていても、その申請についての処分がなされるまでの間、Cは、宅地建物取引業の業務を行うことはできない。 (4)宅地建物取引業者Dが不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消された場合でも、Dがその取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行については、宅地建物取引業法第12条の無免許事業の禁止規定に違反しない。 平成6年 [問 49] 正解(3) (1)正しい。どのような事情があろうと、主任者証の有効期間満了前に知事の指定する講習を受けることができなくて主任者証の有効期間を更新することができなかった場合には、現在有している主任者証は効力を失う。従って、有効期間満了後は主任者の業務を行うことはできない。 (2)正しい。不正の手段により登録を受けたとき(不正の手段により試験を受験したとして、その合格を取り消されたとき)は、登録を消除される。登録を消除された以上、主任者の業務(重要事項の説明)を行うことはできない。 (3)誤り。免許の有効期間満了前に所定の免許の更新の申請をしていれば、その申請についての処分(もう一度免許するかどうかの免許権者の処分)がなされるまでの間は、有効期間が過ぎても従前の免許が効力を有する。従って、Cは宅地建物取引業の業務を行うことができる。 (4)正しい。免許を取り消された場合でも、『取引を結了する目的の範囲内』(Dがその取消し前に締結した宅地の売買契約に基づき行う債務の履行)については、なお、宅地建物取引業者とみなされる。従って、無免許事業の禁止規定に違反しない。 平成6年 [問 50] 監督処分 甲県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Aの免許の取消しに関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)Aの役員の1人が宅地建物取引業法の規定に違反して罰金の刑に処せられたときは、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 (2)Aが乙県内で業務に関し不正又は著しく不当な行為をしても、乙県知事は、Aの免許を取り消すことができない。 (3)Aが免許を受けてから1年以内に事業を開始しない場合において、Aに相当の理由があるときは、甲県知事は、Aの免許を取り消すことができない。 (4)甲県知事は、Aが不正の手段により免許を取得したとして、その免許を取り消したときは、その旨を甲県公報に公告しなければならない。 平成6年 [問 50] 正解(3) (1)正しい。役員(取締役)が宅建取引業法の規定に違反したときは、罰金に処せられたに過ぎなくても、その法人の免許取消事由である。 (2)正しい。業務に関し不正又は著しく不当な行為をした場合は、免許取消事由である。しかし、免許取消処分は免許権者(甲県知事)しかすることができないので、乙県知事はAの免許を取り消すことができない。 (3)誤り。免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許取消事由である。そのことに相当の理由があるかどうかを問わない。 (4)正しい。知事は、その免許を受けた業者に免許取消処分を行った場合には、国土交通省令の定めるところにより、その旨を公告しなければならない。そして、この公告は都道府県の『公報』ですることになっている。     平成7年 [問 35] 宅建業者の意味(免許がいるか) 宅地建物取引業の免許に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)AがB所有の宅地を賃借してマンション(区分所有建物)を建築し、定期借地権付きマンションとして不特定多数の相手方に分譲しようとする場合、Bは、宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 (2)都市基盤整備公団が行う住宅分譲については宅地建物取引業法の適用はないので、同公団の委託を受けて住宅分譲の代理を事業として行おうとするCは、宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 (3)Dが反復継続して自己所有の宅地を売却する場合で、売却の相手方が国その他宅地建物取引業法の適用がない者に限られているときは、Dは、宅地建物取引業の免許を受ける必要はない。 (4)E(甲県知事免許)が親会社F(国土交通大臣免許)に吸収合併された場合において、Eの事務所をそのままFの事務所として使用するときは、Fが事務所新設の変更の届出をすれば、Eは、甲県知事に廃業の届出をする必要はない。 平成7年 [問 35] 正解(1) (1)正しい。Bは宅地を『自分名義で貸借』している。自分名義での貸借は宅建業法上の取引に該当しないので、Bは免許不要である。本肢はAのことを聞いていないので注意(ちなみに、Aは免許が必要である)。 (2)誤り。確かに、都市基盤整備公団には宅建取引業法の適用がないので、公団自身は免許不要である。しかし、公団を代理するCは、売買を代理しており、売買の代理は、宅建業法上の取引に該当するので、Cは免許が必要である。 (3)誤り。Dは、自分名義で売買しており、自分名義での売買は、宅建業法上の取引に該当する。Dは、売買を反復継続しているので、宅建業法上の『業』にも該当するので、Dは免許が必要である。売却の相手方が国その他宅建取引業法の適用がない者に限られていても、それらの者は不特定の者と言えるので、宅建業法上の『業』に該当しなくなるわけではない。 (4)誤り。法人(E)が合併により消滅した(吸収合併された)ときは、廃業等の届出をしなければならない。なお、「Fが事務所新設の変更の届出をする」という点は正しい。 平成7年 [問 36] 担保(営業保証金) 宅地建物取引業者Aは、甲県に本店aと支店bを設けて、額面金額 1,000万円の国債証券と 500万円の金銭を供託して営業している。この場合、宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、本店aと支店bとは、もよりの供託所を異にするものとする。 (1)Aは、額面金額 1,000万円の国債証券を取り戻すため、額面金額が同額である地方債証券及び 100万円の金銭を新たに供託したときは、遅滞なく、甲県知事に営業保証金の変換の届出をしなければならない。 (2)Aは、bを本店とし、aを支店としたときは、aのもよりの供託所に費用を予納して、bのもよりの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。 (3)Aは、営業保証金が還付されたため甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けたときは、その日から14日以内に不足額を供託しなければならない。 (4)Aは、宅地建物取引業保証協会の社員となったときは、還付請求権者に対する公告をせず、直ちに営業保証金を取り戻すことができる。 平成7年 [問 36] 正解(2) (1)正しい。主たる事務所のもよりの供託所が変更になっても、今まで有価証券をまじえて供託していた場合には保管替えを請求できないので、営業保証金を新たに供託することになる。この場合に生ずる変更のことを、『営業保証金の変換』という。宅地建物取引業者は、営業保証金の変換のため新たに供託したとき(地方債証券は額面の90%しか評価されないので、額面 1,000万円の国債証券を取り戻すには、本肢で述べているように、100 万円の金銭の追加が必要である!)は、遅滞なく、その旨を免許権者に届け出なければならないことになっている。 (2)誤り。主たる事務所(b)のもよりの供託所が変更になっても、今まで有価証券をまじえて供託していた場合には、保管替えを請求できない。新たに供託するしかない。      (3)正しい。営業保証金が還付されたため免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けたときは、その日から『2週間以内』に不足額を供託しなければならない。14日以内は、『2週間以内』と同義語である。 (4)正しい。保証協会の社員となったときは、還付請求権者に対する公告をせず、直ちに営業保証金を取り戻すことができる。 平成7年 [問 37] 複合問題 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他の宅地建物取引業者に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。 (2)宅地建物取引業の免許を受けようとして免許申請中の者は、免許を受けた場合の準備のためであれば、宅地建物取引業を営む予定である旨の表示をし、又は営む目的をもって広告をすることができる。 (3)宅地建物取引業者は、宅地建物取引業を営まなくなった後においても、本人の承諾のある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。 (4)宅地建物取引業者が宅地建物取引業以外の事業を併せて営もうとする場合は、その事業の種類について免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出た後でなければ、当該事業を開始してはならない。 平成7年 [問 37] 正解(1) (1)正しい。宅建業者は、自己の名義をもって、他の宅地建物取引業者に、宅建業を営む旨の表示をさせてはならない。また、宅建業者は、自己の名義をもって、他の宅地建物取引業者に、宅建業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。 (2)誤り。免許申請中の段階では、宅建業を営む予定である旨の表示や、広告はできない。     (3)誤り。宅建業者は、宅地建物取引業を営まなくなった後においても、『正当な理由』がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。ここに言う『正当な理由』には、本人の承諾がある場合の他に、裁判の証人になる場合や税務上の調査に協力する場合などがある。従って、「本人の承諾のある場合でなければ……秘密を他に漏らしてはならない」とは言えない。 (4)誤り。すでに宅建業者である者は、その後の兼業の種類について届け出る(変更の届出をする)必要はない。兼業の種類については、新規に免許を受けた時にだけ申告すればよい(その際、免許権者は兼業の種類を宅建取引業者名簿に登載する)。 平成7年 [問 38] 複合問題 宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という。)又は宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)甲県知事の登録を受けて、甲県に所在する本店に従事する者が、乙県に所在する支店に従事することとなったときは、2週間以内に甲県知事を経由して、乙県知事に対し、登録の移転の申請をしなければならない。 (2)宅地建物取引主任者資格試験に合格した者で、宅地建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有しないものは、合格した日から5年を経過する日までに国土交通大臣が指定する実務の講習を終了しなければ、登録を受けることができない。 (3)取引主任者が、取引主任者として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をした場合で、情状が特に重いときは、その登録を消除されるとともに、消除処分があった旨の公告がなされる。 (4)登録を受けている者で、宅地建物取引主任者証の交付を受けていないものが、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明を行い、書面に記名押印した場合で、情状が特に重いときは、登録を消除される。 平成7年 [問 38] 正解(4) (1)誤り。登録の移転は権利であり、義務ではない。従って、どのような場合でも、登録の移転の申請を「しなければならない」というようなことはない。 (2)誤り。2年以上の実務経験を有しない者が試験に合格した場合、合格した日から何年経過しても、国土交通大臣が指定する実務講習を受講できる。そして、この実務講習を受講すれば、合格した日から何年経過しても登録を受けることができる。 (3)誤り。主任者が、主任者として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をした場合で、情状が特に重いときは、登録を消除される。しかし、消除処分があった旨の公告はなされない。『公告がなされるのは、業者に対する免許取消または業務停止がなされた場合』である。 (4)正しい。取引主任者資格者(登録を受けている者で、宅地建物取引主任者証の交付を受けていないもの)が、取引主任者としてすべき事務を行った(重要事項説明を行い、書面に記名押印した)場合で、『情状が特に重い』ときは、登録を消除される。 平成7年 [問 39] 複合問題 個人である宅地建物取引業者Aは、甲県に従業者(一時的な事務補助者を除く。以下同じ。)14人の本店、乙県に従業者7人の支店を有するが、支店を廃止してその従業者全員を、本店で従事させようとしている。この場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)免許換えにより甲県知事の免許を受けようとするときは、甲県の事務所に成年者である専任の取引主任者を5人以上置く必要がある。 (2)甲県知事への免許換え申請をした場合で、国土交通大臣免許の有効期間の満了後に甲県知事の免許がなされたときは、甲県知事の免許の有効期間は、従前の免許の有効期間の満了の日の翌日から起算される。 (3)甲県知事から免許換えにより免許を受けた後において、乙県の区域内に15区画の一団の宅地分譲の申込みを受けるため案内所を設置しようとするときは、一定の事項を乙県知事及び甲県知事に直接届け出る必要がある。 (4)甲県の事務所に移転する取引主任者で、乙県知事に宅地建物取引主任者資格登録をしているものは、事務所移転に伴い自己の住所を甲県に移転したときは、遅滞なく、乙県知事に変更の登録申請をする必要がある。 平成7年 [問 39] 正解(2) (1)正しい。事務所には従業員5人に1人以上の割合の専任の取引主任者を置く必要があるので、割合は21人÷5=4.2 となり、支店廃止後の甲県の事務所(本店)には、専任の取引主任者を5人以上置く必要がある。 (2)誤り。免許換えを受けた場合の新免許の有効期間は、『免許換えの時から』5年である。本肢のように、旧免許の有効期間の満了の日の翌日から起算される(旧免許の有効期間の満了の日の翌日から5年となる)のではない。 (3)正しい。10区画以上の一団の宅地の分譲の申込みを受けるための案内所(つまり、契約行為等を行うもの)を設置しようとするときは、免許権者(甲県知事)及び現場の知事(乙県知事)に、届け出る必要がある。『案内所等の届出』(50条2項の届出)の話である。なお、案内所等の届出は、免許権者(甲県知事)に対しても、現場の知事(乙県知事)に対しても直接届け出るのが原則だ。 (4)正しい。取引主任者が住所を変更した場合は、遅滞なく『変更の登録』を申請しなければならない。申請先は、登録権者(乙県知事)である。 平成7年 [問 40] 契約前の規制(媒介契約の規制) 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結したときに依頼者に交付すべき書面には、その媒介契約が国土交通大臣の定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を記載しなければならない。 (2)宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結するときは、依頼者に対し、当該宅地又は建物に関する都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限の概要を記載した書面を交付しなければならない。 (3)宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介に関する広告をするときは、当該宅地又は建物について、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介を依頼することの許否を明示しなければならない。 (4)宅地建物取引業者は、専属専任媒介契約を締結したときは、売買又は交換の媒介の依頼の目的である宅地又は建物を、国土交通大臣が指定する者に当該契約の締結の日から3日以内(休業日を除く。)に登録しなければならない。 平成7年 [問 40] 正解(1) (1)正しい。宅建業者が宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結したときに依頼者に交付すべき書面には、その媒介契約が国土交通大臣の定める『標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別』を記載しなければならない。     (2)誤り。媒介契約を締結しても、法令に基づく制限の概要を書面化する必要はない。 (3)誤り。媒介物件の広告に際して、一般媒介契約か専任媒介契約かの別(依頼者が他の宅建業者に重ねて売買又は交換の媒介を依頼することの許否)まで、明示する必要はない。単に「媒介」と明示すれば、取引態様の明示義務をつくしたことになる。 (4)誤り。専属専任媒介契約を締結したときは、国土交通大臣が指定する者(指定流通機構)にその契約締結の日から『5日』以内(休業日は算入しない)に登録しなければならない。 平成7年 [問 41] 複合問題 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者は、宅地の売買契約において、当該宅地の上に存する登記された抵当権が宅地の引渡し時までに抹消される予定である場合には、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に際し当該抵当権の説明を省略することができる。 (2)宅地建物取引業者が15戸の一団の建物の分譲をするに当たって、当該建物の一棟に専任の取引主任者を置いた案内所を設置した場合、その案内所でなされた買受けの申込みについては、宅地建物取引業法第37条の2の規定により撤回されることがある。 (3)宅地建物取引業者は、建物の建築工事着手前において、建築基準法第6条第1項の確認を受けていない場合であっても、当該確認を受けることを停止条件とする特約付きで建物の売買契約を締結することができる。 (4)法人である宅地建物取引業者の代表者が宅地又は建物の売買に関し誇大広告を行った場合、実際にその広告により被害を受けた人がいないときであっても、その代表者だけでなく、当該法人が罰金の刑に処せられることがある。 平成7年 [問 41] 正解(4) (1)誤り。その物件の上に存する登記された権利(抵当権)の種類・内容は、説明が義務付けられている重要事項である。引渡し時までに抹消される予定でも、説明を省略できない。 (2)誤り。10戸の一団の建物の分譲を案内所を設置して行う場合のその案内所(つまり、専任の取引主任者を置くべき案内所)で買ってきたお客さんは、後で、クーリングオフできない。つまり、専任の取引主任者を置くべき案内所は、宅建取引業法37条の2の『事務所等』に該当し、そこで買ってきた場合は、後でクーリングオフできない。 (3)誤り。工事完了前で、かつ、許可等の処分がない(建築基準法第6条第1項の確認を受けていない)場合には、契約を締結できない。契約締結時期の制限の話である。 (4)正しい。誇大広告を行った場合、実際にその広告により被害を受けた人がいなくても、宅建取引業法違反であり、6月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる。この場合、代表者は自然人(人間)なので、懲役になる(もちろん罰金にも)可能性があるが、法人は身体がないので、罰金に(のみ)なる可能性がある。このように、自然人と法人の両方を処罰する建て前を両罰規定という。 平成7年 [問 42] 複合問題 宅地建物取引業者Aは、造成工事完了前の宅地を自ら売主として売却するため、他の宅地建物取引業者B(消費税免税業者)にその代理を依頼し、宅地建物取引業者Cに1億円で売却する契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、取引主任者をして、Cに対し宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明をさせる義務はなく、Bがその義務を負う。 (2)BがCから契約の締結に関し 300万円の報酬を受け取ったときでも、Bは、Aから 600万円の代理の報酬を受け取ることができる。 (3)Cは、宅地建物取引業法第37条の2に規定する事務所等以外の場所において当該契約を締結したときは、同条の規定により契約を解除できる。 (4)Aは、Cから手付金 3,000万円を受け取るときは、宅地建物取引業法第41条の規定に基づく手付金等の保全のための措置を講ずる必要はない。 平成7年 [問 42] 正解(4) (1)誤り。重要事項の説明は、売買の場合は、買主(C)にする必要がある。買主(C)が業者でも省略できない。本肢の場合、AもBも、Cに対して重要事項を説明する義務がある。 (2)誤り。売買の代理を行う場合の報酬の限度額は、A・C合計で、取引価額×3%+6万円の2倍である。本肢の取引価額は、1億円である(宅地は消費税及び地方消費税が非課税なので、売買価格がそのままここでの取引価額になる)。だから、A・C合計で、(1億円×3%+6万円)×2= 612万円までしか受領できない。本肢では、Bが、A・C合計で、 900万円もとれることになる。 (3)誤り。クーリングオフ(37条の2 の規定による契約の解除)は、いわゆる8種規制なので、買主(C)が業者である本問には適用がない。 (4)正しい。手付金等の保全措置も、8種規制なので、買主が業者である本問には適用がない。従ってAは、手付金の額に関係なく、手付金等の保全措置を講ずる必要はない。 平成7年 [問 43] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに対し宅地(造成工事完了済み)を分譲しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、当該宅地の分譲価格は 5,000万円とする。 (1)「Aが瑕疵担保責任を負うべき期間を当該宅地の引渡しの日から2年間とする」旨の特約をしたときでも、Aは、Bが瑕疵を発見した時から1年間は瑕疵担保責任を負わなければならない。 (2)Aは、「債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額を 1,000万円とし、別に違約金を 500万円とする」旨の特約をすることはできない。 (3)「Bは、Aが契約の履行に着手するまでは、手付金の半額を放棄すれば契約を解除できる」旨の特約をしても、Bは全額を放棄しなければ解除できない。 (4)「宅地建物取引業法第41条の2 に規定する手付金等の保全措置を講ずるので手付金を 1,500万円とする」旨の特約があれば、Aは、その額の手付金を受領できる。 平成7年 [問 43] 正解(2) (1)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合、瑕疵担保責任に関し民法の規定より買主に不利となる特約をしてはならず、これに反する特約は無効となる。しかし唯一、瑕疵担保責任を負うべき期間を『引渡しの日から2年以上』とする特約は、民法の規定より買主に不利となっても許されている。従って、本肢の特約は有効であり、Aは、引渡しの日から2年間、瑕疵担保責任を負う必要がある。 (2)正しい。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超える定めをしてはならず、これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について無効になる。代金額の20%は 1,000万円だから、損害賠償の予定額と違約金の合計額を 1,500万円とできない。 (3)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、手付は解約手付となるので、買主は、売主が契約の履行に着手するまでは、手付金を放棄すれば契約を解除できる。このような解約手付の性質に反する特約で、買主に不利なものは無効である。しかし、「手付金の半額を放棄すれば契約を解除できる」旨の本肢の特約は、買主に有利なので有効だから、Bは半額を放棄すれば解除できる。 (4)誤り。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、代金額の20%(1,000 万円)を超える手付を受領できない。手付金等の保全措置を講ずるかどうかは無関係である。 平成7年 [問 44] 複合問題 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが、自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため、新たに乙県内に事務所を設けることとなった場合、Aは、国土交通大臣の免許を申請しなければならない。 (2)甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Bが、区分所有建物一棟(20戸)を分譲するために、案内のみを行う現地案内所を開設した場合、Bは、当該案内所に宅地建物取引業者の標識を掲げる必要はない。 (3)宅地建物取引業者Cが本店及び支店の全ての従業者に従業者証明書を携帯させている場合、Cは、本店以外の事務所に従業者名簿を備え、取引の関係者に閲覧させる必要はない。 (4)甲県に本店、乙県に支店を有して宅地建物取引業を営むDが、甲県の本店のみで宅地建物取引業を営むこととなった場合、Dは、甲県知事に直接、免許換えの申請をする必要があるが、乙県知事に廃業の届出をする必要はない。 平成7年 [問 44] 正解(4) (1)誤り。国土交通大臣免許となるには、2つ以上の都道府県の区域内に事務所があることが要件になるが、Aの事務所は、甲県にしかない。なぜなら、乙県の事務所は宅建取引業法上の事務所ではないからである(支店は、宅建業法上の取引をすることが事務所の要件であるが、Aは建物を『自分名義で貸借』するのであり、自分名義での貸借は宅建業法上の取引に該当しない)。 (2)誤り。案内所のみを行う案内所(契約行為等を行わない案内所)にも、標識を掲げる必要がある。 (3)誤り。従業者名簿は、事務所『ごと』に、備え付けなければならない。従業者に従業者証明書を携帯させているかどうかは無関係である。 (4)正しい。Dは、甲県の本店のみで宅建取引業を営むこととなったので、甲県知事に免許換えを申請をする必要がある。免許換えは、新免許権者(甲県知事)に直接申請するのが原則だ。Dは、まだ宅建取引業を営んでいるのだから、廃業の届出は必要ない。 平成7年 [問 45] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aは、宅地の分譲を行っているテント張りの現地案内所において、宅地建物取引業者でないBから宅地の購入の申込みを受け、自ら売主として、売買代金を 4,000万円とする売買契約を締結した。この場合に関する次の特約のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、有効なものはどれか。 (1)「AがBに引き渡した宅地に隠れた瑕疵があったときは、Bが瑕疵を発見した時から1年半後まで、Aが担保責任を負担する」旨を特約した。 (2)「Aが、契約の履行に着手するまでは、Bは支払い済みの手付金及び中間金を放棄して、Aはその倍額を償還して、契約を解除することができる」旨を特約した。 (3)「Aから契約の解除ができる旨及びその方法について告げられた日から8日以内に、Bが契約の解除を申し入れても、既にAが宅地造成の工事を完了しているときは、手付金を返還しない」旨を特約した。 (4)「Bが売買代金の支払いを履行できなかったときは、Bは、Aに対する損害賠償金として、既に支払い済の手付金 200万円を充当するほか、 800万円を支払う」旨を特約した。 平成7年 [問 45] 正解(1) (1)有効である。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合、瑕疵担保責任に関し民法の規定より『買主に不利となる特約』をしてはならず、これに反する特約は無効となる。本肢の特約(「Bが瑕疵を発見した時から1年半後まで、Aが担保責任を負担する」)は、民法の規定より買主に有利となる特約だから有効である。  (2)無効である。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、手付は解約手付となるから、買主は、売主が契約の履行に着手するまでは、手付金を放棄すれば契約を解除できる。このような解約手付の性質に反する特約で、買主に不利なものは無効である。本肢の場合、買主は手付金の他に中間金を放棄しなければ解除できない特約なので、買主に不利である。従って、無効である。  (3)無効である。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、『事務所等以外の場所』(テント張りの現地案内所)で購入の申込みをした買主はクーリングオフでき、買主がクーリングオフした場合、業者は、買主に財産的な損失(手付金を返還しない)を与えてはならない。これに反する特約で買主に不利なものは無効である。 (4)無効である。業者が自ら売主となり買主が非業者である場合には、債務の不履行による契約の解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%( 800万円)を超える定めをしてはならず、これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について無効になる。従って、本肢の場合は 200万円分について無効となる。 平成7年 [問 46] 公共性による規制(報酬額の制限) 次のア〜ウの事例について、宅地建物取引業者Aが受領することのできる報酬の最高限度額を多い順に並べたものはどれか(消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないで良い)。  ア 消費税の課税事業者Aは、Bの代理依頼を受けて、Bが所有する宅地を代金5,000 万円で売却する契約を成立させ、Bから報酬を受領した。  イ 消費税の免税事業者Aは、Cの媒介依頼を受けて、Cが所有する土地付建物を代金それぞれ宅地分 7,000万円及び建物分 3,200万円(消費税及び地方消費税込み)で売却する契約を成立させ、Cから報酬を受領した。  ウ 消費税の免税事業者Aは、D及びE双方の媒介依頼を受けて、Dが所有する宅地を代金 5,200万円でDE間で売買契約を成立させ、D及びEから報酬を受領した。  (1)ア・イ・ウ  (2)イ・ウ・ア  (3)ア・ウ・イ  (4)ウ・ア・イ 平成7年 [問 46] 正解(3)  ア 売買の代理を行う場合の報酬の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円の2倍である。本肢の取引価額は、 5,000万円である(宅地は消費税及び地方消費税が非課税なので、売買価格がそのままここでの取引価額になる)。だから、AはBから、(5,000万円×3%+6万円) ×2= 312万円まで受領できる。もっとも、Aは消費税の課税業者なので、312 万円に対する5%の消費税及び地方消費税を加算できるから、本肢の最高限度額は、312 万円×105 %=327 万6,000 円である。  イ 売買の媒介を行う場合の報酬の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円である。本肢の取引価額は、約1億47万 6,190円である(建物は消費税及び地方消費税込みだから 3,200万円×100/105 =約 3,047万 6,190円が本体価格なので)。だから、AはCから、1億47万 6,190円×3%+6万円=約 307万4,285 円まで受領できる。Aは消費税の免税業者なので、 307万4,285 円に対する5%の消費税及び地方消費税を考慮しないでよいから、本肢の最高限度額は、307 万4,285 円である。                        ウ 売買の媒介を行う場合の報酬の限度額は、D・E合計で、取引価額×3%+6万円の2倍である。本肢の取引価額は、 5,200万円である。だから、AはDとEから合計、(5,200万円×3%+6万円) ×2= 324万円まで受領できる。Aは消費税の免税業者なので、本肢の最高限度額は、324 万円である。 従って、報酬の最高限度額は、ア・ウ・イの順なので、(3)が正解である。 平成9年4月1日から消費税関係法の改正法が施行されており、一般に、消費税の税率は5%だと言われているが、これは、消費税(国税)4%と地方消費税(都道府県税)1%の合計が5%ということである。なお、この改正法によると、消費税の免税事業者でも、課税事業者の半分の消費税及び地方消費税(合計 2.5%)を受領できることになった。しかし、出題当時(平成7年)には関係のない制度なので、問題文には、「消費税の免税事業者については、消費税及び地方消費税を考慮しないで良い」という限定を加えた。 平成7年 [問 47] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aは土地区画整理組合Bの施行する土地区画整理事業の施行地区内の宅地(造成工事完了済み)についてCに売買又は売買の媒介をすることとした。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。なお、B及びCは、宅地建物取引業者ではないものとする。 (1)Aが仮換地指定後の宅地の売買の媒介を行う場合でその宅地の仮換地が住宅先行建設区に指定されているときには、Aは、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明において、Cに土地区画整理法第 117条の2の規定に基づく住宅建設の時期の制限の概要を説明しなければならない。 (2)Aは、自ら売主として、Bが仮換地処分後に取得する保留地予定地(以下この問において「保留地予定地」という。)をCに販売するときには、あらかじめ、Bからその保留地予定地を取得する契約を締結しておかなければならない。  (3)Aが、施行地区内の土地を一時借り受け設置したテント張りの案内所において、BC間の保留地予定地の売買契約の締結を媒介した場合、Cは、当該売買契約を宅地建物取引業法第37条の2の規定により解除することができる。 (4)Aが保留地予定地を取得する契約を締結し、自ら売主として販売する場合、その時期が換地処分の公告前であっても、宅地建物取引業法第41条の2の規定により手付金等の保全措置を講じて、Cから代金の20パーセントの手付金を受領することができる。  平成7年 [問 47] 正解(3) (1)正しい。『法令に基づく制限で、契約内容の別に応じて、政令で定めるものに関する事項の概要』は、説明を義務付けられている重要事項であるが、売買または売買の媒介をする場合の「土地区画整理法第 117条の2の規定に基づく住宅建設の時期の制限の概要」は、これに当たる。 (2)正しい。本肢は、自己の所有に属しない物件の契約締結制限の話である。業者(A)が自ら売主となり、買主(C)が非業者の場合は、業者は、他人(土地区画整理組合B)の所有する物件(保留地予定地)について、その他人との取得契約を締結しなければ、売買契約を締結できない。 (3)誤り。本肢は、クーリングオフの話である。クーリングオフは、8種規制だから、業者(A)が『自ら売主』となる場合にのみ適用される。本問のAは、媒介業者なので、Cは、たとえテント張りの案内所で買ってきてもクーリングオフできない。 (4)正しい。本肢は、手付額の制限の話である。業者(A)が自ら売主となり、買主(C)が非業者である場合には、業者は、代金額の20%を『超える』手付を受領できない。従って、代金額の20%「まで」の手付なら受領できる。 平成7年 [問 48] 複合問題 宅地建物取引業者Aがマンションの貸借の媒介を行った場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。 (1)Aは、貸主から媒介の依頼を受けて承諾したが、媒介契約書を作成せず、貸主に交付しなかった。 (2)Aは、貸主が借賃の支払い方法を定めていなかったので、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく書面において借賃の支払い方法を記載しなかった。 (3)貸主から媒介の依頼を受けたAは、借主を見つけるために広告を行ったとき、媒介の表示はしたが、貸主の名称を表示しなかった。 (4)Aは、貸主が権利金の授受について定めていなかったので、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく書面において権利金に関する事項を記載しなかった。 平成7年 [問 48] 正解(2) (1)違反しない。媒介契約の規制として、媒介契約書(書面)の交付が義務付けられるのは、売買と交換の場合である。従って、本問のような貸借の媒介では、媒介契約書を作成・交付しなくても、業法違反にはならない。 (2)違反する。『借賃の支払い方法』は、定めがなくても、常に37条書面に記載しなければならない事項である。 (3)違反しない。貸借の媒介物件の広告に際して、貸主の名称まで、明示する必要はない。単に「媒介」と明示すれば、取引態様の明示義務をつくしたことになる。 (4)違反しない。『借賃以外の金銭(本肢の権利金)の授受』に関する事項は、定めがあるときに限って、37条書面に記載すればよい。 平成7年 [問 49]  担保(保証協会) 甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)の社員となった場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、社員となった日から2週間以内に、保証協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならず、この期間内に納付しないときは社員としての地位を失う。 (2)Aと宅地建物取引業に関し取引をした者は、Aが保証協会の社員になる前に取引をした者を除き、その取引により生じた債権について、保証協会に対し弁済業務保証金の還付を請求することができる。 (3)Aが保証協会の社員としての地位を失ったときは、その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならず、この期間内に供託しないときは甲県知事から業務停止処分を受けることがある。 (4)Aが保証協会の社員としての地位を失ったため営業保証金を供託したときは、保証協会は、弁済業務保証金の還付請求権者に対する公告を行うことなく、Aに対し弁済業務保証金分担金を返還することができる。 平成7年 [問 49] 正解(3) (1)誤り。弁済業務保証金分担金は、保証協会に『加入しようとする日までに』納付しなければならい。         (2)誤り。その業者が保証協会の社員になる『前』に取引をした者であっても、その取引により生じた債権について、保証協会に対し弁済業務保証金の還付を請求できる。    (3)正しい。保証協会の社員としての地位を失ったときは、その地位を失った日から『1週間以内』に営業保証金を供託しなければならい。そして、この期間内に供託しないときは、業務停止処分を受けることがある。          (4)誤り。社員(A)がその地位を失った以上、保証協会は弁済業務保証金分担金を返還する必要があるが、その前に、保証協会は、弁済業務保証金の還付請求権者に対する公告をして、6月を下らない一定の期間内に還付請求の申し出がないことを確かめなければならない(こういう手続きを踏まないと、保証協会は弁済業務保証金を取り戻せず、その結果、Aに弁済業務保証金分担金を返還できなくなる)。 平成7年 [問 50] 監督処分 甲県に本店(従業者13人)、乙県に支店(従業者5人)を有する個人である宅地建物取引業者Aに対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、本店の専任の取引主任者が2人となったときは、直ちに宅地建物取引業法違反となり、甲県知事は、Aに対して業務停止処分をすることができる。 (2)Aが引き続いて1年以上宅地建物取引業に係る事業を休止したときは、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 (3)Aが支店において宅地の売買契約を締結する際、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明をさせなかったときは、乙県知事は、A及び支店の専任の取引主任者に対して、必要な指示をすることができる。 (4)Aが支店において宅地の売買契約を締結した場合で、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく書面を交付しなかったときは、乙県知事は、1年以内の期間を定めて、支店だけでなく、本店における業務の停止を命ずることができる。 平成7年 [問 50] 正解(4) (1)誤り。事務所には従業者5人に1人以上の割合の専任の取引主任者を置く必要があるので、本店では13人÷5=2.6 となり、3人以上置く必要がある。だから、専任の取引主任者が2人となったときは補充等の措置を講ずる必要がある。この場合、『2週間以内』に補充等の措置を講じないと業法違反になる。直ちに業法違反になるわけではない。 (2)誤り。引き続いて1年以上宅建取引業に係る事業を休止したときは、免許が取り消されるが、取り消すのは免許権者(国土交通大臣)である。Aは2つ以上の都道府県(甲県と乙県)に事務所を有するので、国土交通大臣が免許権者である。  (3)誤り。『宅地建物取引業法の規定に違反した』(重要事項の説明をさせない)ときは、業者に対する指示処分事由に該当するので、乙県知事はAに指示処分ができる。しかし、乙県知事は支店の取引主任者には指示処分ができない。主任者に対する指示処分事由に該当しないからである。『取引主任者として行う事務に関し、不正または著しく不当な行為をした』ときは、主任者に対する指示処分事由であるが、主任者が重要事項の説明を怠っただけでは、これに該当しない。 (4)正しい。37条書面の交付義務に違反した場合は、業務停止処分事由である。業務停止とは、1年以内の期間を定めて、業務の『全部または一部』を(支店だけでなく、本店における業務を)停止することである。なお、業務停止処分は免許権者(国土交通大臣)だけでなく、現場の知事(乙県知事)も行える。 平成8年 [問 35] 契約前の規制(重要事項の説明義務) マンション(区分所有建物)の貸借の媒介をする場合に、宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項として必ず説明しなければならない事項は、次のうちどれか。 (1)用途地域内における建築物の用途制限に関する事項の概要 (2)私道に関する負担に関する事項 (3)敷金その他契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項 (4)マンションの敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めの内容 平成8年 [問 35] 正解(3) (1)重要事項として説明しなくてもよい。建築物の用途制限に関する事項の概要は、『建物の貸借以外の契約』の場合(例:区分所有建物の売買の媒介)には、重要事項として説明しなければならない。しかし、本問の建物の貸借の媒介のような、建物の貸借の契約の場合には、重要事項として説明しないでよい。 (2)重要事項として説明しなくてもよい。私道に関する負担に関する事項は、『建物の貸借以外の契約』の場合には、重要事項として説明しなければならない。しかし、建物の貸借の契約の場合には、重要事項として説明しないでよい。 (3)重要事項として必ず説明しなければならない。敷金その他契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項は、『建物の貸借の契約』と『宅地の貸借の契約』の場合に、重要事項として説明しなければならない。従って、本問の建物の貸借の媒介は、建物の貸借の契約に当たるから、重要事項として説明しなければならない。 (4)重要事項として説明しなくてもよい。マンションの敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めの内容は、『建物の貸借以外の契約』の場合には、重要事項として説明しなければならない。しかし、建物の貸借の契約の場合には、重要事項として説明しないでよい。 平成8年 [問 36] 複合問題 宅地建物取引業者A(個人)がその業務を行う場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)Aは、20区画の一団の宅地分譲に際し、見学者の案内のみを行う現地案内所を設置したが、当該案内所について都道府県知事に届出をしなかった。 (2)Aは、取引の関係者から従業者証明書の提示を求められたが、それに代えて宅地建物取引主任者証を提示した。 (3)Aは、その業務に関する帳簿を、その閉鎖後2年を経過したので焼却した。 (4)Aは、Bから停止条件付で取得する契約を締結した宅地を、その事実を故意に告げることなく、自ら売主として宅地建物取引業者でないCに売却した。 平成8年 [問 36] 正解(1) (1)業法の規定に違反しない。10区画以上の一団の宅地の分譲を案内所を設置して行う場合には、原則として案内所等の届出が必要である。但し、契約行為等を行わない案内書(契約の申込ないし受付けを予定しない案内所)については、届出が不要である。「見学者の案内のみを行う現地案内所」は、契約の申込ないし受付けを予定していないから、案内所等の届出は不要である。 (2)業法の規定に違反する。従業者は、取引関係者からの請求があったときは、従業者証明書を提示する必要がある。従業者が取引主任者である場合、従業者証明書に代えて主任者証を提示しても従業者証明書を提示したことにはならない。 (3)業法の規定に違反する。宅建取引業者は、業務に関する帳簿を各事業年度の末日(その日が閉鎖日)から、『5年間』保存しなければならない。従って、閉鎖後2年を経過したので焼却することは、業法違反である。      (4)業法の規定に違反する。業者(A)が自ら売主となり、買主(C)が非業者であるときは、他人(B)の所有する物件について、その他人との『取得契約を締結』していなければ、売買契約を締結できない。自己の所有に属しない物件の契約締結制限の話である。この場合、他人と停止条件付きの契約を締結していても、ここでいう取得契約を締結したことにはならない。従って、本肢ではまず、自己の所有に属しない物件の契約締結制限に違反する。また宅建取引業法は、重要な事項について、故意に事実を告げないことを禁止する。事実不告知等の禁止である。他人から停止条件付で取得するに過ぎない契約について、その事実を故意に告げないことは、事実不告知等の禁止にも違反する。結局、本肢の行為は、自己の所有に属しない物件の契約締結制限と事実不告知等の禁止の2ツに違反する。 平成8年 [問 37] 免許(免許を受けられない者) 次に掲げる法人のうち、宅地建物取引業の免許を受けることができるものはどれか。 (1)A社−その支店の代表者が、刑法の傷害罪で懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を満了したが、その満了の日から5年を経過していない。 (2)B社−その代表取締役が、刑法の暴行罪で罰金の略式命令を受け罰金を納付したが、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。 (3)C社−不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして免許の取消処分の聴聞を受けた後で、処分に係る決定前に、相当の理由なく宅地建物取引業を廃止した旨の届出をしたが、その届出の日から5年を経過していない。 (4)D社−その取締役の1人で非常勤である者が、宅地建物取引業以外の業務に関し刑法の脅迫罪で罰金の判決を受け罰金を納付したが、その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。 平成8年 [問 37] 正解(1) (1)免許を受けることができる。政令で定める使用人(支店の代表者)が、暴力団犯罪(傷害罪)を犯した場合、罰金以上の刑(懲役か禁固か罰金)に処せられたときは、会社(A社)は5年間免許を受けることができない。但し、執行猶予になり、その執行猶予期間が満了したときは、直ちに(5年経過しなくても)免許を受けることができる。 (2)免許を受けることができない。役員(代表取締役)が、暴力団犯罪(暴行罪)を犯した場合、罰金以上の刑(懲役か禁固か罰金)に処せられたときは、会社(B社)は5年間免許を受けることができない。 (3)免許を受けることができない。不正の手段により宅建取引業の免許を受けたとして免許の取消処分の聴聞を受けた後で、処分に係る決定前に、相当の理由なく宅建取引業を廃止した旨の届出をした者(C社)は、その届出の日から5年間免許を受けることができない。 (4)免許を受けることができない。役員(取締役)が、暴力団犯罪(脅迫罪)を犯した場合、罰金以上の刑(懲役か禁固か罰金)に処せられたときは、会社(D社)は5年間免許を受けることができない。なお、役員は非常勤でも同じである。 平成8年 [問 38] 複合問題 売主A、買主Bの間の宅地の売買について宅地建物取引業者Cが媒介をした場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。なお、この問において、35条書面とは同法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面を、37条書面とは同法第37条の規定に基づく契約内容を記載した書面をいうものとする。 (1)Bが未成年者で、契約の締結について法定代理人の同意を得ていた場合において、Cは、宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) をして、Bに対してのみ35条書面を交付して説明をさせた。 (2)Cの事務所の応接室がふさがっていたので、Cは、近くの喫茶店で、取引主任者をして、Bに対し35条書面を交付して説明をさせた。 (3)Cは、37条書面をA及びBに対して交付したが、当該書面に専任でない取引主任者をして、記名押印させた。 (4)Cは、Bに対しては37条書面を交付したが、Aに対しては37条書面を交付しなかった。 平成8年 [問 38] 正解(4) (1)業法の規定に違反しない。重要事項を記載した書面(35条書面)の交付は、買主(B)に対して行えばよい。買主が未成年者であるかどうかは無関係。 (2)業法の規定に違反しない。35条書面を交付する場所に制限はない。事務所以外の場所、例えば喫茶店で交付してもよい。 (3)業法の規定に違反しない。契約内容を記載した書面(37条書面)の交付は、売主(A)と買主(B)の両方に対して行う必要があるが、本肢はその点に違反していない。また、37条書面には取引主任者の記名押印が必要だが、記名押印すべき取引主任者は、専任でない取引主任者でもよい。本肢は、この点でも違反していない。 (4)業法の規定に違反する。(3)で述べたように、37条書面の交付は、売主(A)と買主(B)の両方に対して行う必要がある。37条書面は契約内容を記載した書面であり、契約は売主と買主の両方で行ったものだから、というのがその理由である。 平成8年 [問 39] 複合問題 甲県に本店を、乙県に支店を設けて国土交通大臣免許を受けている宅地建物取引業者Aは、甲県知事の宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という)を受けている取引主任者Bを本店の専任の取引主任者として従事させている。この場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aが商号又は名称を変更した場合には、Aはその旨を甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。 (2)Bが住所を変更した場合には、Aはその旨を甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。 (3)Bが支店の専任の取引主任者になった場合には、Aはその旨を甲県知事を経由して国土交通大臣に届け出なければならず、Bは甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。 (4)Aが本店を廃止し、乙県内にのみ事務所を有することとなった場合には、Aは国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならないが、Bは乙県知事に登録の移転の申請をする必要はない。 平成8年 [問 39] 正解(1) *変更の届出(業者Aがする)は、次の事項が変わった場合にする。 @商号・名称 A役員・政令で定める使用人の氏名 B事務所の名称・所在地  C専任の取引主任者の氏名     *変更の登録(主任者Bがする)は、次の事項が変わった場合にする。 D氏名  E住所  F本籍 G宅地建物取引業の業務に従事する者にあっては、その業者の商号または名称 (1)正しい。Aは変更の届出が必要である(上記@に該当)。大臣免許の業者の場合は、本店所在地を管轄する知事(甲県知事)を経由して、免許権者(国土交通大臣)にする。Bは変更の登録を申請する必要がある(上記Gに該当)。 (2)誤り。専任の取引主任者(B)が「住所」を変更しても、業者(A)は変更の届出をする必要がない。 (3)誤り。Bが本店の専任の取引主任者から支店の専任の取引主任者に転勤になったことは、上記Cの『専任の取引主任者の氏名』の変更に当たる。専任の取引主任者は事務所ごとに置かれるので、事務所が変わることも、ここでいう専任の取引主任者の氏名の変更になる。その点で本肢は正しい。しかし、Bは変更の登録を申請しなくてよい(転勤しても、上記DからGのいずれにも該当しない)ので、本肢は誤りとなる。 (4)誤り。Aが本店を廃止し、乙県内にのみ事務所を有することとなった場合には、1つの都道府県(乙県)の区域にのみ事務所を有することとなったので、乙県知事への免許換えが必要である。免許換えは、新免許権者(乙県知事)にする。従って、「国土交通大臣に免許換えの申請をしなければならない」という部分が誤り。 平成8年 [問 40] 複合問題 宅地建物取引業者が 3,000万円の宅地の売買の媒介契約を締結しようとする場合において、当該業者が宅地の購入をしようとしている依頼者に対して行った次の説明のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、最も適切なものはどれか。 (1)事務所ごとに従業者名簿を備えていますので、ご希望なら閲覧してください。今お見せした私の従業者証明書の番号も記載されています。 (2)周辺の土地の価格が、最近5年間で 2.5倍になっていますから、この土地の価格も今後5年間に2倍程度になることは確実です。 (3)私どもへのご依頼は宅地の購入の媒介ですので、媒介契約書の作成は省略させていただきます。 (4)売買契約が成立したときは、宅地を購入されたお客様から、 100万円の報酬をいただきます(但し、消費税及び地方消費税は考慮しないものとする)。 平成8年 [問 40] 正解(1) (1)最も適切である。業者は、事務所ごとに従業者名簿を備え、取引関係者から請求があったときは、その名簿を閲覧させなければならない。このように宅建取引業法の規定は、『取引関係者から請求があったとき』に従業者名簿を閲覧させればよいが、本肢は、請求される前に閲覧をすすめているので、より適切である。なお、従業者名簿には従業者の氏名・住所等の他に、従業者証明書の番号も記載されている。 (2)不適切である。宅建取引業に係る契約の締結を勧誘するに際し、相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供することは、禁止されている。契約締結等の不当な勧誘等の禁止の話である。本肢の行為はまさにこれに該当する。 (3)不適切である。業者は、『売買または交換の媒介契約』を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面(媒介契約書)を作成して、記名押印して、依頼者に交付しなければならない。宅地の購入の媒介は、上記の売買の媒介契約に当たるから、媒介契約書の作成を省略できない。 (4)不適切である。売買の媒介を行う場合の報酬の限度額は、1人当たり、取引価額( 3,000万円)×3%+6万円だから、消費税及び地方消費税を考慮しないと、本問では96万円が限度である。 平成8年 [問 41] 宅建業者の意味(免許がいるか) 宅地建物取引業の免許 (以下この問において「免許」という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者Aが、Bを代理して、Bの所有するマンションを不特定多数の者に反覆継続して分譲する場合、Bは、免許を受ける必要はない。 (2)Cの所有する業務用ビルを賃借しているDが、不特定多数の者に反覆継続して転貸する場合、C及びDは、免許を受ける必要はない。 (3)Eが、自己所有の農地を農地法、都市計画法等の許可を得、区画割りし、分譲宅地として不特定多数の者に対して売却する場合で、それらの売却を数年にわたり毎年春と秋に限り行うとき、Eは、免許を受ける必要はない。 (4)Fが共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)の売買の媒介を不特定多数の者に反覆継続して行う場合、Fは、免許を受ける必要はない。 平成8年 [問 41] 正解(2) (1)誤り。免許が必要となるためには、その行為が、宅建業法上の『取引』と『業』の両方に該当しなければならない。Bは、自分名義で売買しており、自分名義での売買は『取引』に該当する(宅建業AがBを代理しても、Bが自分名義で売買していることに変わりない)。また、Bは不特定多数の者に反覆継続して分譲しているので、『業』にも該当する(宅建業AがBを代理しても、Bが不特定多数の者に反覆継続して分譲していることに変わりない)。従って、Bは免許を受ける必要がある。 (2)正しい。Cは、自分名義で貸借している。自分名義での貸借は、そもそも『取引』に該当しないので、Cは免許を受ける必要がない。Dも自分名義で貸借(転貸も貸借!)しているので、Dも免許を受ける必要がない。 (3)誤り。Eは、自分名義で売買しており、自分名義での売買は『取引』に該当する。また、Eは分譲宅地として区画割りし不特定多数の者に売却しているので、『業』にも該当する。従って、Eは免許を受ける必要がある。なお、春と秋に限り行うとしても、それらの売却を数年にわたり行う以上、『業』に該当する。 (4)誤り。本肢でいう、共有会員制のリゾートクラブ会員権(宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの)は、建物に該当する。そこでFは、建物の売買を媒介していることになる。売買の媒介は『取引』に該当する。また、Fは不特定多数の者に反復継続して行うので、『業』にも該当する。従って、Fは免許を受ける必要がある。          平成8年 [問 42] 複合問題 宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という。)又は取引主任者に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業に関し不正な行為をして業務停止の処分を受けた法人において、当該処分に係る聴聞の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者は、当該処分の日から5年を経過しなければ、登録を受けることができない。 (2)甲県知事の登録を受けて宅地建物取引業に従事している取引主任者が、転居により自宅の住所を甲県から乙県に変更した場合、当該取引主任者は、乙県知事に対し、甲県知事を経由して登録の移転の申請をしなければならない。 (3)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反して、罰金の刑に処せられ罰金を納付した取引主任者は、その日から60日以内に、その旨を登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。 (4)甲県知事の登録を受けている取引主任者が、乙県内において取引主任者として行う事務に関し不正な行為をした場合で、情状が特に重いとき、甲県知事は、当該取引主任者の登録を消除しなければならない。 平成8年 [問 42] 正解(4) (1)誤り。宅建取引業に関し不正な行為をして監督処分を受けた法人において、その処分に係る聴聞の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者が、その処分の日から5年を経過しなければ、登録を受けることができないのは、監督処分が免許取消処分だった場合である。本肢のような業務停止処分の場合は、聴聞の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者でも(処分の日から5年を経過しなくても)、登録を受けることができる。 (2)誤り。登録の移転は権利であり義務ではないから、登録の移転について、申請を『しなければならない』という言い方は、誤り。 (3)誤り。取引主任者が、暴力団犯罪(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反)を犯した場合、罰金以上の刑(懲役か禁固か罰金)に処せられたときは、その日から『30日以内』に、その旨を登録をしている知事に届け出なければならない。死亡等の届出の話である。 (4)正しい。取引主任者が、取引主任者として行う事務に関し不正な行為をした場合で、情状が特に重いとき、その取引主任者の登録を消除しなければならない。なお、登録を消除するのは不正行為がなされた現場の知事(乙県知事)ではなく、登録権者(甲県知事)である。  平成8年 [問 43] 複合問題 宅地建物取引業者である法人A(甲県知事免許)の事務所において、専任の取引主任者で成年者であるもの(以下この問において「専任主任者」という。)に1名の不足が生じた場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、取引主任者Bを新たに専任主任者とした場合は、30日以内に、Bの氏名及び住所を甲県知事に届け出なければならない。 (2)Aが、甲県知事から宅地建物取引主任者証の交付を受けているCを専任主任者とした場合、Cは、同知事にその書換え交付を申請しなければならない。 (3)Aの役員であり、かつ、当該事務所で宅地建物取引業以外の業務に従事していた取引主任者Dを主として宅地建物取引業の業務に従事させることとした場合、Aは、専任主任者の変更について甲県知事に届出をする必要はない。 (4)宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の能力を有する20才未満の者(婚姻はしていない。)である取引主任者Eは、Aの役員であるときを除き、専任主任者となることができない。 平成8年 [問 43] 正解(4) (1)誤り。専任の取引主任者の氏名が変更になった場合は、業者(A)は、30日以内に、その氏名を免許権者(甲県知事)に届け出なければならない。変更の届出の話である。しかし、専任の取引主任者の住所は変更の届出の対象ではない。 (2)誤り。取引主任者(C)は、勤務先を変更したり新たに就職したりしても、主任者証の書換え交付を申請する必要がない。 (3)誤り。業者が法人である場合で、役員が、自ら主として宅建取引業に従事する事務所については、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の取引主任者と『みなされる』。つまり、任命がなくても、@役員A自ら主として宅建取引業に従事する、という要件がそろうと、その役員は、その事務所に置かれる成年者である専任の取引主任者と『みなされる』。従って、Aは、専任主任者の変更について届出(変更の届出)をする必要がある。         (4)正しい。事務所には『成年者』である専任の取引主任者を置く必要があるが、ここで成年者とは満20才以上の者を指す。20才未満の者は、営業に関し成年者と同一の能力を有する場合でも、ここでいう成年者には含まれない。なお、20才未満の者でも、婚姻をすれば民法の規定により成年者と『みなされる』ので、ここでいう成年者には含まれる。また、20才未満の未婚の未成年者でも、(3)で述べた要件(@役員A自ら主として宅建取引業に従事する)がそろうと、その者は、その事務所に置かれる成年者である専任の取引主任者と『みなされる』。従って、「営業に関し成年者と同一の能力を有する20才未満の者(婚姻はしていない)である取引主任者Eは、Aの役員であるときを除き、専任主任者となることができない」と言える。 平成8年 [問 44] 担保(保証協会) 宅地建物取引業者A (事務所数1) が、宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入しようとし、又は加入した場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aは、保証協会に加入するため弁済業務保証金分担金を納付する場合、国債証券、地方債証券その他一定の有価証券をもってこれに充てることができ、国債証券を充てるときは、その額面金額は60万円である。 (2)Aが保証協会に加入した後、新たに支店を1ヵ所設置した場合、Aは、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金30万円を供託所に供託しなければならない。 (3)Aは、保証協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた場合、その日から2週間以内に、当該還付充当金を納付しなければ社員の地位を失う。 (4)Aが保証協会の社員の地位を失い、弁済業務保証金分担金の返還を受けようとする場合、Aは、一定期間以内に保証協会の認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければならない。 平成8年 [問 44] 正解(3) (1)誤り。保証協会に加入するための弁済業務保証金分担金の納付は、有価証券ではできない。金銭(現金)納付に限る。 (2)誤り。保証協会に加入した後、新たに支店を1ヵ所設置した場合は、その日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金30万円を『保証協会に納付』しなければならない。供託所に供託するのではない。 (3)正しい。保証協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた場合、その日(通知を受けた日)から『2週間以内』に、その還付充当金を納付しなければならない。これを怠ると、社員(保証協会の会員)の地位を失う。 (4)誤り。保証協会の社員の地位を失ったときは、弁済業務保証金分担金の返還を受けることができる。この場合、一定期間(6ヵ月を下らない期間)以内に保証協会の認証を受けるため申し出るべき旨の公告、という手続きをしなければならない。保証協会の社員であった者に対する債権者(宅建取引業に関する取引により生じた債権を有する者)を探すためである。しかし、この公告手続きは、保証協会の社員であった者(A)がするのではなく、保証協会がしなければならない。 平成8年 [問 45] 契約前の規制(一般) 宅地建物取引業者Aの行う広告その他の業務処理に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aが宅地を分譲する際に国土利用計画法第23条の届出をする必要がある場合、Aは、当該届出をした後でなければ、分譲の広告をしてはならない。 (2)Aが宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした後においても、Aは、届出前に締結した宅地分譲の契約に基づく当該宅地の引渡しを不当に遅延する行為をしてはならない。 (3)Aが宅地の売買に関する注文を受けた場合で、その注文をした者が宅地建物取引業者であるとき、Aは、取引態様の別を明示する必要はない。 (4)Aの分譲する宅地が、10年後開通予定の地下鉄の複数の駅候補地の1つから徒歩5分の場所にある場合、Aは、「地下鉄の新駅まで徒歩5分」と記載したパンフレットにより契約締結の勧誘をすることができる。 平成8年 [問 45] 正解(2) (1)誤り。工事完了前で、かつ、許可等の処分がない場合、業者はすべての広告ができない。広告開始時期の制限の話である。まず本肢は、工事完了前かどうか不明なので、この広告開始時期の制限の話になるとは限らない。また、上記の許可等の処分には国土利用計画法第23条の届出は含まれない。従って、仮に本肢の宅地が工事完了前のものだったとしても、Aは、同法23条の届出をした後でなくても、分譲の広告ができる。        (2)正しい。業者は、その業務に関してなすべき宅地若しくは建物の登記若しくは引渡し、又は、取引に係る対価の支払いを不当に遅延する行為をしてはならい。ところで、宅建取引業を廃止した旨の届出をした場合は、その届出(廃業届)をした時点で、免許が効力を失う。そして、免許が効力を失った場合でも、宅建取引業者であった者(A)は、『取引を結了する目的の範囲内』については、なお、宅建取引業者とみなされる。従って、Aは、届出前に締結した契約に基づく宅地の引渡しを不当に遅延する行為をしてはならない。 (3)誤り。相手が業者でも、取引態様の明示は省略できない。    (4)誤り。宅建取引業に係る契約の締結に関する行為で、相手方等の保護に欠けるものとして、国土交通省令で定める行為は、禁止されている。契約締結等の不当な勧誘等の禁止の話である。ここで禁止される行為の一種として、その契約の目的物である宅地または建物の『将来の環境または交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供すること』というのがある。本肢の行為は、まさにこれに該当するので、このような契約締結の勧誘はできない。 平成8年 [問 46] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でない買主Bと宅地 (価格 5,000万円) の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)売買契約の締結に際し、AがBから 1,500万円の金銭を手付として受領した場合で、その後、Bが手付を放棄して契約を解除したときには、Aは、受領した金銭を一切返還する必要はない。 (2)売買契約が「宅地の引渡しまでに代金の一部として 1,000万円支払う」条件の割賦販売であった場合で、Bが 1,000万円を支払い、Aが宅地を引き渡すときは、Aは、登記その他引渡し以外の売主の義務も履行しなければならない。 (3)「債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を 500万円とする」旨の特約をした場合でも、Aの実際に被った損害の額が予定額を超えることを証明できるときは、Aは、 1,000万円を限度として、 500万円を超える額の損害賠償を請求することができる。       (4)「債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額と違約金の額をそれぞれ 1,000万円とする」旨の特約をした場合でも、損害賠償と違約金を合計した額は、 1,000万円となる。 平成8年 [問 46] 正解(4) (1)誤り。業者(A)が自ら売主となり、買主(B)が非業者である場合には、業者は、代金額の20%(本問では 1,000万円)を超える手付を受領できない。従って、Bが 1,500万円の手付を放棄して契約を解除したときでも、Aは、 500万円を不当利得としてBに返還する必要がある。 (2)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときに、割賦販売契約をした場合、買主の支払い額が代金額の30%(本問では 1,500万円)を超えていれば、業者は、登記(登記その他引渡し以外の売主の義務)を買主に移す必要がある。割賦販売の所有権留保等の話である。しかし本肢では、買主の支払い額が代金額の20%( 1,000万円)しかないのだから、業者は、このような義務(登記その他引渡し以外の売主の義務)を履行しないでよい。  (3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、債務の不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超える定めをしてはならない。しかし、代金額の20%以下の定め( 500万円)をした場合には、その定め(特約)に拘束される(民法の規定による)。従って、Aの実際に被った損害の額が予定額を超えることを証明できるとしても、Aは 500万円を超える額の損害賠償を請求できない。 (4)正しい。債務の不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを『合算した額が』代金額の20%を超える定めをしてはならない。これに反する特約は、代金額の20%を超える部分について無効になる。本肢では「それぞれ 1,000万円とする」旨を特約し、合算した額が代金額の40%になっているから、代金額の20%(1,000万円)を超える部分について無効になる。従って、損害賠償と違約金を合計した額は、 1,000万円となる。 平成8年 [問 47] 担保(営業保証金) 宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から1月以内に営業保証金を供託した旨の届出がない場合、当該免許を受けた宅地建物取引業者に対して届出をすべき旨の催告をしなければならない。 (2)宅地建物取引業者 (事務所数1) がその事業を開始するため営業保証金として金銭及び地方債証券を供託する場合で、地方債証券の額面金額が 1,000万円であるときは、金銭の額は、 100万円でなければならない。 (3)宅地建物取引業者は、事業開始後支店を1つ新設した場合には、当該支店のもよりの供託所に営業保証金 500万円を供託しなければならない。 (4)宅地建物取引業者は、営業保証金が還付されたためその額に不足を生じた場合、不足が生じた日から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。 平成8年 [問 47] 正解(2) (1)誤り。国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から『3月以内』に、営業保証金を供託した旨の届出がない場合、その免許を受けた宅建取引業者に対して、届出をすべき旨を催告しなければならない (2)正しい。事務所数1の宅建取引業者がその事業を開始するため営業保証金の額は、 1,000万円である。ところで、営業保証金として地方債証券を供託する場合の評価額は、額面金額の90%になる。従って、本肢の地方債証券は 900万円にしか評価されないので、金銭の額は 100万円でなければならない。 (3)誤り。事業開始後支店を1つ新設した場合には、供託所に支店分の営業保証金500 万円を供託しなければならないが、供託先は、その支店のもよりの供託所ではなく、『主たる事務所のもより』の供託所である。 (4)誤り。宅建取引業者は、営業保証金が還付されたためその額に不足を生じた場合には、免許権者から不足額を供託すべき旨の『通知書の送付を受けた日』から2週間以内に、その不足額を供託しなければならない。不足が生じた日から2週間以内ではない。 平成8年 [問 48] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者でないAが、A所有のマンションをBの媒介によりCに売却し、その後CがDに転売した場合の特約に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、B、C及びDは、宅地建物取引業者であるものとする。 (1)AB間において専任媒介契約を締結した場合において、「有効期間は1年とする」旨の特約は無効であり、有効期間の定めのない契約とみなされる。 (2)AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「瑕疵担保責任の期間をマンション引渡しの日から1年とする」旨の特約をしても、その特約は、CD間では有効であるが、AC間では無効である。 (3)AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「違約金の額を代金の額の3割とする」旨の特約をしても、その特約は、それぞれ代金の額の2割を超える部分については無効である。 (4)AC間及びCD間のそれぞれの売買契約において、「契約締結日から5日間に限り損害賠償又は違約金の支払いをすることなく契約を解除することができる」旨の特約をしても、宅地建物取引業法に違反しない。 平成8年 [問 48] 正解(4) (1)誤り。専任媒介契約の有効期間は3ヵ月を超えることができず、3ヵ月を超える特約をした場合、その有効期間は3ヵ月に短縮される。従って、本肢の専任媒介契約は、有効期間3ヵ月の契約とみなされる。 (2)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合、瑕疵担保責任に関し民法の規定より買主に不利になる特約は、無効になる。本肢の特約は民法の規定より買主に不利になるが、この規定は、あくまで『業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合』にだけ適用される。AC間の売買契約、CD間の売買契約は、共に買主が業者なので、この規定は適用されない。従って、本肢のような特約をしても、その特約は、AC間でもCD間でも、有効である。   (3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、債務の不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額または違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金額の20%を超える定めをしてはならず、これに反する特約は代金額の20%を超える部分について無効になる。本肢の特約は代金額の20%を超えているが、この規定も、あくまで『業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合』にだけ適用されるので、本問では適用されない。従って、本肢のような特約をしても、その特約は、AC間でもCD間でも、有効である。   (4)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、いわゆるクーリングオフの規定が適用されるので、本肢のような特約は無効になる(クーリングオフは8日まで可能なので)。しかし、この規定も、あくまで『業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合』にだけ適用されるので、本問では適用されない。従って、本肢の特約は、AC間でもCD間でも、有効である。宅建取引業法にも違反しない。 平成8年 [問 49] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが、宅地建物取引業者でないBからBの自宅近くの喫茶店で宅地の買受けの申込みを受け、自ら売主としてBと宅地の売買契約(手付あり)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)AがBに宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき契約を解除できる旨告げなかった場合でも、Bは、宅地の引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払った後は、同条の規定により契約を解除することはできない。 (2)AがBに宅地建物取引業法第37条の2の規定により契約を解除できる旨告げた場合で、同条の規定に基づき解除できる期間を経過したとき、Bは、Aに債務不履行があったとしても、不履行を理由に契約を解除することはできない。 (3)手付の放棄により契約を解除できる旨の特約がない場合でも、Bは、Aが契約の履行に着手するまでは手付を放棄して契約を解除することができる。 (4)宅地の引渡しがあるまでは、いつでも手付の放棄により契約を解除できる旨の特約がある場合、Bは、Aが契約の履行に着手していたとしても、手付を放棄して契約を解除することができる。 平成8年 [問 49] 正解(2) (1)正しい。業者(A)が自ら売主となり、買主(B)が非業者である場合には、事務所等以外の場所(喫茶店)で購入の申込をした買主はクーリングオフできる(宅建取引業法37条の2の規定に基づき契約を解除できる)。但し、買主が物件の引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払ったときは、クーリングオフできなくなる。売主が買主にクーリングオフできることを告げなかった場合でも同じである。 (2)誤り。売主が買主にクーリングオフできることを告げた場合(AがBに宅建取引業法37条の2の規定により契約を解除できる旨告げた場合)、買主は、告げられた日から起算して8日を経過したとき(同条の規定に基づき解除できる期間を経過したとき)、クーリングオフできなくなる。でもBには、Aの債務不履行を理由とする解除権があったというのだから、クーリングオフという形での解除はできなくても、民法上の債務不履行を理由とする解除はできる。 (3)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、手付は解約手付となる(常に解約手付となる)から、手付の放棄により契約を解除できる旨の特約がなくても、買主は、売主が契約の履行に着手するまでは手付を放棄して契約を解除できる。 (4)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、解約手付の性質に反する特約で『買主に不利』なものは無効である。しかし、本肢の特約は、売主が契約の履行に着手していたとしても、「宅地の引渡しがあるまで」手付の放棄により契約を解除できるというものであり、買主に有利だから、有効である。従って、買主Bは、売主Aが契約の履行に着手していたとしても、宅地の引渡しがあるまでは、手付を放棄して契約を解除できることになる。 平成8年 [問 50] 監督処分 甲県内にのみ事務所を設置している宅地建物取引業者Aが、自ら売主として乙県内でマンション(建築工事完了前)の分譲を行う場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)Aが乙県内にも事務所を有することとなった場合で、国土交通大臣の免許を受けていないことが判明したとき、甲県知事は、Aに対し1年以内の業務停止を命ずることができる。 (2)Aが宅地建物取引業法第41条第1項の規定に違反して手付金等の保全措置を怠ったとき、乙県知事は、Aに対し1年以内の業務停止を命ずることができる。 (3)Aが乙県知事の免許を受けた宅地建物取引業者Bの名義でマンションの分譲の広告をしたとき、甲県知事は、Aに対し必要な指示をすることができる。 (4)Aがマンション建築のための建築基準法第6条第1項の確認を受ける前にマンションの分譲の広告をしたとき、乙県知事は、Aに対し必要な指示をすることができる。 平成8年 [問 50] 正解(1) (1)誤り。Aが乙県内にも事務所を有することとなった場合には、2ツ以上の都道府県の区域内に事務所を有することになるので、Aは、甲県知事免許から国土交通大臣免許への免許換えが必要になる。免許換えが必要なのに、新免許(国土交通大臣免許)を受けていないことが判明したときは、免許取消になる。業務停止では済まない。 (2)正しい。手付金等の保全措置を怠ったときは、業務停止の事由になる。なお、業務停止の期間は1年以内であり、業務停止処分は不正行為がなされた現場の知事(乙県知事)もできる。 (3)正しい。業者Aが業者Bの名義でマンションの分譲の広告をしたときは、Aは、宅建取引業法に違反する(取引態様の明示義務違反)。宅建取引業法に違反したときは、指示処分の事由になる。 (4)正しい。建築工事完了前の物件について、許可等の処分(建築確認)がないのに分譲の広告をしたときは、Aは、宅建取引業法に違反する(広告開始時期の制限違反)。宅建取引業法に違反したときは、指示処分の事由になる。なお、指示処分は不正行為がなされた現場の知事(乙県知事)もできる。 平成9年 [問 30]公共性による規制(一般) 宅地建物取引業者の従業者名簿に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)従業者名簿に、従業者の氏名、住所、生年月日及び主たる職務内容を記載したが、宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という。)であるか否かの別は記載しなかった。 (2)従業者名簿を、最終の記載をした日から5年間保存し、その後直ちに廃棄した。 (3)従業者名簿を、それぞれの事務所ごとに作成して備え付け、主たる事務所に一括して備え付けることはしなかった。 (4)取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたが、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、この申出を断った。 平成9年 [問 30]正解(3) (1)違反する。業者は、国土交通省令の定めるところにより、その事務所ごとに、従業者名簿を備えて、一定の事項を記載しなければならないが、この一定の事項には、従業者の氏名、住所、生年月日、主たる職務内容の他に、取引主任者であるか否かの別も含まれる。 (2)違反する。従業者名簿は、最終の記載をした日から10年間保存する必要がある。 (3)違反しない。従業者名簿は『その事務所ごとに』備え付ける義務がある。従って、主たる事務所に一括して備え付けることをしなくても、業法の規定に違反しない。 (4)違反する。業者は、取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたときは、その者に閲覧させる必要がある。宅建業法45条に規定する秘密は、業務上取り扱ったことについてのそれであり、いわばお客さんの秘密だから、業者が取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたときに、45条に規定する秘密保持義務を理由に閲覧を拒むことはできない。 平成9年 [問 31]宅建業者の意味(免許がいるか) 宅地建物取引業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aが、土地区画整理事業により換地として取得した宅地を10区画に区画割りして、不特定多数の者に対して売却する場合、Aは、免許を必要としない。 (2)Bが、借金の返済に充てるため自己所有の宅地を10区画に区画割りして、多数のBの知人又は友人に対して売却する場合、Bは、免許を必要とする。 (3)Cが、甲県の所有する宅地の売却の代理を甲県から依頼され、当該宅地を10区画に区画割りして、多数の公益法人に対して売却する場合、Cは、免許を必要としない。 (4)Dが、1棟のマンション(10戸)を競売により取得し、自ら借主を募集し、多数の学生に対して賃貸する場合、Dは、免許を必要とする。 平成9年 [問 31]正解(2) (1)誤り。免許が必要となるためには、その行為が、宅建業法上の『取引』と『業』の両方に該当しなければならない。Aは自分名義で売買しており、自分名義での売買は『取引』に該当する。また、不特定多数の者に反復継続して売却するので、『業』にも該当する。従って、Aは免許を必要とする。 (2)正しい。Bは自分名義で売買しており、自分名義での売買は『取引』に該当する。また、不特定多数の者(多数の知人又は友人は不特定多数の者だ)に反復継続して売買するので、『業』にも該当する。従って、Bは免許を必要とする。 (3)誤り。Cは売買の代理をしており、売買の代理は『取引』に該当する。またCは、不特定多数の者(多数の公益法人は不特定多数の者だ!)に反復継続して売買するので、『業』にも該当する。従って、Cは免許を必要とする。 (4)誤り。Dが1棟のマンションを競売により取得した点については免許を必要としない。Dの競売による取得は自分名義での売買として『取引』に該当するが、不特定多数の者に対する反復継続性が認められず、『業』とは言えないからだ。また、Dが自ら借主を募集し多数の学生に対して賃貸する点についても免許を必要としない。多数の学生に対して賃貸することは、不特定多数の者に対する反復継続性が認められ『業』とは言えるが、そもそも自分名義での貸借は『取引』に該当しないからだ。 平成9年 [問 32]取引主任者(登録を受けられない者) 宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)甲県知事の登録を受けているAは、甲県知事に対して宅地建物取引主任者証の交付を申請することができるが、Aの登録及び宅地建物取引主任者証の有効期間は、5年である。 (2)取引主任者Bが、取引主任者として行う事務に関し不正な行為をし、昨年5月1日から6月間の事務の禁止の処分を受け、同年6月1日に登録の消除の申請をして消除された場合、Bは、同年12月1日以降でなければ登録を受けることができない。 (3)宅地建物取引業者C(法人)が、不正の手段により免許を受けたとして免許を取り消された場合、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の前日にCの役員であったDは、取消しの日から5年を経過しなければ、登録を受けることができない。 (4)甲県知事の登録を受けているEが、不正の手段により登録を受けたことにより登録の消除の処分を受けた場合でも、当該処分の1年後、転居先の乙県で宅地建物取引主任者資格試験に合格したときは、Eは、いつでも乙県知事の登録を受けることができる。 平成9年 [問 32]正解(3) (1)誤り。主任者証の交付を申請する先は登録している知事(甲県知事)であり、主任者証の有効期間は5年だ。その限りでは本肢は正しい。しかし、登録には有効期間がない。登録は、それが途中で消除されない限り一生有効だ。 (2)誤り。事務の禁止の処分を受け、その期間中に登録の消除の申請をして消除されたが、まだ『事務の禁止期間が満了しないとき』は、登録を受けることができない。本肢で事務の禁止期間が満了するのは5月1日から6月後の11月1日だから、Bは、11月1日以降なら登録を受けることができる。 (3)正しい。不正手段による免許取得に該当したことを理由に、免許を取消された者が法人(C)である場合、その法人の免許取消しに係る聴聞の期日及び場所の『公示日前60日以内』に、その役員であった者(Dは公示の前日に役員だったので、これに該当!)は、法人の免許取消しの日から5年を経過しなければ、登録を受けることができない。          (4)誤り。不正手段による登録取得を理由、登録を消除されてから5年経たない者は、登録を受けることができない。 平成9年 [問 33]免許(免許取得後の事情変更) 宅地建物取引業者A(法人)が甲県知事から免許を受けている場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aが、乙県内で建設業を営んでいる法人B(事務所数1)を吸収合併して、Bの事務所をAの支店とし、そこで建設業のみを営む場合、Aは、国土交通大臣へ免許換えの申請をする必要はない。 (2)Aが合併により消滅した場合、Aの代表役員であった者は甲県知事にその旨の届出をしなければならないが、Aの免許は、当該届出の時にその効力を失う。 (3)Aが、乙県内で一団の宅地建物の分譲を行うため案内所を設置した場合、Aは、国土交通大臣へ免許換えの申請をする必要がある。       (4)Aの役員の1人が、刑法第 209条(過失傷害)の罪により3年前に罰金の刑に処せられ、罰金を納付していることが判明した場合、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 平成9年 [問 33]正解(1) (1)正しい。知事免許を受けた者が、2ツ以上の都道府県の区域に『事務所』を有することとなったときは、知事免許から国土交通大臣免許への免許換えを申請する必要がある。ところで『事務所』は、支店については宅建取引業を行うものだけを指す。従って、本肢のBの事務所は、建設業のみを営むので、事務所には数えない。すると、法人Bを吸収合併したAの事務所は、依然として、甲県にしかないことになるから、Aは、国土交通大臣への免許換えを申請する必要はない。 (2)誤り。法人が合併により消滅したときは、その代表役員であった者は、30日以内に、その旨を免許権者(甲県知事)に届け出る必要がある(廃業等の届出)。この場合、合併により消滅した法人(A)の免許は、その事実が発生した時(合併により消滅した時)に、効力を失う。届出の時に効力を失うのではない。 (3)誤り。知事免許を受けた者が、2ツ以上の都道府県の区域に『事務所』を有することとなったときは、知事免許から国土交通大臣免許への免許換えを申請する必要がある。ところで『事務所』には、案内所は含まれない。従って、Aの事務所は甲県にしかないのだから、Aは、国土交通大臣への免許換えを申請する必要はない。 (4)誤り。役員が傷害罪(刑法 204条)等の暴力団犯罪を犯した場合は、5年以内に罰金以上の刑に処せられたことが判明したとき、法人の免許が取り消される。しかし本肢のように、役員が普通の犯罪(本肢の過失傷害罪−不注意で人を傷つける罪−)を犯した場合は、5年以内に禁固以上の刑(禁錮または懲役)に処せられたことが判明したとき、法人の免許が取り消される。 平成9年 [問 34]担保(営業保証金) 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、甲県内に本店と支店aを設置して営業しようとし、又は営業している場合の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)Aが、甲県知事から営業保証金の供託の届出をすべき旨の催告を受けたにもかかわらず、その催告が到達した日から1月以内に届出をしない場合、Aは、実際に供託をしていても、免許の取消処分を受けることがある。 (2)Aと支店aで宅地建物取引業に関する取引をした者は、その支店aにおける取引により生じた債権に関し、 500万円を限度として、Aの供託した営業保証金の還付を請求することができる。 (3)Aが、新たに甲県内に支店bを設置したが、同時に従来の支店aを廃止したため、事務所数に変更を生じない場合、Aは、新たに営業保証金を供託する必要はない。 (4)Aが支店aを廃止し、営業保証金の額が政令で定める額を超えた場合において、Aは、その超過額について、還付請求権者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をし、その期間内に申出がないとき、当該超過額を取り戻すことができる。 平成9年 [問 34]正解(2) (1)正しい。宅建取引業者が、免許を受けた日から3ヵ月以内に営業保証金の供託をした旨の届出をしないときは、免許権者(甲県知事)は、営業保証金の供託の届出をすべき旨の催告ができる。業者が、この催告を受けたのに催告が到達した日から1ヵ月以内に届出をしない場合、免許権者は、免許の取消処分をすることができる。従って、Aは免許の取消処分を受けることがある。この制度は、業者に届出をうながすためにあるから、実際に供託していても適用される。 (2)誤り。宅建取引業者と取引をした者は、宅建取引業に関する取引により生じた債権に関して、宅建取引業者が供託した『営業保証金について(営業保証金を限度として)』、弁済を受ける権利を有する。Aが供託した営業保証金は、本店の分 1,000万円、支店aの分 500万円の合計 1,500万円だから、本肢の場合は、 1,500万円を限度として、Aの供託した営業保証金の還付を請求できる。 (3)正しい。事業の開始後、『新たに事務所を設置した』ときは、その事務所につき、新たに1ヵ所 500万円の営業保証金を供託する必要がある。ここでいう 『新たに事務所を設置した』ときとは、事務所数が増えること(増設)を指す。従って、本肢のように事務所数に変更を生じない場合は、新たに営業保証金を供託する必要はない。 (4)正しい。Aが支店aを廃止したら、営業保証金の額は政令で定める額(本店の分 1,000万円だけでよい)を超えるので、Aは、その超過額( 500万円)を取り戻すことができる。この場合いきなり取り戻せるのではなく、還付請求権者に対し所定の期間内(6ヵ月を下らない期間内)に申し出るべき旨の公告をし、その期間内に申出がないときに、取り戻せる。 平成9年 [問 35]担保(保証協会) 宅地建物取引業者A(甲県知事免許、事務所数1)が宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入している場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)Aは、甲県内に新たに支店を2ヵ所設置した場合、その日から2週間以内に弁済業務保証金分担金 120万円を保証協会に納付しなければならない。 (2)Aは、保証協会加入前に供託していた営業保証金を取り戻す場合、還付請求権者に対する公告をした旨を甲県知事に届け出なければならない。 (3)Aは、宅地建物取引業に関する取引の相手方に対し、取引が成立するまでの間に、取引主任者をして保証協会の社員である旨及び当該保証協会の名称を説明させなければならない。 (4)保証協会の供託した弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者が、その還付請求をしようとする場合は、当該保証協会の認証を受けた後、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に請求しなければならない。 平成9年 [問 35]正解(4) (1)誤り。保証協会の社員である宅建取引業者が、新たに事務所を設置(増設)したときは、その日から2週間以内に、1ヵ所30万円の弁済業務保証金分担金を保証協会に納付する必要がある。従って、本肢では60万円を保証協会に納付すればよい。 (2)誤り。保証協会の社員である宅建取引業者が、保証協会加入前に供託していた営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対する公告をする必要はない。従って、公告した旨を免許権者(甲県知事)に届け出る制度もない。 (3)誤り。宅建取引業者が保証協会の社員であるときは、相手方等に対して、契約(取引)が成立するまでの間に、保証協会の社員である旨、当該保証協会の名称等を説明しなければならないが、この説明は取引主任者にさせる必要はない。 (4)正しい。保証協会の供託した弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者が、その還付請求をしようとする場合は、保証協会の認証を受けなければならない。そして、還付請求先は、『法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所』である。そもそも弁済業務保証金の供託先が法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所になっているので、還付請求先も同じ供託所になるわけだ。ちなみに現在、法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所は、東京法務局となっている。 平成9年 [問 36]契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aは、売主Bとの間で、宅地の売買の専任媒介契約を締結し、宅地建物取引業法第34条の2の規定に基づく媒介契約の内容を記載した書面(以下この問において「34条の2書面」という。)を交付した。この場合、同法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 (1)Aが、34条の2書面に記載した宅地を売買すべき価額について意見を述べる場合は、その根拠を書面により明らかにしなければならない。 (2)Bが宅地建物取引業者である場合でも、Aは、34条の2書面に、Bが他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置を記載しなければならない。 (3)Bが宅地建物取引業者である場合は、専任媒介契約締結時にあらかじめBの申出があれば、「契約の有効期間は3月を超えない範囲内で自動更新する」旨約定し、それを34条の2書面に記載することができる。 (4)Aが、取引主任者でない従業者をして、Aの名で34条の2書面に記名押印させた場合、Aは、業務の停止などの監督処分を受けることがある。 平成9年 [問 36]正解(2) (1)誤り。売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。しかし、明らかにする方法は書面に限られない。口頭でも良い。 (2)正しい。専任媒介契約を締結した場合、他の宅建取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置は、媒介契約書(34条の2書面)に、必ず記載しなければならない事項だ。依頼者(B)が宅建取引業者であっても同じだ。 (3)誤り。専任媒介契約を締結した場合、その更新をするには、『有効期間の満了に際して』依頼者の申出があることが必要だ。従って、契約締結時に「あらかじめ」の申出があっても、更新できない。 (4)誤り。宅建取引業者は、媒介契約を締結したときは、遅滞なく、一定の事項を記載した書面(34条の2書面)を作成して、『記名押印』して、依頼者に交付しなければならないが、この記名押印をするのは、取引主任者でない従業者でもよい。従って、Aは宅建取引業法に違反していなのだから、業務の停止などの監督処分を受けることもない。 平成9年 [問 37]契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業者が宅地(代金 1,000万円)を販売する場合に、宅地建物取引業法第35条の規定に基づく書面に必ず記載しなければならない重要事項は、次のうちどれか。 (1)代金の支払の方法 (2)50万円未満の額の手付金を授受する場合の当該手付金の額 (3)50万円未満の額の預り金を授受する場合の当該預り金の保全措置の概要 (4)50万円未満の租税その他の公課の負担に関する事項 平成9年 [問 37]正解(2) (1)重要事項ではない。代金の支払の方法は重要事項ではない。 (2)重要事項である。代金、交換差金、借賃以外に授受される金銭の額及びその金銭の授受の目的は、重要事項だ。本肢の手付金はこれに該当する。金額を問わない。 (3)重要事項ではない。支払金または預り金を受領しようとする場合において、その預り金の保全措置の概要は、金額が50万円以上の場合は、重要事項だ。しかし、50万円未満のときは重要事項ではない。 (4)重要事項ではない。租税その他の公課の負担に関する事項は、定めがあれば、契約成立時に交付すべき書面(37条書面)の記載事項だが、重要事項ではない。金額を問わない。 平成9年 [問 38]複合問題 宅地建物取引業者Aが、貸主Bと借主Cの間の建物貸借契約(以下この問において単に「契約」という。)の締結を媒介し、又はしようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)契約成立前に、Bが、Aを通してCから、貸借希望の真摯なことの証明の目的で申込証拠金を受領した場合において、Aは、Cに対し「契約が成立したとき、申込証拠金を手付金の一部に充当し、Cは手付金の不足分を契約成立後7日以内に支払わなければならない」旨説明して、契約を締結させた。 (2)建物の上の抵当権の登記に関し、「建物の引渡しの時期までには必ず抵当権を抹消できるから、Cには内密にしておいてほしい」旨のBの依頼にかかわらず、Aは、Cに対して宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項(以下この問において「重要事項」という。)として、当該登記について説明した。 (3)AがCに対して重要事項の説明を行う場合に、契約終了時における敷金の精算に関する事項についてのBの意思が明確でなかったため、Aは、止むを得ず代替の措置として、当該建物の近隣にある類似建物についての精算の例をCに説明するにとどめた。 (4)Aは、Cが他の物件をも探索していたので、重要事項を口頭で説明したが、その数日後、CからAに対し電話で「早急に契約を締結したい」旨の申出があったので、その日のうちにB及びCの合意を得て契約を成立させ、契約成立の日の翌日、Cに重要事項を記載した文書を郵送した。 平成9年 [問 38]正解(2) (1)違反する。宅建取引業者は、その業務に関して、相手方等に対して、手付について貸与その他信用を供与することにより、契約の締結を誘引する行為をしてはならない。手付貸与等による契約締結の誘引の禁止である。本肢では、手付金の不足分を最高7日貸し付けて契約を締結させたのだから、手付貸与等による契約締結の誘引の禁止規定に触れ、業法違反だ。 (2)違反しない。宅建取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。秘密漏えいの禁止である。本問建物に抵当権が登記されていることはBの秘密だが、建物の上の抵当権の登記は、重要事項としての説明が義務付けられている。従って、正当な理由があるので、AがBの依頼を無視しても、秘密漏えいの禁止規定に触れず、業法違反ではない。 (3)違反する。建物の貸借の契約の場合は、『敷金その他いかなる名義をもって授受されるかを問わず、契約終了時において精算することとされている金銭の精算に関する事項』は、重要事項だ。本肢では、Bの意思が明確でなかったため、この敷金の精算に関する事項が定まっていないが、定まっていない場合は、定まっていない旨を説明する必要がある。従って、本肢のようなやり方では重要事項の説明義務に反し、業法違反だ。 (4)違反する。重要事項は、契約が成立するまでの間に、書面を交付して、説明しなければならない。従って、重要事項を口頭で説明してもダメだ。また、契約成立の日の翌日に重要事項を記載した文書を郵送しても、ダメだ。従って、Aは重要事項の説明義務に反し、業法違反だ。 平成9年 [問 39]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建築工事完了前の分譲住宅の売買契約(代金 5,000万円、手付金 200万円、中間金 200万円)を締結した。この場合に、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 (1)Aは、手付金を受け取る時点では、宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置 (以下この問において「保全措置」という。)を講じる必要はない。 (2)売買契約で手付金が解約手付であることを定めておかなかった場合でも、Aが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。 (3)売買契約で「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約をしていた場合でも、契約締結から45日経過後にAが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。 (4)契約締結時の2月後で分譲住宅の引渡し及び登記前に、Aが中間金を受け取る場合で、中間金を受け取る時点では当該分譲住宅の建築工事が完了していたとき、Aは、手付金及び中間金について保全措置を講じる必要はない。 平成9年 [問 39]正解(4) (1)正しい。工事完了前の物件の場合、代金額( 5,000万円)の5%を超え、または、 1,000万円を超える手付金等を受領しようとする前に、保全措置を講じる必要がある。本肢の手付金は 200万円だから、代金額の5%も 1,000万円も超えていない。従って、保全措置を講じる必要はない。 (2)正しい。宅建取引業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建取引業者でない場合には、受領した手付はいかなる性質のものであっても、解約手付としての性質を有するので、本問の手付は解約手付だ。解約手付が授受された場合、買主は、売主Aが契約の履行に着手するまでは、手付を放棄して契約を解除できる。 (3)正しい。宅建取引業者が自ら売主となり、かつ、買主が宅建取引業者でない場合には、受領した手付はいかなる性質のものであっても、解約手付としての性質を有するが、この解約手付としての性質に反する特約で買主に不利なものは無効である。解約手付が授受された場合、買主は、売主が契約の履行に着手するまでは(いつまででも)、手付を放棄して契約を解除できるのだから、本肢の特約は、買主に不利なものとして無効になる。従って、契約締結から45日経過していても、Aが契約の履行に着手していない間は、Bは、手付を放棄して契約を解除ができる。 (4)誤り。契約締結時に工事完了前の物件であった以上、中間金を受け取る時点で工事が完了していても、手付金等の保全措置の要否の基準は、工事完了前の物件として考えることになる。中間金を受け取る時点での手付金等の額は、手付金 200万円と中間金 200万円の合計 400万円だ。この 400万円は代金額の5%を超えている。従って、Aは、手付金及び中間金について保全措置を講じる必要がある。 平成9年 [問 40]契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業者Aが、売主B、買主Cとする建物の売買の媒介をした場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)Aは、建物の売買契約の成立時において、Cに手付金全額の用意ができていなかったので、不足分を立て替えて、当該売買契約を成立させた。 (2)Aは、売買契約が成立するまでの間に、代金に関する融資のあっせんについて融資条件を説明したが、その融資が成立しないときの措置についてはCに説明しなかった。 (3)Aは、建物の引渡しの時期についてBとCの合意が不確定であったので、売買契約が成立するまでの間に、当該事項をCに説明しなかった。 (4)Aは、契約の解除に関する事項について売買契約が成立するまでの間にCに説明しなかったが、そのことについて過失はあったものの故意はなかった。 平成9年 [問 40]正解(3) (1)違反する。宅建取引業者は、その業務に関して、相手方等に対して、手付について貸与その他信用を供与することにより、契約の締結を誘引する行為をしてはならない。手付貸与等による契約締結の誘引の禁止である。本肢では、手付金の不足分を立て替えて契約を締結させたのだから、手付貸与等による契約締結の誘引の禁止規定に触れ、業法違反だ。 (2)違反する。『代金、交換差金に関する金銭の貸借(融資)のあっせんの内容、及び、そのあっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置』は重要事項として説明する義務がある。従って、その融資が成立しないときの措置についてもCに説明する必要があるので、Aは重要事項の説明義務に反し、業法違反だ。 (3)違反しない。契約が成立するまでの間に、説明すべきなのは重要事項だが、建物の引渡しの時期は、重要事項として説明する義務がない。従って、重要事項の説明義務に反せず、業法違反ではない。なお、建物の引渡しの時期は、契約成立時に交付すべき書面(37条書面)の記載事項ではある。 (4)違反する。契約の解除に関する事項は、重要事項として説明する義務がある。従って、Aは、重要事項の説明義務に反し、業法違反だ。わざと説明しなかったのではない(故意はなかった)としても、不注意で説明しなかった(過失はあった)とすれば、やはり重要事項の説明義務に反する。 平成9年 [問 41]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建物の売買契約を締結した場合の瑕疵担保責任(以下この問において単に「担保責任」という)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法及び民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、建物の引渡しの日は、契約締結の日の1月後とする。 (1)「Aが担保責任を負う期間は建物の引渡しの日から2年間とし、Bは、その期間内に、契約を解除することはできないが、損害賠償を請求することができる」旨の特約は無効である。 (2)「建物に隠れた瑕疵があった場合でも、その瑕疵がAの責めに帰すものでないとき、Aは担保責任を負わない」旨の特約は有効である。 (3)「Aが担保責任を負う期間は契約締結の日から2年間とし、Bは、その期間内に瑕疵修補請求権も行使できる」旨の特約は有効である。 (4)「Aが担保責任を負う期間は建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約は無効であり、Aは、引渡しの日から2年間担保責任を負う。 平成9年 [問 41]正解(1) (1)正しい。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、瑕疵担保責任に関して、『民法の規定より買主に不利となる特約』をしてはならず、これに反する特約は無効となる。民法は瑕疵担保責任の追及方法として契約の解除を認めているので、本肢の特約の中の「契約を解除することはできない」という部分は、民法の規定より買主に不利だから、本肢のような特約は無効だ。 (2)誤り。民法は、瑕疵担保責任を無過失責任(売主に責めに帰すべき事由がなくても負う責任)としているので、「その瑕疵がAの責めに帰すものでないとき、Aは担保責任を負わない」旨の特約は、民法の規定より買主に不利だから、無効だ。 (3)誤り。民法は瑕疵担保責任を負う期間を、買主が瑕疵を知った時(発見した時)から1年としているので、「Aが担保責任を負う期間は契約締結の日から2年間とする」旨の特約は、民法の規定より買主に不利だから(民法によれば契約締結の日から2年経過しても、それから買主が瑕疵を知った時は、さらに1年間、瑕疵担保責任を追及できる!)、無効だ。               (4)誤り。民法は瑕疵担保責任を負う期間を、買主が瑕疵を知った時から1年としているので、「Aが担保責任を負う期間は建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約は、民法の規定より買主に不利だから、無効だ。その結果、このような特約はしなかったことになるので、民法の瑕疵担保責任の規定が発動され、売主Aは、『買主が瑕疵を知った時から1年』まで、担保責任を負う。 平成9年 [問 42]複合問題 宅地建物取引業者Aが一団の宅地建物の分譲を行う案内所に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「契約行為等」とは、宅地建物の売買若しくはその代理・媒介の契約(予約を含む。)を締結し、又はこれらの申込みを受けることをいう。 (1)Aは、契約行為等を行わない案内所についても、宅地建物取引業法第50条に規定する標識(以下この問において「標識」という。)を掲げなければならない。 (2)Aが、契約行為等を行わない案内所に置かなければならない成年者である専任の取引主任者の数は、当該案内所において業務に従事する者の数にかかわらず、1名である。 (3)他の宅地建物取引業者Bが、Aに対し一団の宅地建物の分譲の販売代理を一括して依頼した場合、Aが契約行為等を行う案内所に、Aの標識とともに、Bも、自己の標識を掲げなければならない。 (4)Aは、その事務所及び契約行為等を行う案内所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。 平成9年 [問 42]正解(1) (1)正しい。契約行為等を行わない案内所(案内のみを行う案内所)にも、標識を掲げる必要がある。つまり案内所は、契約行為等を行うか行わないかを問わず、標識の掲示義務がある。 (2)誤り。契約行為等を行わない案内所(案内のみを行う案内所)には、専任の取引主任者の設置義務はない。つまり案内所は、契約行為等を行う場合だけ、専任の取引主任者(1名以上)の設置義務がある。           (3)誤り。案内所に標識を掲げる必要があるのは、その案内所を設置した者だ。従って、Bは、Aが設置した案内所に自己の標識を掲げる必要はない。なお、本肢の場合、Bは、一団の宅地建物が所在する場所(現地)には、標識を掲げる必要がある。 (4)誤り。報酬の額を掲示しなければならない場所は、事務所だけだ。従って、契約行為等を行うとしても、案内所には報酬の額を掲示しないでよい。 本問の出題に関連した案内所の知識を整理すると、次のようになる。   イ.標識の掲示義務がある案内所…………契約行為等を行うかどうか問わない   ロ.専任の主任者の設置義務がある案内所……契約行為等を行う所に限る   ハ.案内所等の届出義務がある案内所…………契約行為等を行う所に限る 上記イ.は(1)、ロ.は(2)で出題されたわけだ。  平成9年 [問 43]複合問題 宅地建物取引業者Aがその業務に関して広告を行った。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 (1)Aが宅地の売買の媒介をするに当たり、特に依頼者から依頼されて特別の広告を行った場合には、当該売買が不成立に終わったときでも、Aは、その広告の料金に相当する額を依頼者から受け取ることができる。 (2)Aがマンションを分譲するに当たり、建築確認を申請していたが、建築確認を受ける前であったので、「売買契約は、建築確認を受けた後に締結する」旨を明記して広告を行ったときも、Aは、宅地建物取引業法に違反する。 (3)その広告により、販売する建物の形質について、実際のものより著しく優良又は有利であると現実に人を誤認させなくても、通常誤認させるような表示であれば、当該広告は、誇大広告に該当する。 (4)Aが販売する意思のない物件について行った「販売する」旨の広告は、著しく事実に相違する広告に該当し、このためAは監督処分の対象になるが、罰則の適用を受けることはない。 平成9年 [問 43]正解(4) (1)正しい。依頼者の特別の依頼によって行った広告の広告料で、あらかじめ依頼者の承諾があったものは、国土交通大臣が定めた報酬額の他にも受領できる。この場合、その売買が不成立に終わったときでも同じだ。 (2)正しい。工事完了前で、かつ、許可等の処分(本肢では建築確認)がない場合、業者はすべての広告ができない(広告開始時期の制限)。従って、「売買契約は、建築確認を受けた後に締結する」旨を明記して広告を行ったときでも、Aは、業法に違反する。 (3)正しい。虚偽誇大広告かどうかは客観的に判断されるから、現実に人を誤認させなくても、実際のものより著しく優良又は有利であると通常誤認させるような表示であれば、その広告は虚偽誇大広告に該当する。 (4)誤り。販売する意思のない物件について行った「販売する」旨の広告は、おとり広告であり、虚偽誇大広告として宅建取引業法に違反する。そして、業法違反をしたときは、指示処分等の監督処分の対象になる。また、虚偽誇大広告をしたときは、罰則の適用(6月以下の懲役または30万円以下の罰金)を受ける。 平成9年 [問 44]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建築工事完了後の分譲住宅についての売買契約(手付金 500万円)を締結した。この場合、宅地建物取引業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)に関する次の記述のうち、同法の規定によれば正しいものはどれか。 (1)手付金の額が売買代金の額の10パーセントを超える場合でも、営業保証金の額の範囲内であるので、Aは、保全措置を講じる必要はない。 (2)手付金の額が売買代金の額の10パーセントを超える場合には、Aは、手付金の受領後すみやかに保全措置を講じなければならない。 (3)手付金の額が売買代金の額の20パーセントを超える場合でも、Aは、手付金全額について保全措置を講ずれば、手付金を受領することができる。 (4)手付金の額が分譲住宅の本体価額(売買代金の額から消費税及び地方消費税に相当する額を控除した額)の10パーセントを超えていても、売買代金の額の10パーセント以下である場合には、Aは、保全措置を講じる必要はない。 平成9年 [問 44]正解(4) (1)誤り。工事完了後の物件の場合、代金額の10%を超え、または、 1,000万円を超える手付金等を受領しようとする前に、保全措置を講じる必要がある。手付金等の額が営業保証金の額の範囲内でも、同じだ。 (2)誤り。手付金等の保全措置を講じなければならない時期は、手付金等を受領しようとする『前』だ。従って、Aは「手付金の受領後」に保全措置を講じたのでは遅い。 (3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者である場合には、代金額の20%を超える手付を受領できない。手付金の額の制限の話だ。手付金等の保全措置を講ずるかどうかとは無関係である。 (4)正しい。工事完了後の物件の場合、手付金等の額が『代金額』の10%を超えると保全措置を講じる必要がある。逆に言えば、手付金等の額が『代金額』の10%以下なら保全措置を講じる必要はない。10%は代金額のそれである。本体価額の10%ではない。 平成9年 [問 45]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、B所有の宅地(造成工事完了後)をCに売却しようとしている。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 (1)Cが宅地建物取引業者である場合で、B所有の当該宅地はBがDから売買により取得したものであるが、BがDにまだその売買代金を完済していないとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。 (2)Cが宅地建物取引業者でない場合で、AがBから当該宅地を取得する契約の予約を締結しているときは、Aが予約完結権を行使するまでの間であっても、Aは、Cと売買契約を締結できる。 (3)Cが宅地建物取引業者である場合で、AがBと「代替地の提供があれば、Bは、Aに当該宅地を譲渡する」旨の契約を締結しているとき、Aは、Cと売買契約を締結できる。 (4)Cが宅地建物取引業者でない場合で、AがCから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは、AB間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず、Aは、Cと売買契約を締結できる。 平成9年 [問 45]正解(4)             B …………A       C             他人    業者    買主                 (自ら売主) (1)正しい。業者(A)が自ら売主となり、買主(C)が非業者であるときは、業者が他人(B)との間で『物件の買取り契約』を結んでいなければ、他人(B)の所有する物件について売買契約を締結できない(自己の所有に属しない物件の契約締結制限)。しかし、本肢の買主Cは宅建取引業者なので、この制限が適用されない。従って、本肢の登場人物の間の事情(BD間の事情)がどうであれ、Aは、Cと売買契約を締結できる。 (2)正しい。本肢では、業者(A)が他人(B)との間で『物件の買取り契約』を結んでいる。予約契約を締結しているときは、予約完結権を行使するまでの間であっても、ここでいう買取り契約を結んでいるといえるからだ。従って、Aは、Cと売買契約を締結できる。 (3)正しい。本肢の買主Cも、(1)と同様に宅建取引業者なので、自己の所有に属しない物件の契約締結制限が適用されない。従って、本肢の登場人物の間の事情(AB間の事情)がどうであれ、Aは、Cと売買契約を締結できる。   (4)誤り。手付金等の保全措置を講じたとしても、業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、業者が他人との間で『物件の買取り契約』(AB間の宅地の譲渡に関する契約)を結んでいなければ、他人の所有する物件について売買契約を締結できない。     平成10年 [問 30]複合問題 宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) Aが甲県知事の宅地建物取引主任者資格登録 (以下この問において「登録」という。) を受けている場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aが、乙県に所在する宅地建物取引業者の事務所の業務に従事するため、登録の移転とともに宅地建物取引主任者証の交付を受けたとき、登録移転後の新たな宅地建物取引主任者証の有効期間は、その交付の日から5年となる。 (2)Aが、取引主任者として行う事務に関し不正な行為をしたとして、乙県知事から事務禁止処分を受けたときは、Aは、速やかに、宅地建物取引主任者証を乙県知事に提出しなければならない。 (3)Aは、氏名を変更したときは、遅滞なく変更の登録を申請するとともに、当該申請とあわせて、宅地建物取引主任者証の書換え交付を申請しなければならない。 (4)Aは、宅地建物取引主任者証の有効期間の更新を受けようとするときは、甲県知事に申請し、その申請前6月以内に行われる国土交通大臣の指定する講習を受講しなければならない。 平成10年 [問 30]正解(3) (1)誤り。登録を移転したときの新主任者証の有効期間は、従前の主任者証の有効期間の『残存期間』である。新主任者証の交付の日から5年なのではない。 (2)誤り。事務の禁止処分を受けた場合には主任者証を提出しなければならないが、提出先は、主任者証の『交付を受けた知事』(甲県知事)である。事務の禁止処分をした知事(乙県知事)ではない。  (3)正しい。氏名は登録事項だから、主任者が氏名を変更したときは変更の登録を申請しなければならない。また、主任者の氏名は主任者証の記載事項でもあるから、変更の登録の申請と『あわせて』、主任者証の書換え交付の申請をしなければならない。 (4)誤り。主任者証の交付を受けようとする(主任者証の有効期間の更新を受けようとする)者は、『登録している知事』が指定する講習で、交付の申請前6月以内に行われるものを、受講しなければならない。この講習は国土交通大臣が指定するのではなく登録している知事が指定する。 平成10年 [問 31]監督処分 宅地建物取引業者A(法人)が受けている宅地建物取引業の免許(以下「免許」と いう。)の取消しに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aの取締役Bが、道路交通法に違反し懲役の刑に処せられたものの、刑の執行猶予の言渡しを受け、猶予期間中であるとき、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。 (2)Aの非常勤の顧問であり、Aに対し取締役と同等の支配力を有するものと認められるCが、刑法第 247条(背任)の罪により罰金の刑に処せられたとき、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。 (3)Aの従業者で、役員又は政令で定める使用人ではないが、専任の取引主任者であるDが、刑法第 246条(詐欺)の罪により懲役の刑に処せられたとき、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。 (4)Aの取締役かつ取引主任者であるEが、取引主任者の事務に関し1年間の事務禁止の処分を受けた場合で、Aの責めに帰すべき理由があるとき、情状のいかんにかかわらず、このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。 平成10年 [問 31]正解(3) (1)誤り。役員が、宅建取引業法違反と暴力団犯罪以外の普通の犯罪(本肢の道路交通法違反)を犯した場合、『禁固以上の刑(禁固または懲役)』に処せられたときは、会社は、免許取消しになる。執行猶予となった場合も同じだ。 (2)誤り。取締役と同等の支配力を有するものと認められる者は、非常勤でも、役員と同じに取り扱われる。役員が、暴力団犯罪(本肢の背任罪)を犯した場合、『罰金以上の刑(罰金または禁固または懲役)』に処せられたとき、会社は、免許取消しになる。 (3)正しい。役員でも政令で定める使用人でもない、単なる専任の取引主任者が上記(1)や(2)に該当しても、会社の免許が取り消されることはない。 (4)誤り。取引主任者が事務禁止の処分を受けた場合において、『宅建取引業者の責めに帰すべき理由があるとき』は、業者は、業務停止処分事由に該当する。そして、業務停止処分事由に該当し『情状が特に重いとき』は、免許取消処分になる。従って本肢の場合、Aの情状が特に重ければ、免許が取り消される。 平成10年 [問 32]監督処分 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、その業務に関して広告をし、宅地建物取 引業法第32条 (誇大広告等の禁止)の規定に違反し、又は違反している疑いがある場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。  (1)Aが同条の規定に違反した場合、甲県知事は、Aに対して業務の停止を命ずるとともに、実際に広告に関する事務を行った取引主任者に対して必要な指示をすることができる。 (2)乙県知事は、Aが乙県の区域内における業務に関し同条の規定に違反している疑いがある場合、2週間以内にその旨を甲県知事に通知しなければならない。 (3)Aが同条の規定に違反した場合、甲県知事は、Aに対し、行政手続法の規定による意見陳述のための手続の区分に従い、弁明の機会を付与して、業務の停止を命ずることができる。 (4)Aが乙県の区域内における業務に関し同条の規定に違反し、乙県知事から業務停止処分を受けた場合で、Aがその処分に違反したとき、甲県知事は、Aの免許を取り消さなければならない。 平成10年 [問 32]正解(4) (1)誤り。宅建取引業者が誇大広告等の禁止の規定に違反した場合は、業務停止処分事由に該当する。その意味で本肢は正しい。しかし、広告に関する事務を行った取引主任者に対しては指示処分ができない。主任者に対する指示処分は、この場合、『取引主任者として行う事務に関し』、不正または著しく不当な行為をすることが必要だが、広告に関する事務を行うことは取引主任者として行う事務ではない(宅建取引業者の事務)からだ。 (2)誤り。本肢のような場合、現場の知事(乙県知事)はAに対して指示処分や業務停止処分ができるから、違反している旨を免許権者(甲県知事)に通知する制度はない。 (3)誤り。宅建取引業者が誇大広告等の禁止の規定に違反した場合は、業務停止処分事由に該当するが、免許権者(甲県知事)が業務停止処分をする場合は、宅建取引業法の直接の規定により聴聞の機会を与える必要がある。行政手続法という法律の手続とは関係なく、宅建取引業法の規定によって直接に弁明の機会を与える必要があるのだ。 (4)正しい。業務停止処分に違反したとき(業務停止処分を受けた場合で、Aがその処分に違反したとき)は、免許取消事由になる。免許権者は必ず免許を取り消す必要がある。 平成10年 [問 33]免許(免許取得後の事情変更) 宅地建物取引業者A(法人)が甲県知事から免許を受けている場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。  (1)Aが、甲県の区域内の事務所を廃止し、乙県の区域内のみに事務所を設置して引き続き事業を営もうとする場合、Aは、乙県知事に対し免許換えの申請をし、乙県知事の免許を受けた後、甲県知事に廃業の届出をしなければならない。 (2)Aの役員aが退職し、後任にbを充てた場合、当該役員の職が非常勤のものであっても、Aは、甲県知事に変更の届出をしなければならない。 (3)Aが甲県知事から業務の全部の停止を命じられた場合、Aは、免許の更新の申請を行っても、その停止の期間内には免許の更新を受けることはできない。 (4)AがB法人に吸収合併され消滅した場合、Bを代表する役員は、30日以内に、甲県知事にその旨の届出をしなければならない。 平成10年 [問 33]正解(2) (1)誤り。Aは、甲県の事務所を廃止し、乙県にのみ事務所を新設して、引き続き宅建取引業を営もうとするのであるから、免許換えを申請する必要がある。しかし、廃業の届出をする必要はない。廃業の届出は宅建取引業を全部やめる場合にするものだからだ。 (2)正しい。変更の届出をしなければならないのは、次の事項が変わった場合だ。        @商号・名称           A役員・政令で定める使用人の氏名           B事務所の名称・所在地           C専任の取引主任者の氏名    本肢はAに該当する。aが退職し後任にbを充てた場合も役員の氏名の変更だ。    また、役員は非常勤役員も含む。従って、Aは甲県知事に変更の届出をしなければならない。 (3)誤り。免許の更新は、有効期間の満了後引き続き宅建取引業を営もうとする以上『義務』だ。従って、業務の全部の停止を命じられた場合でも免許の更新を受けなければならない。そして、前の免許の停止の期間内は、更新後の免許の効力も停止され、その間、業務の停止を命ぜられたことになる。もっとも、免許権者は、「免許申請前5年以内に、宅建取引業に関し、不正または著しく不当な行為を行った」として、更新免許を与えないこともできる…。 (4)誤り。法人が合併により消滅した場合は、その日から『30日以内』に、『消滅した法人(A)を代表する役員であった者』が、その旨をその免許を受けた知事に届けなければならない。廃業等の届出の話だ。本肢は、「消滅しなかったB法人を代表する役員」が届けろ、と言っているので誤り。 平成10年 [問 34]契約前の規制(一般) 宅地建物取引業者Aが、建物の売買に関し広告をし、又は注文を受けた場合の取引態様の明示に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。  (1)Aは、取引態様の別を明示すべき義務に違反する広告をした場合、業務停止処分の対象になることがあり、情状が特に重いとき、免許を取り消される。 (2)Aは、取引態様の別を明示した広告を見た者から建物の売買に関する注文を受けた場合、注文を受けた際に改めて取引態様の別を明示する必要はない。 (3)Aは、建物の売買に関する注文を受けた場合、注文者に対して、必ず文書により取引態様の別を明示しなければならない。 (4)Aは、他の宅地建物取引業者から建物の売買に関する注文を受けた場合、取引態様の別を明示する必要はない。 平成10年 [問 34]正解(1) (1)正しい。取引態様の明示義務に違反したときは、業務停止処分事由に該当する。そして、業務停止処分事由に該当し『情状が特に重いとき』は、免許取消処分になる。従って本肢の場合、Aの情状が特に重ければ、免許が取り消される。 (2)誤り。取引態様は既に広告に明示してあっても、注文を受けたときは、もう一度明示しなければならない。 (3)誤り。取引態様の別は口頭で明示してもよい(文書でしなくてもよい)。 (4)誤り。相手が業者でも、取引態様の明示は省略できない。 平成10年 [問 35]契約前の規制(媒介契約の規制) 次の事項のうち、指定流通機構への登録事項に該当しないものはどれか。  (1)登録に係る宅地の所在、規模及び形質  (2)登録に係る宅地の所有者の氏名及び住所  (3)登録に係る宅地を売買すべき価額  (4)登録に係る宅地の都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの 平成10年 [問 35]正解(2)    指定流通機構への登録事項は、登録に係る宅地または建物に関する次の事項だ。       @所在、規模、形質       A売買すべき価額       Bその他国土交通省令で定める次の事項 a.都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの        b.当該専任媒介契約が宅地または建物の交換の契約に係るものである場合にあっては、当該宅地または建物の評価額        c.当該専任媒介契約が専属専任媒介契約である場合にあっては、その旨    従って、登録に係る宅地の『所有者の氏名及び住所』は登録事項ではないので、(2)が正解だ。そもそも指定流通機構への登録は媒介契約をスムースにするためにある。「どこにどんな形の(所在、規模、形質)いくらの(売買すべき価額)、どういう法令制限がついた(都市計画法その他の法令に基づく制限で主要なもの)物件があるのか」という情報を他の宅建取引業者に知らせないと、媒介契約をスムースにできない。しかし、その物件の持主が誰か(所有者の氏名及び住所)なんていうことは、媒介契約をスムースにする点では関係ない。だから、(2)は登録事項になっていないのだ。 平成10年 [問 36]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと宅地の売買契約を締結しようとし、又は締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)売買契約の締結に際し、AがBから預り金の名義をもって50万円を受領しようとする場合で、当該預り金が売買代金に充当されないものであるとき、Aは、国土交通省令で定める保全措置を講じなければならない。 (2)売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を売買代金の額の2割と予定した場合には、違約金を定めることはできない。 (3)BがAの事務所で買受けの申込みをし、1週間後にBの自宅の近所の喫茶店で売買契約を締結した場合、Bは、当該契約を締結した日から8日以内であれば、宅地建物取引業法第37条の2の規定により契約を解除することができる。 (4)売買契約でAの債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定した場合は、Aの宅地の瑕疵を担保すべき責任に関し、その宅地の引渡しの日から1年となる特約をすることができる。 平成10年 [問 36]正解(2)         (1)誤り。預り金(50万円以上で、売買代金に充当されないもの)を受領しようとする場合、国土交通省令で定める保全措置(例:預り金について銀行等と一般保証委託契約を締結すること)を『講ずるかどうか』、及び、その措置を講ずる場合の概要は、重要事項として説明する義務がある。しかし、ここでいう国土交通省令で定める保全措置をとるかどうかは、手付金等の保全措置と違って、業者の任意であり義務ではない。 (2)正しい。業者が自ら売主となり買主が非業者の場合、損害賠償額の予定または違約金の定めは、これらを『合算した額が代金額の2/10を超えることとなる定めをしてはならない』。従って、損害賠償の額を売買代金の額の2割と予定した場合には、それで代金額の2/10が一杯になってしまうから、違約金を定めることはできない。 (3)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるときは、『事務所等以外の場所』(本肢の喫茶店)で、買い受けの申込等をした買主は、クーリングオフできるが、契約の『申込み』が事務所等以外の場所でない所(本肢の事務所)で行われた場合は、その後、契約の『締結』が事務所等以外の場所(本肢の喫茶店)で行われても、解除(クーリングオフ)できない。 (4)誤り。業者が自ら売主となり、買主が非業者であるとき、瑕疵担保責任に関し、民法の規定より買主に不利となる特約ができないが、唯一、瑕疵担保責任の行使期間について、『目的物を引渡した時から2年以上』とする特約だけが許される。従って、損害賠償の額を予定したとしても、宅地の引渡しの日から1年となる特約をすることはできない。 平成10年 [問 37]担保(営業保証金) 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aは、本店について 1,000万円、支店1ヵ所について 500万円の営業保証金を、それぞれの事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。 (2)Aが免許を受けてから1月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしない場合は、甲県知事から届出をすべき旨の催告を受け、さらに催告が到達した日から1月以内に届出をしないと免許を取り消されることがある。 (3)Aは、事業の開始後新たに1の支店を設置したときは、 500万円の営業保証金を供託しなければならないが、この供託をした後であれば、その旨の届出をする前においても、当該支店における事業を行うことができる。 (4)Aは、免許失効に伴う営業保証金の取戻しのため、Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をしたときは、遅滞なく、その旨を甲県知事に届け出なければならない。 平成10年 [問 37]正解(4)            (1)誤り。営業保証金の金額は正しい。しかし、営業保証金の供託先は、すべての事務所の分について『主たる事務所のもよりの』供託所である。「それぞれの事務所のもより」の供託所ではない。 (2)誤り。宅建取引業者が、免許を受けた日から『3ヶ月以内』に営業保証金の供託をした旨の届出をしないときは、免許権者(甲県知事)は、その届出をすべき旨の催告をしなければならない。本肢は1月以内とあるので、その点で誤り。なお、その催告から『1ヶ月以内』に宅建取引業者が届出をしないときは、免許権者は、免許を取り消すことができる。その点では、正しい記述だ。 (3)誤り。事業開始後新たに事務所を設置したときは、その新設事務所における業務は、所定の金額(1ヵ所 500万円)の営業保証金を供託した上、その旨を免許権者(甲県知事)に届け出た時点で開始できる。従って、供託した後であっても、その旨の届出をする前には支店における事業を行うことができない。 (4)正しい。免許失効に伴う営業保証金の取戻しのためには、宅建取引業者は、宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をする必要がある。そこで、その公告をした旨を免許権者(甲県知事)に把握させるために、届け出させる制度がある。 平成10年 [問 38]担保(保証協会) 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入しようとし、又は加入した場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (1)Aは、弁済業務保証金分担金を金銭をもって保証協会に納付しなければならないが、保証協会は、弁済業務保証金を国債証券その他一定の有価証券をもって供託所に供託することができる。 (2)Aと取引した者が複数ある場合で、これらの者からそれぞれ保証協会に対し認証の申出があったとき、保証協会は、これらの者の有する債権の発生の時期の順序に従って認証に係る事務を処理しなければならない。 (3)Aが保証協会に対して有する弁済業務保証金分担金の返還請求権を第三者Bが差し押さえ、転付命令を受けた場合で、その差押えの後に保証協会がAに対して還付充当金の支払請求権を取得したとき、保証協会は、弁済を受けるべき還付充当金相当額についても、Bに対して支払いを拒否できない。 (4)Aが、保証協会の社員の地位を失ったため、その地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託した場合、Aは、その旨を甲県知事に届け出なければ、指示処分を受けることなく、直ちに業務停止処分を受けることがある。 平成10年 [問 38]正解(1) (1)正しい。保証協会に加入するための弁済業務保証金分担金の納付は、有価証券ではできず、金銭(現金)納付に限る。それに対して、保証協会が供託所に供託する弁済業務保証金は、国債証券その他一定の有価証券で納付できる。  (2)誤り。保証協会は、「債権の発生の時期の順序」ではなく『認証の申出書の受理の順序』に従って、認証に係る事務を処理する必要がある。 (3)誤り。                                               民法の規定によれば、債権に対する差押えがされたときは、債務者は債権者に弁済することが禁じられ、差し押さえた者に支払う必要がある(民法 481条1項)。従って本肢では、保証協会は『弁済業務保証金分担金』を業者Aではなく差し押さえたBに支払う必要がある。しかし保証協会は、『還付充当金』についてまでBに支払う必要はない。Bが差し押さえたのは弁済業務保証金分担金であり還付充当金ではないからだ。 (4)誤り。保証協会の社員の地位を失ったときは、その地位を失った日から『1週間以内』に営業保証金を供託しなければならい。この期間内に供託しないときは、業務停止処分を受けることがある。しかし、本肢のように1週間以内に営業保証金を供託した以上、その旨を届け出なくても直ちに業務停止処分を受けることはない。つまり、この届出を怠ること自体は業務停止処分事由に該当しない。なお、指示処分を受けることはある。 平成10年 [問 39]契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業者であるA及びBが、共同で宅地の売買の媒介をするため、協力して一の重要事項説明書(宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面)を作成した場合に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なおAの取引主任者をa、Bの取引主任者をbとする。 (1)AとBは、a一人を代表として、宅地の買主に対し重要事項説明書を交付して重要事項について説明させることができる。 (2)AとBは、重要事項についてaとbに分担して説明させるときでも、aが単独で記名押印した重要事項説明書を交付させれば足りる。 (3)a及びbは、重要事項説明書を交付して説明する際に宅地建物取引主任者証を提示するとき、胸に着用する方法で行うことができる。 (4)重要事項説明書に記載された事項のうち、Aが調査及び記入を担当した事項の内容に誤りがあったとき、Aとともに、Bも指示処分を受けることがある。 平成10年 [問 39]正解(2) (1)正しい。そもそも複数の宅建取引業者が重要事項説明書を共同作成できるのかという疑問が生ずるが、肯定される。重要事項説明の目的は、契約締結前に相手方等に情報を開示することにあるが、重要事項説明書を共同作成しても、この目的を達する上で支障ないからである。共同作成が許される以上、どちらかの主任者一人(a一人)を代表として、重要事項説明書を交付し説明させたとしても、契約締結前の相手方等に対する情報開示という目的に反しないので、許される。なお本肢のような場合は、重要事項説明書を共同作成した旨、及び一業者が代表して説明すべき旨を相手方等に説明した上で、すべきである。 (2)誤り。本肢のような場合は、重要事項を共同作成した旨を相手方等に説明した上で、aとbが分担して説明することになる。aとbが分担して説明した以上重要事項説明書への記名押印もaとbがする必要がある。記名押印は、重要事項を説明書したことを確認する行為だからである。  (3)正しい。重要事項説明書を交付して説明する際には、取引主任者は、取引主任者証を提示する必要があるが、『提示』は、主任者証を胸に着用する方法で行うことができる(昭和55年、当時の建設省の通達)。 (4)正しい。重要事項説明書に記載された事項に誤りがあったときは、当然のことながら宅建取引業法に違反する。宅建取引業法に違反した場合は 指示処分事由に該当する。本問では、重要事項説明書をAとBで共同作成しているので、Aとともに、Bも指示処分を受けることがある。 平成10年 [問 40]公共性による規制(報酬額の制限) A、B及びCが、宅地建物取引業に関して報酬を受領した場合に関する次の三つの記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものは、いくつあるか。なお、A、B及びCは、いずれも宅地建物取引業者である。 ア 消費税の課税業者であるAが、甲及び乙から依頼を受け、甲所有の価額 2,400万円の宅地と乙所有の価額 2,000万円の宅地を交換する契約を媒介して成立させ、甲及び乙からそれぞれ80万円の報酬を受領した。 イ 消費税の免税業者であるBが、消費税の免税業者である丙から依頼を受け、借賃月額10万円、権利金(権利設定の対価として支払われる金銭で返還されないもの) 200万円で丙所有の店舗用建物の貸借契約を媒介して成立させ、丙から12万円の報酬を受領した。 ウ 消費税の免税業者であるCが、消費税の課税業者である丁から依頼を受け、丁所有の価額 2,000万円の宅地と価額 1,680万円(消費税・地方消費税込み)の建物の売買契約を媒介して成立させ、丁から 116万円の報酬を受領した。 (1)一つ (2)二つ (3)三つ (4)なし 平成10年 [問 40]正解(2) (事例ア)違反しない。媒介を行う場合の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円である。交換は高い方が基準額となるのでAは1人当たり、 2,400万円×3%+6万円=78万円まで受領できるが、Aは消費税の課税業者なので、78万円に5%の消費税及び地方消費税は上乗せでき、結局、78万円× 105%=81万9千円まで受領できる。 (事例イ)違反する。貸借の媒介を行う場合、それが店舗用建物で権利金の授受があるときは、その権利金の額を取引価額とみなして、売買の媒介の計算式で報酬の限度額を計算できる。だからBは、 200万円×5%=10万円まで受領できる(借賃を基準とする貸借の媒介の計算式でも同じ)が、Aは消費税の免税業者なので、10万円に 2.5%の消費税及び地方消費税を上乗せでき、結局、10万円× 102.5%=10万2千5百円まで受領できる。 (事例ウ)違反しない。売買の媒介を行う場合の限度額は、1人当たり、取引価額×3%+6万円だ。本肢の取引価額は、 3,600万円だ(建物は消費税及び地方消費税込みだから、 1,680万円×100/105 = 1,600万円が本体価格なので)。だからCは、 3,600万円×3%+6万円= 114万円まで受領できるが、Cは免税業者なので 114万円に 2.5%の消費税及び地方消費税を上乗せでき、結局 114万円× 102.5%= 116万8千5百円まで受領できる。 以上から、違反しないものは、(ア)と(ウ)の2ツなので、(2)が正解だ。 平成10年 [問 41]契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合の宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。  (1)当該建物について建築基準法に基づき容積率又は建ぺい率に関する制限があるときは、その概要について説明しなければならない。 (2)敷金の授受の定めがあるときは、当該建物の借賃の額のほか、敷金の額及び授受の目的についても説明しなければならない。 (3)当該建物の貸借について、契約期間及び契約の更新に関する事項の定めがないときは、その旨説明しなければならない。   (4)当該建物が、建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である場合で、同条第4項に規定する共用部分に関する規約の定め(その案を含む。)があるときは、その内容を説明しなければならない。 平成10年 [問 41]正解(3) (1)誤り。建築物の用途制限に関する事項の概要や容積率又は建ぺい率に関する制限の概要は、建物の貸借以外の契約の場合(例:売買の媒介)には、重要事項として説明しなければならない。しかし、本問のように建物の『貸借』の契約の場合には、重要事項として説明しないでよい。  (2)誤り。敷金その他契約終了時に精算することとされている金銭の精算に関する事項は、建物の『貸借』の契約の場合に、重要事項として説明しなければならない。しかし、そもそも借賃の額は重要事項として説明しなければならない事項ではないので、本肢はその意味で誤り。 (3)正しい。建物の『貸借』の契約について、契約期間及び契約の更新に関する事項は、重要事項として説明しなければならない。そのようなの定めがないときは、その旨(定めがない旨)説明しなければならない。 (4)誤り。その建物が区分所有権の目的である場合の共用部分に関する規約の定め(その案を含む)は、建物の貸借以外の契約の場合(例:売買の媒介)には、重要事項として説明しなければならない。しかし、本問のように建物の『貸借』の契約の場合には、重要事項として説明しないでよい。 平成10年 [問 42]契約前の規制(一般) 宅地の売買に関して宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 (1)Aは、実在しない宅地について広告をすることができず、また、宅地が実在しても実際に取引する意思がない宅地について広告をすることができない。 (2)AがBから宅地を購入するため交渉中であり、Aが購入後売主として売買するか、又は媒介してBの宅地を売買するか未定であるとき、Aは、取引態様の別を明示することなく、当該宅地の売買に関する広告をすることができる。 (3)Aは、広告中の購入代金に関する融資のあっせんに関し、その融資の利息の利率についてアド・オン方式で表示したとき、その旨を明示したとしても、年利建ての実質金利を付記しなければ、広告をすることができない。   (4)Aが、宅地建物取引業法第33条に規定する広告の開始時期の制限に違反した場合、甲県知事は、Aに対して必要な指示をすることができ、Aがその指示に従わないとき業務停止処分をすることができる。 平成10年 [問 42]正解(2) (1)正しい。実在しない物件について広告をしたり、実在しても実際に取引する意思がない物件について広告をすることは、おとり広告であり、誇大広告等の禁止の対象となる。 (2)誤り。宅建取引業者は広告をするときは取引態様を明示しなければならない。従って、本肢のような場合には、Aが購入後売主として売買するか媒介してBの宅地を売買するかを決めた上で、広告する必要がある。 (3)正しい。金利や融資期間について、著しく事実に相違する表示や、実際のものよりも著しく有利であると人を誤認させるような表示をすれば、誇大広告等として禁止の対象となる。アド・オン方式で利率を表示しただけでは、その旨を明示したとしても、アド・オン方式の利率の方が安く見えるので、実際の利率よりも著しく有利であると人を誤認させることになる。従って、実質金利を付記しなければ広告することができない。  (4)正しい。宅建取引業法の規定に違反した場合は、どんな規定に違反しても、最低、指示処分事由になる。従って、Aが広告の開始時期の制限に違反した場合、甲県知事はAに対して必要な指示をすることができる。また、宅建取引業者が指示に従わないときは業務停止処分事由になるので、そのような場合、甲県知事は業務停止処分をすることができる。 平成10年 [問 43]契約後の規制(37条書面の交付義務) 宅地建物取引業者Aが、宅地の所有者Bから定期借地権(借地借家法第22条)の設定を受けてその宅地に建物を建築し、Bの承諾を得て定期借地権付きで建物をCに売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「37条書面」とは、同法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。 (1)Aは、Cに対し、取引主任者をして、建物の敷地に関する権利が定期借地権である旨を記載した37条書面を交付して説明をさせなければならない。 (2)Aは、当該契約を締結する時に建物の完成時期が確定していない場合でCの了解を得たとき、37条書面に建物の引渡しの時期を記載する必要はない。 (3)Aは、37条書面に、定期借地権の存続期間終了時における建物の取壊しに関する事項の内容を記載しなければならない。 (4)Aは、取引主任者をして37条書面に記名押印させなければならず、これに違反したときは、指示処分を受けるほか、罰金に処せられることがある。 平成10年 [問 43]正解(4) (1)誤り。取引主任者がしなければならないのは、宅建取引業法上、次の3ツしかない(次の3ツ以外は取引主任者でなくてもできる)。 @重要事項について書面を交付して説明すること。 A重要事項説明書に記名・押印すること。 B契約成立時に交付すべき書面(37条書面)に記名・押印すること。    従って、37条書面に記名・押印することは上記Bに該当し取引主任者がしなければならないが、37条書面を交付して説明することは上記@〜Bのどれにも該当しないので、取引主任者がする必要はない。 (2)誤り。物件の『引渡しの時期』は、常に(定め−特約−がないときでも)、37条書面に記載しなければならない。相手方の承諾があっても同じだ。 (3)誤り。定期借地権の存続期間終了時における建物の取壊しに関する事項の内容は、そもそも37条書面の記載事項になっていない。 (4)正しい。37条書面に記名・押印することは取引主任者がしなければならないから、Aがこれに違反したときは宅建取引業法違反になる。宅建取引業法の規定に違反した場合は、どんな規定に違反しても、最低、指示処分事由になる。また、37条書面の規定に違反した場合は20万円以下の罰金に処せられることがある。 平成10年 [問 44]取引主任者(登録後の事情変更) Aが、甲県知事の宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という。)を受けている場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、B 社及びC社は、いずれも宅地建物取引業者である。 (1)Aが、乙県に自宅を購入し、甲県から住所を移転した場合、Aは、遅滞なく、甲県知事を経由して乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。 (2)Aが、乙県に自宅を購入し、甲県から住所を移転した場合、Aは、30日以内に、甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。 (3)Aが、甲県に所在するB社の事務所に従事していたが、転職して乙県に所在するC社の事務所で業務に従事した場合、Aは、30日以内に、甲県知事を経由して乙県知事に登録の移転を申請しなければならない。 (4)Aが、甲県に所在するB社の事務所に従事していたが、転職して乙県に所在するC社の事務所で業務に従事した場合、Aは、遅滞なく、甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。 平成10年 [問 44]正解(4) (1)誤り。登録の移転は権利であり義務ではないから、登録の移転について、申請を『しなければならない』という言い方は、誤り。  (2)誤り。取引主任者が住所を変更したときは、遅滞なく、変更の登録の申請をしなければならない。変更の登録を申請しなければならない時期は、30日以内ではなく、遅滞なく、である。 (3)誤り。登録の移転は権利であり義務ではない。従って、どのような場合でも、登録の移転の申請を『しなければならない』というようなことはない。 (4)正しい。取引主任者が宅建取引業の業務に従事する場合に、その業者(会社)の商号が変わった場合ときは、遅滞なく、変更の登録を申請しなければならない。AがB社からC社に転職すればその業者(会社)の商号が変わるわけだから、Aは、遅滞なく甲県知事に変更の登録を申請しなければならない。 平成10年 [問 45]契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aが、Bの所有する宅地の売却の依頼を受け、Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (1)媒介契約が専任媒介契約以外の一般媒介契約である場合、Aは、媒介契約を締結したときにBに対し交付すべき書面に、当該宅地の指定流通機構への登録に関する事項を記載する必要はない。 (2)媒介契約が専任媒介契約(専属専任媒介契約を除く。)である場合、Aは、契約の相手方を探索するため、契約締結の日から5日(休業日を除く。)以内に、当該宅地につき所定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。 (3)媒介契約が専任媒介契約である場合で、指定流通機構への登録後当該宅地の売買の契約が成立したとき、Aは、遅滞なく、登録番号、宅地の取引価格及び売買の契約の成立した年月日を当該指定流通機構に通知しなければならない。 (4)媒介契約が専属専任媒介契約である場合で、当該契約に「Aは、Bに対し業務の処理状況を10日ごとに報告しなければならない」旨の特約を定めたとき、その特約は有効である。 平成10年 [問 45]正解(3) (1)誤り。『指定流通機構への登録に関する事項』は、媒介契約書に記載しなければならない事項だ。一般媒介契約の場合は指定流通機構への登録義務がないが、この記載を省略できない。なお、指定流通機構への登録に関する事項とは、登録の有無および登録をする場合の指定流通機構の名称だ。だから、一般媒介契約で指定流通機構へ登録しない場合は、登録しない旨を記載する必要がある。 (2)誤り。専属専任媒介でない普通の専任媒介契約の場合、契約締結の日から『7日(休業日を除く)以内』に、指定流通機構に登録する必要がある。5日以内に登録するのは専属専任媒介契約の場合だ。 (3)正しい。専任媒介契約を締結し指定流通機構へ登録した後に、その物件の売買または交換の契約が成立したときは、遅滞なく、その旨を指定流通機構へ通知しなければならない。この場合、指定流通機構への通知は次の事項について行う必要がある。 @登録番号  A宅地又は建物の取引価格 B売買又は交換の契約の成立した年月日    従って、本肢は正しい。 (4)誤り。専属専任媒介契約では、『1週間に1回以上』業務の処理状況を報告しなければならない。10日ごとに報告する旨の特約は、1週間に1回以上の要件を満たさない。従って、その特約は無効である。 平成11年 [問 30] 宅建業者の意味(免許がいるか) 宅地建物取引業の免許(以下「免許」という)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Aが,用途地域内の自己所有の宅地を駐車場として整備し,その賃貸を業として行おうとする場合で,当該賃貸の契約を宅地建物取引業者の媒介により締結するとき,Aは免許を受ける必要はない。 (2)Bが,用途地域内の自己所有の農地について,道路を設けて区画割をし,その売却を業として行おうとする場合,Bは免許を受ける必要はない。 (3)Cが,甲県住宅供給公社が行う一団の建物の分譲について,その媒介を業として行おうとする場合,Cは免許を受ける必要はない。 (4)Dが,宅地建物取引業を営もうとする場合において,Dが信託会社であるときは免許を受ける必要があるが,Dが信託業務を兼営する銀行であるときは免許を受ける必要はない。 平成11年 [問 30]正解(1) (1)正しい。宅建業法が決める「取引」と「業」の,両方に当たる行いをする者は,免許を受ける必要がある。Aは,宅地を駐車場にして,賃貸を業として行おうとするのだから,「業」を行うと言える。でも,宅地を自分で貸借(たいしゃく)しても(その賃貸(ちんたい)の契約を締結しても)宅建業法が決める「取引」を行うとは言えない。その賃貸の契約を宅建業者の媒介(ばいかい)(紹介)で締結しても同じだ。だから,Aは免許を受ける必要がない。なお,自分で貸借(たいしゃく)しても宅建業法が決める「取引」にならないのは,宅建業法が宅地建物の取引をスムースにする目的を持つ法律だからだ。自分で貸借(たいしゃく)することを「取引」に含めると,自分でアパート・マンションを経営するにも免許がいることになり,町の大家(おおや)さんはアパート・マンションを経営できなくなる。それでは,宅地建物の取引がスムースにならない(世の中にアパート・マンションを供給できない)というわけだ。 (2)誤り。用途地域内の農地は宅建業法が決める「宅地」になるが,Bは,これに道路を設けて区画割をし,その売却を業として行おうとするのだから,「業」を行うと言える。また,自分で売買するのだから,「取引」を行うともいえる。Bは,宅建業法が決める「取引」と「業」の,両方に当たる行いをすることになるから,免許を受ける必要がある。 (3)誤り。Cは,住宅供給公社が行う建物の分譲の媒介を業として行おうとするから,「業」を行うと言える。また,売買(分譲)を媒介するのだから,「取引」を行うともいえる。Cは,宅建業法が決める「取引」と「業」の,両方に当たる行いをすることになるから,免許を受ける必要がある。 (4)誤り。宅建業法が決める「取引」と「業」の,両方に当たる行いをすることになっても,「信託会社」や「信託業務を兼営する銀行」は,両方とも,免許を受ける必要がない。これらは財務大臣の信託業務の免許を持つ信用力抜群の企業なので,宅建業法の免許に関する条文が適用されないことになっているからだ。 平成11年 [問 31] 取引主任者(一般) 宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という)Aが,甲県知事から宅地建物取引主任者証(以下「取引主任者証」という)の交付を受けている場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Aが,乙県知事に対し宅地建物取引主任者資格登録の移転の申請とともに取引主任者証の交付を申請したとき,Aは,乙県知事から新たな取引主任者証の交付を受けた後,1週間以内に甲県知事に従前の取引主任者証を返納しなければならない。 (2)Aが,乙県の区域内における業務に関して乙県知事から事務禁止の処分を受けたとき,Aは,1週間以内に乙県知事に取引主任者証を提出しなければならない。 (3)Aが,取引主任者証の有効期間の更新を受けようとするとき,Aは,甲県知事が指定する講習で有効期間満了の日前1年以内に行われるものを受講しなければならない。 (4)Aが,甲県の区域内における業務に関して事務禁止の処分を受け,甲県知事に取引主任者証を提出した場合で,その処分の期間の満了後返還を請求したとき,甲県知事は,直ちに,取引主任者証をAに返還しなければならない。 平成11年 [問 31]正解(4) (1)誤り。登録の移転は,他の都道府県(乙県)の宅建業者で仕事をしたりするときに,できるものだ。登録の移転の申請は,他の都道府県の知事(乙県知事)にするが,その際,新しい主任者証(乙県知事が発行するもの)の交付を同時に申請できる。それが(1)の場面だ。この場合,Aは,乙県知事から新しい主任者証の交付を受けたら,「それと引き換えに,乙県知事に」,甲県知事が発行した古い主任者証を返さなければならない。(1)は,甲県知事に返せと言っているし,1週間以内に返せとも言っている。二重のウソをついている。 (2)誤り。事務禁止の処分というのは,主任者の名義貸しをするなど悪いことをした場合に受ける処分だ。現場の知事(乙県知事)もできる。そして,事務禁止の処分を受けた場合,その主任者は主任者証を,「速やかに」「交付を受けた知事(甲県知事)」に提出しなければならない。(2)は,乙県知事に提出しろと言っているし,1週間以内に提出しろとも言っている。やはり二重のウソをついている。 (3)誤り。主任者証の有効期間は5年と長いので,主任者の法律的知識などをリフレッシュするため,有効期間の更新をしてもらおうするとき(新しい主任者証の交付を申請するとき)は,知事が指定する講習を受講しなければならない。この講習はいつ行われるものでも良いというわけではなく,新しい主任者証の交付を「申請する前6ヶ月以内」に行われる講習でなければならない。 (4)正しい。事務禁止の処分を受けた場合,その主任者は主任者証を,速やかに交付を受けた知事(甲県知事)に提出しなければならないが,「提出」というのは返納と違って,主任者証を永久に返してしまうのではなく,一時的に知事に預けておくことを意味する。だから,知事は事務禁止の処分の期間が終わった後,主任者が返してと請求すれば,主任者証を返還しなければならない。返えす時期は,主任者の返還請求があったら「直ちに」だ。 平成11年 [問 32] 監督処分 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対する監督処分に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか。 (1)Aが,乙県の区域内の業務に関し乙県知事から指示を受け,その指示に従わなかった場合,甲県知事は,Aに対し業務停止の処分をすることができる。 (2)Aが,乙県の区域内の業務に関し甲県知事から指示を受け,その指示に従わなかった場合,乙県知事は,Aに対し業務停止の処分をすることができる。 (3)Aが,乙県の区域内の業務に関し乙県知事から指示を受け,その指示に従わなかった場合で,情状が特に重いときには,国土交通大臣は,Aの免許を取り消すことができる。 (4)Aが,乙県の区域内の業務に関し乙県知事から指示を受けた場合,甲県に備えられる宅地建物取引業者名簿には,その指示の年月日及び内容が記載される。 平成11年 [問 32]正解(3) (1)正しい。宅建業者に対する監督(かんとく)処分(しょぶん)というのは,宅建業者が悪いことをした場合に,お上(かみ)から受ける指示(しじ)処分・業務(ぎょうむ)停止(ていし)処分・免許(めんきょ)取消(とりけし)処分の3つの処分の総称だ。(1)は指示処分(お上が「ああしろ,こうしろと指示する処分」)の話だ。指示処分は「免許権者(Aに免許を与えた甲県知事)又は現場の知事(乙県知事)」ができる。そして,宅建業者が指示処分に従わないときは,業務停止処分(1年以内の期間を定めて業務の全部又は一部の停止を命じる処分)ができる。業務停止処分も指示処分と同じく,「免許権者又は現場の知事」ができる。だから,甲県知事はAに業務停止処分ができる。 (2)正しい。指示処分は「免許権者又は現場の知事」ができ,宅建業者が指示処分に従わないときは,業務停止処分ができる。そして,業務停止処分も「免許権者又は現場の知事」ができるのだから,(2)の表現も正しい。 (3)誤り。宅建業者が指示処分に従わないときは,業務停止処分ができるが,業務停止処分になる事柄(ことがら)に当たったのに「情状(じょうじょう)が特に重いとき」(情状(じょうじょう)酌量(しゃくりょう)の余地(よち)がないとき=すごく悪いとき)は,免許取消処分になる。ところで,免許取消処分ができるのは免許権者に限られている。いくらお上でも免許を与えてもないくせにそれを取り消すというのは理屈(りくつ)的におかしいからだ。Aは甲県知事免許の宅建業者だから,(3)では甲県知事が免許を取り消せる。国土交通大臣ではダメだ。 (4)正しい。宅建業者に免許を与えた免許権者は,宅建業者名簿を作ってその都道府県などに備えておかなければならない。いつでも一般の人が見ることができるようにするためだ。そこで,宅建業者名簿には「指示処分や業務停止処分が行われたときは,その年月日や内容が記載される」ことになっている。一般の人が見れば危ない業者と判断できるわけだ。 平成11年 [問 33] 自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,宅地建物取引業者でない買主Bと締結した宅地の売買契約(代金4,000万円,手付金400万円)に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法及び民法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)契約に「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは,Bは手付金400万円を放棄して,Aは1,000万円を償還して,契約を解除することができる」旨定めた場合,その定めは無効である。 (2)契約に「Aが瑕疵(かし)担保責任を負う場合,Bは,損害賠償の請求をすることができるが,契約の解除ができるのは瑕疵により契約をした目的を達成できないときに限る」旨定めた場合,その定めは無効である。 (3)契約に「Aは,宅地の引渡しの日から2年間瑕疵担保責任を負うが,Bが知っていた瑕疵(かし)についてはその責任を負わない」旨定めた場合,その定めは無効である。 (4)契約に「債務不履行による契約の解除に伴う損害賠償額の予定及び違約金の合計額を代金の額の3割とする」旨定めた場合,その定めは,当該合計額につき800万円を超える部分については,無効である。 平成11年 [問 33]正解(4)         自ら売主      買主                       A        B                (業者)     (非業者)                              *代金4,000万                                      *BがAに払った手付金400万                     (1)誤り。宅建業者が自(みずか)ら売主となり買主が宅建業者でないときは,手付は解約(かいやく)手付(てつけ)となる。解約手付というのは,相手が契約を実際に行う準備をするまで(契約の履行に着手(ちゃくしゅ)するまで)は,「買主は手付金(400万)を放棄し,売主は手付金の倍額(800万円)を返して」契約を解除できるという性質を持った手付だ。そして,この解約手付の性質に反する定めは,「買主に不利なものは無効」になる。逆に言えば「買主に有利なものは有効」だ。(1)の定めは買主に有利なので有効だ。売主は手付金の倍額以上の1,000万円を返還しなければ解除できないと定めていることになるからだ。 (2)誤り。宅建業者が自(みずか)ら売主となり買主が宅建業者でないときは,瑕疵(かし)担保(たんぽ)責任(せきにん)(売主が欠陥商品を売った場合の責任)に関して,「民法の決まりより,買主に不利になる定めは無効」になる。瑕疵担保責任の民法の決まりでは,欠陥商品を買った買主が契約を解除できるのは,欠陥により契約をした意味がないとき(瑕疵により契約をした目的を達成できないとき)に限ることになっている。だから(3)の定めは民法の決まりと同じなので,民法の決まりより買主に不利になる定めとは言えない。有効だ。 (3)誤り。瑕疵担保責任に関して,「民法の決まりより,買主に不利になる定めは無効」になるが,瑕疵担保責任の民法の決まりでは,買主が知っていた欠陥(瑕疵)については売主は責任を負わないで良いことになっている。だから(4)の定めも民法の決まりと同じなので,民法の決まりより買主に不利になる定めとは言えない。有効だ。 (4)正しい。宅建業者が自(みずか)ら売主となり買主が宅建業者でないときは,損害賠償の予定や違約金の定め(買主がいい加減(かげん)な事をした場合に前もって定める損害賠償額や違約金の定め)の合計額が,「代金額の2割を超える定めをした場合は,2割を超える部分が無効」になる。(3)では合計額を代金額の3割にすると定めているので,代金額の2割である800万円を超える部分が無効になる。 平成11年 [問 34] 契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,宅地建物取引業者でないBと土地付建物の売買契約を締結しようとする場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。なお,この問において「重要事項説明書」とは,同法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面をいうものとする。 (1)当該建物の敷地の一部に甲市所有の旧道路敷が含まれていることが判明したため,甲市に払下げを申請中である場合,Aは,重要事項説明書に払下申請書の写しを添付し,その旨をBに説明すれば,売買契約を締結することができる。 (2)Bが,当該建物の近所に長年住んでおり,その建物に関する事項を熱知していると言っている場合,Aは,Bに対して重要事項説明書を交付すれば,重要事項の説明を行うことなく,売買契約を締結することができる。 (3)損害賠償額の予定及び違約金について,Bから提示された内容のとおりとする場合,Aは,重要事項説明書に記載してその内容を説明することなく,売買契約を締結することができる。 (4)Aが,遠隔地に住んでいるBの了承を得て,「Bが希望する時期に説明をする」旨の条件付きで重要事項説明書を郵送した場合で,Bから希望する時期を明示されないときでも,Aは,重要事項の説明を行った後に限り,売買契約を締結することができる。 平成11年 [問 34]正解(4) (1)誤り。宅建業者が自(みずか)ら売主となり買主が宅建業者でないときは,他人(甲市)の所有する物件(昔の道路の跡(あと))について売買契約を締結できない。宅建業者が他人(甲市)とその部分(昔の道路の跡(あと))の買取(かいとり)契約を結んでいれば別だが,払下(はらいさ)げを申請中の段階では買取契約を結んでいるとは言えないので,まだ,AはBと,昔の道路の跡(あと)の部分の売買契約を締結できない。重要事項説明書に払下申請書の写しを添えるなどして,その事をBに説明してもダメだ。 (2)誤り。宅建業者が自(みずか)ら売主となる場合は,売買契約を締結するまでに,買主に,重要事項説明書を交付して重要事項を説明する必要がある。たとえ,買主Bが,その建物の近所に長年住んでおり,その建物の事を良く知っていると言ってる場合でも,Aは,Bに対して重要事項説明書の交付と重要事項の説明の「両方」をしなければ,売買契約を締結できない。 (3)誤り。「損害賠償額の予定又は違約金に関する事項」つまり,Bがいい加減(かげん)な事をした場合に前もって定める損害賠償額や違約金については,売買契約を締結するまでに,それを記載した重要事項説明書を交付して,重要事項として説明する必要がある。Bが言った通りとする場合でも省略できない。 (4)正しい。重要事項説明書の交付と重要事項の説明は,「両方」とも,売買契約を締結するまでにしなければならない。どのような事情があろうとも,どちらか1つを売買契約の後にすることはできない。だから(4)のように,重要事項説明書を郵送したが,Bから音沙汰(おとさた)がないときでも,Aは,重要事項の説明を行った後でなければ,売買契約を締結できない。 平成11年 [問 35] 契約後の規制(37条書面の交付義務) 宅地建物取引業者が,その媒介により建物の貸借の契約を成立させた場合に,宅地建物取引業法第37条の規定に基づく契約内容を記載した書面に必ず記載しなければならない事項は,次のうちどれか。 (1)借賃についての融資のあっせんに関する定めがあるときは,当該融資が成立しないときの措置 (2)天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは,その内容 (3)当該建物の瑕疵を担保する責任についての定めがあるときは,その内容 (4)当該建物に係る租税等の公課の負担に関する定めがあるときは,その内容 平成11年 [問 35] 正解(2) 宅建業者が「貸借(たいしゃく)にたずさわる(貸し借りの媒介又は代理を行う)とき」に,37条書面に記載しなければならないのは,次の事項だ。    @ 当事者の氏名・住所    A 物件を特定(とくてい)する(どの物件かを決める)ために必要な表示    B 物件の引渡しの時期    C 契約の解除に関する定めがあるときは,その内容    D 損害賠償の予定又は違約金に関する定めがあるときは,その内容    E 天災その他不可(ふか)抗力(こうりょく)による損害の負担に関する定めがあるときは,その内容    F 借賃の額,支払時期,支払方法    G 借賃以外の金銭の授受(じゅじゅ)(受け渡し)に関する定めがあるときは,額,金銭の授受の時期,目的 (1)37条書面に記載しないでよい。@〜Gのどれにも当たらない。宅建業者が「売買にたずさわるとき」は,代金について銀行などの融資を取り持つ定めがあるときは,その融資が成立しないときの措置を37条書面に記載しなければならない。でも,借賃(家賃)を銀行から融資してもらうということは普通は考えられないので,37条書面に記載しないでよいことになっている。 (2)37条書面に必ず記載しなければならない。Eに当たる。問題文の(2)とEで言っていることは,「人の力ではどうすることもできない原因(例:地震)による損害は誰が負担するかに関する定めがあるときは,その内容」ということだ。 (3)37条書面に記載しないでよい。@〜Gのどれにも当たらない。宅建業者が「売買にたずさわるとき」は,物件の瑕疵(かし)担保(たんぽ)責任(せきにん)(売主が欠陥建物を売った場合の責任)の定めがあれば,その内容を37条書面に記載しなければならない。でも,貸借にたずさわるときは売主の責任は考えられない(いるのは売主ではなく貸主!)ので,37条書面に記載しないでよいことになっている。 (4)37条書面に記載しないでよい。@〜Gのどれにも当たらない。宅建業者が「売買にたずさわるとき」は,その物件の固定資産税などの税金は誰が負担するか(売主と買主のどちらが負担するか)に関する定めがあれば,その内容を37条書面に記載しなければならない。でも,貸借にたずさわるときは借主が税金を負担することは考えられないので,37条書面に記載しないでよいことになっている。 平成11年 [問 36] 複合問題 宅地建物取引業者A及びその従業者である取引主任者に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業法第34条の2の規定に基づきAが媒介契約の依頼者に交付すべき書面には,取引主任者の記名押印が必要である。 (2)Aが,取引主任者をして宅地建物取引業法第37条に規定する契約内容を記載した書面を相手方に交付させる場合には,取引主任者は,当該相手方から請求があったときに取引主任者証を提示すれば足りる。 (3)Aが,建物の売買の媒介についてその依頼者から国土交通大臣が定めた報酬の限度額の報酬を受けた場合でも,取引主任者は,別途当該依頼者から媒介の報酬を受けることができる。 (4)Aは,一団の建物の分譲をするため案内所を設置した場合は,その案内所で契約を締結することなく,及び契約の申込みを受けることがないときでも,1名以上の専任の取引主任者を置かなければならない。 平成11年 [問 36]正解(2) (1)誤り。取引主任者の記名押印(サインとハンコ)が必要な書面は,宅建業法上,重要事項説明書(35条書面)と37条書面の2つしかない。だから,媒介契約の依頼者に交付すべき書面(34条の2書面)には,取引主任者の記名押印は不要だ。 (2)正しい。取引主任者が主住者証を提示する必要があるのは,宅建業法上,    @重要事項を説明するとき    A取引の相手方から請求があったとき    の2つしかない。だから,取引の相手方から請求がなくても提示する必要があるのは@の場合だけだ。(2)は重要事項の説明じゃないのでAに当たる。だから,相手方から請求があったときに主住者証を提示すれば足りる。 (3)誤り。宅建業法上,報酬を受けることができるのは「宅建業者」に限られている。取引主任者はいくら依頼者のために骨を折ったとしても,独自に報酬を受けることなど一切できない悲しい存在だ。 (4)誤り。1人以上の専任の取引主任者を置かなければならない案内所は,「契約にたずさわる可能性がある」(契約を締結することがあり,及び契約の申込みを受けることがある)もの,に限られている。契約にたずさわる可能性がない案内所にまで法律に詳しい者を待機(たいき)させておく(専任の取引主任者を置く)必要はないからだ。 平成11年 [問 37] 契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aが,Bから宅地の売却の依頼を受け,Bと専属専任媒介契約(以下この問において「媒介契約」という)を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)「媒介契約の有効期間内に宅地の売買契約が成立しないときは,同一の期間で契約を自動更新する」旨の特約を定めた場合,媒介契約全体が無効となる。 (2)宅地の買主の探索が容易で,指定流通機構への登録期間経過後短期間で売買契約を成立させることができると認められる場合には,Aは,契約の相手方を探索するため,当該宅地について指定流通機構に登録する必要はない。 (3)Bが宅地建物取引業者である場合でも,Aが媒介契約を締結したときにBに交付すべき書面には,BがAの探索した相手方以外の者と宅地の売買又は交換の契約を締結したときの措置を記載しなければならない。 (4)媒介契約において,「Bが他の宅地建物取引業者の媒介によって宅地の売買契約を成立させた場合,宅地の売買価額の3パーセントの額を違約金としてAに支払う」旨の特約は,無効である。 平成11年 [問 37]正解(3) (1)誤り。専属(せんぞく)専任(せんにん)媒介(ばいかい)契約(けいやく)は,依頼者(B)がA以外の他の宅建業者に同じ宅地の媒介・代理を重ねて依頼できないもの(専任媒介契約)の一種で,依頼者が自分で相手方(買主)を見つけてくること(自己発見取引)もできない特約をつけたタイプだ。専任媒介契約は,いわば依頼者の浮気(うわき)を禁止するタイプなので依頼者を強く拘束(こうそく)するから,専任媒介契約を更新するには,「有効期間の満了の際して依頼者の申出があること」が必要になっている。だから,「契約を自動更新する」という特約(特別の約束)は,これに反するので,その特約の部分(「契約を自動更新する」ということ)は無効となる。でも,媒介契約全体が無効になるわけではない。 (2)誤り。専任媒介契約は,いわば依頼者の浮気(うわき)を禁止するタイプで依頼者を強く拘束するから,少しでも早く相手方が見つかるように,依頼された物件(宅地)を指定流通機構に登録する必要がある。例外はない。 (3)正しい。専属専任媒介契約は,依頼者の浮気を禁止するタイプで,しかも自己発見取引も禁止されるので,媒介契約書(Aが媒介契約を締結したときにBに交付する書面)には,依頼者が,Aが探索(たんさく)した(探してきた)相手方以外の者と宅地の売買などの契約を結んでしまったときの措置(そち)(取扱い)を記載しなければならない,ことになっている。依頼者(B)が宅建業者の場合も同じだ。 (4)誤り。(3)で述べたように,専属専任媒介契約の媒介契約書には,依頼者が,Aが探索(たんさく)した相手方以外の者と宅地の売買などの契約を結んでしまったときの措置を記載しなければならない。つまり依頼者が裏切った(浮気した)ときの措置(依頼者が払う違約金)の記載を法律が認めているわけだから,(4)のような特約は有効になる。 平成11年 [問 38] 担保(営業保証金) 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Aが有価証券を営業保証金に充てるときは,国債証券についてはその額面金額を,地方債証券又はそれら以外の債券についてはその額面金額の百分の九十を有価証券の価額としなければならない。 (2)Aは,取引の相手方の権利の実行により営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは,甲県知事から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。 (3)Aが販売する宅地建物についての販売広告を受託した者は,その広告代金債権に関し,Aが供託した営業保証金について弁済を受ける権利を有する。 (4)Aが,営業保証金を金銭と有価証券で供託している場合で,本店を移転したためもよりの供託所が変更したとき,Aは,金銭の部分に限り,移転後の本店のもよりの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができる。 平成11年 [問 38]正解(2) (1)誤り。営業保証金は有価証券でも供託できるが,有価証券で供託する場合の,その有価証券の価額,つまり値段(評価額)は次の通りだ。      @国債………………………………額面金額          A地方債・政府が保証した債券…額面金額の90%      B@A以外の債券…………………額面金額の80% (1)はBを無視しているから誤り。 (2)正しい。営業保証金の額は政令(せいれい)で定められている(本店1,000万円,支店1ヶ所500万円)が,宅建業者が何か事故を起こし取引の相手方が営業保証金から弁償を受ければ,当然政令で定められた営業保証金が不足する。その場合,免許権者(甲県知事)は,不足額を早く預けろ(供託しろ)という通知書を宅建業者に送らなければならない。そして,宅建業者は,その通知書が送られて来た日から「2週間以内」に,その不足額を預けなければならないことになっている。 (3)誤り。もともと営業保証金制度は,宅建業者と「宅地や建物に関する取引」をしたお客さんを保護するものなので,宅建業者と広告に関する取引をした者(広告代理店・印刷業者など)は,営業保証金から弁償してもらえない。 (4)誤り。営業保証金の預け先(供託先)は,本店のもよりの供託所(法務局だ)なので,本店を移転したことで,もよりの供託所が変われば,営業保証金を預ける供託所も変わる。この場合は,移転後の本店のもよりの供託所に,次のことをする必要がある。     @今まで金銭だけで供託していた場合…保管替えを請求する     A@以外の場合(今までの供託に有価証券が入っている場合)…新たに供託する(金銭の部分も)    簡単に言えば,「保管替え」は帳簿上の振り替え(実際の移動がない),「新たに供託」はもう一度別に供託する(実際の移動がある)ことを意味する。(4)はAに当たるのに@ができる,と言っているので誤りだ。 平成11年 [問 39] 契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aが,宅地の所有者Bからその宅地の売買の媒介を依頼され,媒介契約を締結した場合の指定流通機構への登録に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)AB間の媒介契約が専任媒介契約でない場合,Aは,契約の相手方を探索するため,当該宅地について指定流通機構に登録することはできない。 (2)AB間の媒介契約が専属専任媒介契約である場合,Aは,契約締結の日から3日(休業日を除く)以内に,契約の相手方を探索するため,当該宅地について指定流通機構に登録しなければならない。 (3)AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合で,Aが,当該宅地について指定流通機構に登録をし,当該登録を証する書面の発行を受けたとき,Aは,その書面を遅滞なくBに引き渡さなければならない。 (4)AB間の媒介契約が専属専任媒介契約である場合で,Aが所定の期間内に指定流通機構に登録をしなかったとき,Aは,そのことを理由として直ちに罰則の適用を受けることがある。 平成11年 [問 39] 正解(3) (1)誤り。媒介契約は専任(せんにん)媒介契約と一般(いっぱん)媒介契約に大別できる。依頼者(B)が,A以外の他の宅建業者に同じ宅地の媒介・代理を重ねて依頼「できない」ものが専任媒介契約で,重ねて依頼「できる」ものが一般媒介契約だ。専任媒介契約は,いわば依頼者の浮気(うわき)を禁止するタイプなので少しでも早く相手方(買主)が見つかるように,指定流通機構への登録が義務付けられる。一般媒介契約は登録が義務付けられないが,少しでも早く相手方が見つかるに越したことはないので,指定流通機構に登録「できる」ことになっている。(1)は,「AB間の媒介契約が専任媒介契約でない場合」と表現しているので一般媒介契約だが,一般媒介契約は登録禁止と言っているので誤り。 (2)誤り。専属(せんぞく)専任(せんにん)媒介(ばいかい)契約(けいやく)は,依頼者(B)が,A以外の他の宅建業者に同じ宅地の媒介・代理を重ねて依頼できないもの(専任媒介契約)の一種で,依頼者が自分で相手方(買主)を見つけてくること(自己発見取引)もできない特約をつけたタイプだ。こういう媒介契約は依頼者を拘束(こうそく)する度合いが一番強い。そこで,契約締結の日から休業日を除いて「5日以内」に,指定流通機構への登録が義務付けられる。3日以内ではない。 (3)正しい。専任媒介契約は,指定流通機構への登録が義務付けられるが,登録した場合は,指定流通機構から確かに登録したという証明書(登録を証する書面)が発行される。そこで宅建業者は,その証明書を遅滞なく(遅れることなく)依頼者に引き渡さなければならない。依頼者を安心させるためだ。 (4)誤り。指定流通機構への登録義務に違反した宅建業者は,指示処分や業務停止処分などの「監督処分」になることがある。でも,登録義務違反を理由に直接に(直ちに)罰則(懲役または罰金)を受けることはない。宅建業法に罰則規定がないからだが,実質的な理由は,登録義務違反があってもそれだけでは懲役や罰金にするほどの実害(じつがい)の発生やその危険が,まだない,という点にある。 平成11年 [問 40] 複合問題 宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,建物を販売する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)Aは,建物を新築するため建築確認の申請中であったので,「建築確認申請済」と表示して,その建物の販売に関する広告を行い、販売の契約は建築確認を受けた後に締結した。 (2)Aが,建物を新築するため建築確認の申請中であったので,宅地建物取引業者Bに対し,その建物を販売する契約の予約を締結した。 (3)Aは,中古の建物を,その所有者Cから停止条件付きで取得する契約を締結し,当該条件の未成就のまま,その建物を宅地建物取引業者Dに対し販売する契約を締結した。 (4)Aは,都道府県知事から業務の全部の停止を命じられ,その停止の期間中に建物の販売に関する広告を行ったが,販売の契約は当該期間の経過後に締結した。 平成11年 [問 40]正解(3) (1)違反する。(1)の建物は「建築確認の申請中」とあるので,工事完了前の建物だ。宅建業者は,工事完了前の建物は,建築確認が「あった後」でなければ広告できない。これを広告開始時期の制限という。未完成で,しかもお上(かみ)のお墨付(すみつ)き(建築確認)もない物件は,途中で工事中止の可能性があるから制限されるのだ。(1)は建築確認の「申請中」の段階で広告しているので,建築確認が「あった後」に広告したとは言えず,広告開始時期の制限に違反する。 (2)違反する。宅建業者は,工事完了前の建物は,建築確認が「あった後」でなければ売買契約にたずさわれない。これを契約締結時期の制限という。(1)で述べた広告開始時期の制限と同様,未完成で,しかもお上(かみ)のお墨付(すみつ)き(建築確認)もない物件は,途中で工事中止の可能性があるから制限されるのだ。(2)は建築確認の「申請中」の段階で販売しているので,建築確認が「あった後」で売買契約にたずさわったとは言えず,契約開始時期の制限に違反する。なお,販売契約の予約をすることも売買契約に「たずさわる」ことになる。また,相手方(買主)が宅建業者であっても,今まで述べた理屈(りくつ)は変わらない。 (3)違反しない。宅建業者が自(みずか)ら売主となり買主が宅建業者でないときは,他人(C)の所有する物件(中古の建物)について売買契約を締結できない。これを自己の所有に属しない物件の売買契約禁止というが,この禁止は「買主が宅建業者でないとき」の話だ。(3)では買主(D)が宅建業者なので,Aはこの禁止に触れない。 (4)違反する。「Aは,知事から業務の全部の停止を命じられた」とあるから,業務全部の停止処分を受けている。ここでいう「業務全部」には,取引にたずさわる(建物の販売の広告を行う)ことの他に,広告を行うことも含まれる。だから,Aは業務停止処分の期間中に業務(広告)を行ったことになるから,(4)は宅建業法に違反する。 平成11年 [問 41] 契約前の規制(重要事項の説明義務) 1棟の建物に属する区分所有建物の貸借の媒介を行う場合の宅地建物取引業法第35条の規定に基づく重要事項の説明に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (1)当該1棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容を説明しなければならない。 (2)台所,浴室,便所その他の当該区分所有建物の設備の整備の状況について説明しなければならない。 (3)当該1棟の建物及びその敷地の管理がA(個人)に委託されている場合には,Aの氏名及び住所を説明しなければならない。 (4)貸借契約終了時における敷金その他の金銭の精算に関する事項が定まっていない場合には,その旨を説明しなければならない。 平成11年 [問 41]正解(1) 「貸借(たいしゃく)」の媒介(ばいかい)がキーワードだ。貸(か)し借(か)り(貸借)を紹介(媒介)するときは,売り買い(売買)の紹介のときと比べ,重要事項の説明を省ける場合がある,という話だ。 (1)誤り。分譲マンションの敷地に関する権利の種類と内容(所有権か借地権か,というようなこと)は,分譲マンションを売買するときは買主にとって重大だから,重要事項として説明する必要がある。でも,そんなことは分譲マンションを貸し借りするときの借主には関係ない。だから,説明しないで良い。 (2)正しい。台所,浴室,便所その他のマンションの設備の整備の状況は,分譲マンションを売買するときは買主にとって重大だから,重要事項として説明する必要がある。このような快適な日常生活に関係する事柄は,分譲マンションを貸し借りするときの借主にとっても買主と同じく重大だ。だから,説明しなければならない。 (3)正しい。どんな人が管理しているか(管理者の住所・氏名)は,分譲マンションを売買するときの買主に限らず,貸し借りするときの借主にとっても重大だから,説明する必要がある。管理の良(よ)し悪(あ)しは,そのマンションに暮らす以上,快適な日常生活に関係するからだ。 (4)正しい。貸し借りが終わった時の敷金などの金銭の処理(精算)の事項は,そのような事が決まっていても,決まっていなくても,財布(さいふ)の中身に影響する事柄(ことがら)だから,借主にとって重大だ。だから,決まっていればその内容を,決まっていなければ決まっていないことを,説明しなければならない。 平成11年 [問 42] 契約前の規制(一般) 宅地建物取引業者Aが,宅地の所有者Bの依頼を受けてBC間の宅地の売買の媒介を行おうとし,又は行った場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)の規定に違反しないものはどれか。 (1)Aは,Bとの媒介契約の締結に当たり不当に高額の報酬を要求したが,BC間の売買契約が成立した後に実際にAがBから受領した報酬額は,国土交通大臣が定めた報酬額の限度内であった。 (2)Aは,Cに対し手付を貸し付けるという条件で,BC間の売買契約の締結を誘引したが,Cは,その契約の締結に応じなかった。 (3)Aは,当該宅地に対抗力のある借地権を有する第三者が存在することを知っていたが,当該借地権は登記されていなかったので,Cに対して告げることなく,BC間の売買契約を締結させた。 (4)Aは,B及びCに対し,手付金について当初Bが提示した金額より減額するという条件でBC間の売買契約の締結を誘引し,その契約を締結させた。 平成11年 [問 42]正解(4) (1)違反する。宅建業者が媒介(紹介)を成功させれば,国土交通大臣が定めた限度内の報酬を受領できる。でも,限度内の報酬しか受領しなかったとしても,限度内の報酬額を基準にして「不当に高額な報酬」を要求することは,要求すること自体が禁止され,宅建業法に違反する。なぜなら,宅建業には公共性があると見られるからだ。公共交通機関であるタクシーの運転手は「メーターの3倍くださいよ」と要求しただけで処罰されるが,それと同じだ。 (2)違反する。手付を貸してあげるとは,いかにも親切そうな宅建業者に見える。でも,そういうことをして契約の締結を誘うことは,契約が締結されなかったとしても,誘うこと自体が禁止され,宅建業法に違反する。(手付(てつけ)貸与(たいよ)等(とう)による契約締結の誘引(ゆういん)禁止違反)。理由はこうだ。「手付を貸すということは,お客さんから見れば借金だ」。お客さんに借金が残ると,お客さんは気が変わっても事実上,その契約を解除できなくなり,気の毒なことになる(手付放棄による解除をしようとしても,その手付は借金だから,別な所から調達しなければならず,それなら解除をあきらめようとなる!)。手付貸与等による契約締結の誘引は,「お客さんに借金が残る」から禁止されるのだ。 (3)違反する。宅建業者は,お客さんに対して「重要な事項」の事実を隠してはいけない。むずかしい言葉では,「事実(じじつ)不告知(ふこくち)等(とう)の禁止」という。宅建業には公共性があるから,フェアプレーの精神で商売しろということだ。ここでいう「重要な事項」とは,取引を左右するほど大切な事柄という意味だ。(3)では,Cに勝てる借地権を持っている第三者がいるのだから,いくら借地権の登記がないとしてもCがこれを知れば,こんな宅地を買わなかったろう。だから宅建業者Aは,取引を左右するほど大切な事柄をCに隠したので,事実不告知等の禁止違反だ。 (4)違反しない。(4)は手付金を減額(おまけ)するというのだから,(2)と同様に,手付貸与等による契約締結の誘引になるようにみえる。でも,これは(2)で述べたように「お客さんに借金が残る」から禁止されるのだ。ところが(4)では,お客さんに借金など残らない。だから,宅建業法違反ではない。 平成11年 [問 43] 公共性による規制(一般) 宅地建物取引業法に規定する標識に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)複数の宅地建物取引業者が,業務に関し展示会を共同で実施する場合,その実施の場所に,すべての宅地建物取引業者が自己の標識を掲示しなければならない。 (2)宅地建物取引業者は,一団の宅地の分譲を行う案内所で契約の締結を行わない場合,その案内所には標識を掲示しなくてもよい。 (3)宅地建物取引業者は,一団の建物の分譲を,当該建物の所在する場所から約800m離れた駅前に案内所を設置して行う場合で,当該建物の所在する場所に標識を掲示したとき,案内所には標識を掲示する必要はない。 (4)宅地建物取引業者の標識の様式及び記載事項は,その掲示する場所が契約の締結を行う案内所であれば,事務所と同一でなければならない。 平成11年 [問 43]正解(1) (1)正しい。宅建業者は,事務所ごとに,又は,国土交通省令で定める場所ごとに標識を掲げる必要があるが,「展示会を実施する場所」は国土交通省令で定める場所に当たるので,標識を掲げなければならない。ところで,標識は国土交通省令で定める場所「ごとに」掲げるので,(1)のように複数の業者が共同で展示会を実施する場合,展示会を実施する場所は業者の数だけ存在することになる。だから,実施する場所には,すべての業者が自分の標識を掲げなければならない。 (2)誤り。標識を掲げる必要がある国土交通省令で定める場所には「案内所」も含まれる。この案内所は,「契約にたずさわる可能性がある」案内所に限定されないので,(2)のような案内所にも標識を掲げる必要がある。もともと標識を掲げさせるのは,宅建業の公共性による(通りがかりの人にも「そこで何をしているか」を知らせるためにある)からだ。なお,専任の取引主任者を1人以上置かなければならない案内所は,「契約にたずさわる可能性がある」案内所に限定されているが,それと混同しないこと。 (3)誤り。一団(一群)の建物の分譲をする場合には,「建物がある場所」にも標識を掲げる必要がある(つまり,建物がある現場も,案内所と同様に,標識を掲げる必要がある国土交通省令で定める場所に含まれる)。そして,標識は国土交通省令で定める場所「ごとに」掲げるので,(3)のような場合は、駅前の案内所と建物がある場所の両方に,標識を掲げなければならない。 (4)誤り。標識の「記載事項」は,違わなければならない。標識は,事務所「ごとに」,国土交通省令で定める場所「ごとに」掲げる必要があるからだ。標識の「様式(形)」も違う。案内所は一時的な場所なので,そこで行う「業務の内容」を書く欄があるが,事務所は常設なので「業務の内容」を書く欄はない。なお,(4)の案内所は事務所と同様に専任の取引主任者を置く必要があるので,そこに置かれている専任の取引主任者の氏名を書く欄がある点では,同じだ。 平成11年 [問 44] 担保(保証協会) 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)保証協会に加入しようとする者は,加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならないが,加入に際して,加入前の宅地建物取引業に関する取引により生じたその者の債務に関し,保証協会から担保の提供を求められることはない。 (2)弁済業務保証金の還付を受けようとする者は,保証協会の認証を受けなければならず,認証申出書の提出に当たっては,弁済を受ける権利を有することを証する確定判決の正本を必ず添付しなければならない。 (3)保証協会は,弁済業務保証金の還付があった場合は,当該還付に係る社員又は社員であった者に対し,その還付額に相当する額の還付充当金を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に納付すべきことを通知しなければならない。 (4)保証協会は,社員に対して債権を有する場合は,当該社員が社員の地位を失ったときでも,その債権に関し弁済が完了するまで弁済業務保証金分担金をその者に返還する必要はない。 平成11年 [問 44]正解(4) (1)誤り。加入しようとする日までに弁済(べんさい)業務(ぎょうむ)保証金(ほしょうきん)分担金(ぶんたんきん)(本店60万円,支店1ヶ所30万円)を納付しなければならない,という点は正しい。でも,(1)のような場合は,保証協会から担保(たんぽ)の提供(ていきょう)(それまでの宅建業に関する取引により生じたその者の借金に関して,保証協会から,払えないときの保証となるものの提出)を求められることがあるので,誤り。なぜ担保の提供を求められるのか。保証協会は,その業者が会員(社員)になる前に負った債務(借金)についても,お客さんに弁償しなければならない(弁済義務を負う)からだ。 (2)誤り。弁済業務保証金から弁償(還付)を受けようとする者(お客さん)は保証協会の証明(認証)を受けなければならない,という点は正しい。でも,そのために,確定(かくてい)判決(はんけつ)の正本(せいほん)(弁償を受ける権利があることを証明する確定した裁判の判決について裁判所書記官が作成した文書)など添える必要はないので,誤り。お客さんが弁償してもらうときに裁判になるとは限らないからだ。もともと保証協会の認証が必要なのは,ウソの弁償請求(還付請求)を防ぐためにある。だから,お客さんは認証を願い出る書類(認証申出書)に,いきさつがわかる書類(宅建業者との契約書,取引が成立した時期など)を添えればよいことになっている。 (3)誤り。保証協会は,弁済業務保証金の還付があった(弁済業務保証金から取引の相手方に弁償がされた)場合は,還付(かんぷ)充当金(じゅうとうきん)(弁償された金額)を、「保証協会」に納付するように通知する必要がある。還付充当金の納付先は供託所ではなく保証協会だから,通知も,「保証協会」に納付するようにするのだ。保証協会制度では,宅建業者と供託所との間に必ず保証協会が入るから,業者が直接に供託所と接触することは一切ない。 (4)正しい。弁済業務保証金分担金は会員権(社員となる権利)を買うお金なので,会員でなくなれば保証協会から返してもらえるのが原則だ。でも,保証協会から見れば,社員が借金を払う義務を果たさない以上,保証協会も自分の義務(弁済業務保証金分担金を返すこと)を拒めた方が,お互い公平だ。つまり,保証協会には同時履行の抗弁権を認めるべきだ。そこで,(4)のような場合,保証協会は,社員の借金の弁済が完了するまで,弁済業務保証金分担金を返還しないで良いことになっている。 平成11年 [問 45] 取引主任者(登録後の事情変更) 宅地建物取引業者Aの取引主任者Bが,甲県知事の宅地建物取引主任者資格試験に合格し,同知事の宅地建物取引主任者資格登録(以下この問において「登録」という)を受けている場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Bが甲県から乙県に転居しようとする場合,Bは,転居を理由として乙県知事に登録の移転を申請することができる。 (2)Bが,事務禁止の処分を受けている間は,Aの商号に変更があった場合でも,Bは,変更の登録の申請を行うことはできない。 (3)Bは,乙県知事への登録の移転を受けなくても,乙県に所在するAの事務所において専任の取引主任者となることができる。 (4)Bが乙県知事への登録の移転を受けた後,乙県知事に登録を消除され,再度登録を受けようとする場合,Bは,乙県知事に登録の申請をすることができる。 平成11年 [問 45]正解(3) (1)誤り。登録の移転は,他の都道府県(乙県)の宅建業者で仕事をしたりするときに,申請できる。つまり,登録の移転の申請は,「勤務する事務所を変える」ときにできるものだから,単に他県に引っ越しただけでは,できない。 (2)誤り。宅建業の業務に従事する主任者(B)は,その宅建業者(A)の商号(会社名)が変わったときは,変更の登録を申請しなければならない。Bが何か悪いことをして事務禁止の処分を受けている間も,同じだ。なぜなら,事務禁止の処分は,取引主任者としての事務を禁止されるだけであり,それ以上のことを禁止されるわけではないからだ。 (3)正しい。取引主任者は,何県知事の登録を受けたかに関係なく,全国で,取引主任者としての事務を行える。だから,Bは,甲県知事の登録のままでも(乙県知事への登録の移転を受けなくても),乙県にあるAの事務所で専任の取引主任者となれる。 (4)誤り。宅建試験に合格した事実は一生(いっしょう)有効だから,Bはもう1度登録を受けることができるが,その場合は,新規登録者と同じ扱いになる。登録を消(しょう)除(じょ)(抹消(まっしょう))されたときは,登録を全然受けていない振り出し状態にもどるからだ。そして新規登録は,「宅建試験を行った」知事に申請することになっている。Bに宅建試験を行ったのは甲県知事だから,Bは,乙県知事には登録を申請できない。 平成12年 [問 30]複合問題 宅地建物取引業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)A社が,甲県に本店を,乙県に支店をそれぞれ有する場合で,乙県の支店のみで宅地建物取引業を営もうとするとき,A社は,乙県知事の免許を受けなければならない。 (2)B社の政令で定める使用人が,かつて不正の手段により免許を受けたとして当該免許を取り消された場合で,その取消しの日から5年を経過していないとき,B社は,免許を受けることができない。 (3)C社の取締役が,かつて破産宣告を受けたことがある場合で,復権を得てから5年を経過していないとき,C社は,免許を受けることができない。 (4)D社が,免許の更新の申請を怠り,その有効期間が満了した場合は,D社は,遅滞なく,免許証を返納しなければならない。 平成12年 [問 30]正解(2) (1)誤り。2つ以上の都道府県に事務所を置いて宅建業を行おうとするときは,国土交通大臣の免許を受けなければならない。宅建業法では,本店は宅建業を行わなくても常に事務所に数える。お客さんは,最後は本店に掛け合えばよいと考えるのが普通なので,その方がお客さんの保護になるからだ。したがって,A社は2つ以上の都道府県に事務所(甲県の本店と乙県の支店)を置いて宅建業を行おうとするのだから,国土交通大臣の免許を受けなければならない。 (2)正しい。免許を受けようとする者が会社などの法人(B社)の場合,その法人の取締役(役員)または支店長(政令で定める使用人)の中に,「むかし不正に免許を受けたとして免許を取り消されてから5年たっていない」というホヤホヤの前科を持った者がいると,法人は悪の道を走りやすい。そこで,その法人は免許を受けることができないことになっている。 (3)誤り。免許を受けようとする者が法人(C社)の場合,その法人の幹部(取締役または支店長)の中に,破産者(破産宣告を受けた者)がいると,その法人は免許を受けることができない。破産宣告されると,裁判所によって財産の整理が行われるので,そういう変な幹部がいる会社には免許を与えない趣旨だ。でも時間がたつと,その幹部の財産の整理が終わり元の状態に戻る。これを「復権を得る」という。そこで,破産宣告された幹部がいても,その幹部が復権を得たときは,法人は直ちに(幹部が復権を得てから5年たたなくても)免許を受けられることになっている。 (4)誤り。免許が取り消されたときなどは,すぐに免許証を返さなければならないことになっているが,最近改正があり,免許の有効期間が過ぎた場合でも返納は義務付けられないことになった。知事の負担をなるべく軽くするという地方(ちほう)分権(ぶんけん)推進法(すいしんほう)の趣旨に従ったものだ。このように取り扱っても,免許が取り消されたときなどと違い,有効期間が過ぎた免許証は悪用される可能性が低いから大丈夫なのだ。 平成12年 [問 31]複合問題 宅地建物取引主任者(以下「取引主任者」という。)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第35条の規定に基づき重要事項の説明をさせる場合の取引主任者は,必ずしも成年者である専任の取引主任者である必要はない。 (2)宅地建物取引業者が,自ら売主として建物を販売した場合に,その相手方が宅地建物取引業者であれば,宅地建物取引業法第37条の規定に基づき交付すべき書面には,取引主任者をして記名押印させる必要はない。 (3)宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は,正当な理由がある場合又はその従業者でなくなった場合を除き,宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。 (4)宅地建物取引業者は,その事務所に備える従業者名簿に,従業者が取引主任者であるか否かの別を記載しなかった場合,業務停止の処分を受けることがあるが,罰金の刑に処せられることはない。 平成12年 [問 31]正解(1) (1)正しい。宅建業者が事務所などに一定数置かなければならない取引主任者は,成年者であり,しかも専任(フルタイム)でなければならない。契約行為が行われる可能性がある場所(事務所など)に,朝から晩まで取引主任者を待機させておく必要があるからだ。しかし,重要事項を説明する者は,取引主任者でありさえすればよい。重要事項を説明させる制度は,宅建試験合格者を説明者とすることでお客さんを安心させる点にあるが,専任でなくても(パートタイムでも)宅建に合格していることに変わりないからだ。 (2)誤り。37条書面は,契約の大切な部分を書いた書類を相手方に交付することで,後のトラブルを未然に防止するため,宅建業者に交付が義務付けられているものだ。そして37条書面には,記載内容を慎重に確認するため,取引主任者がハンコを押す(記名押印する)ことになっている。相手方が同業者(宅建業者)でも同じだ。トラブルの未然防止,記載内容の慎重な確認という点で,相手が同業者でも素人のお客さんの場合と変わりないからだ。 (3)誤り。従業員(取引主任者であるかどうかに関係なく)は,正当な理由がある場合でなければ,宅建業の業務を補助したことで知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。お客さんの秘密を守るためだが,秘密を漏らせない状況は,従業員でなくなった後でも続く。会社を辞めても一生お客さんの秘密を漏らせない,ということだ。保護すべきお客さんの秘密には期限などないからだ。 (4)誤り。宅建業者は,事務所ごとに従業員名簿を備えなければならないが,この名簿には従業員が取引主任者であるかどうかの別を記載する必要がある。宅建業には公共性があるからだ。パン屋さんや魚屋さんにはこんな義務はない。そこで宅建業法は,従業員名簿に関する義務を守らなかった場合は,営業停止(業務停止処分)や罰金(20万円以下)を用意して,少しでも守らせようとしている。 平成12年 [問 32]複合問題 取引主任者Aが,甲県知事の宅地建物取引主任者資格登録(以下「登録」という。)及び宅地建物取引主任者証(以下「取引主任者証」という。)の交付を受けている場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Aが,甲県知事から取引主任者証の交付を受けた際に付された条件に違反したときは,甲県知事は,Aの登録を消除しなければならない。 (2)Aは,取引主任者証の有効期間の更新を受けなかったときは,取引主任者証を甲県知事に返納しなければならず,甲県知事は,Aの登録を消除しなければならない。 (3)Aは,その住所を変更したときは,遅滞なく,変更の登録の申請とあわせて,取引主任者証の書換え交付を甲県知事に申請しなければならない。 (4)Aが,乙県知事に登録の移転の申請とともに,取引主任者証の交付の申請をした場合における取引主任者証の交付は,Aが現に有する取引主任者証に,新たな登録番号その他必要な記載事項を記入する方法で行わなければならない。 平成12年 [問 32]正解(3) (1)誤り。知事が登録を削除(消除)するには,Aが何か悪い事をしなければならないが,(1)ではそれは有りえない。そもそも主任者証を交付する際に,条件を付ける制度などないからだ。なお,業界から暴力団を排除するために,宅建業の免許には条件を付けることができ,条件に違反したときは免許を取り消せる制度がある。免許をもらったあとでヤクザを役員に迎え入れるのを防ぐのだ。だから,免許には「暴力団員を役員にしないこと!」というような条件を付けることができる。でも,「主任者証をもらってからヤクザになろう」と考える人は余りいないだろう。だから,主任者証を交付する際に条件を付ける制度はないのだ。 (2)誤り。主任者証の有効期間(5年)の更新を受けなかったときは,主任者証が効力を失うので,主任者証を甲県知事に返さなければ(返納(へんのう)しなければ)ならない。でも,甲県知事はAの登録を削除(消除)できない。知事が登録を削除するには,Aが何か悪い事をしなければならないからだ。 (3)正しい。取引主任者が住所を変更したときは,変更の登録を申請しなければならない。ところで,主任者証には取引主任者の氏名・年齢と共に住所も記載されている。そこで,住所を変更したときは,すぐに,変更の登録の申請とあわせて,主任者証を書き換えてくれという申請をしなければならないことになっている。 (4)誤り。登録の移転とは,他の都道府県の宅建業者に転職するときなどに,登録の本籍地を移すことだ。(4)では本籍が甲県から乙県に移るので,登録の移転の申請とともに主任者証の交付を申請した場合は,乙県知事は,古い主任者証(Aが現在持っている主任者証)と「引き換えに」,新しい主任者証を交付することになっている。古い主任者証は発行者が甲県知事なので,登録番号などを新しく書き換えると主任者証がゴチャゴチャするだけだからだ。 平成12年 [問 33]取引主任者(登録を受けられない者) 取引主任者の登録に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)取引主任者Aが,不正の手段により登録を受けたとして登録の消除の処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分についての決定がされる日までの間に,相当の理由なく登録の消除を申請した場合,Aは,当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。 (2)取引主任者Bは,刑法第209条(過失傷害)の罪により罰金の刑に処せられた場合は,30日以内に登録の消除を申請しなければならず,当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。 (3)取引主任者Cが,登録を受けている都道府県知事から事務禁止の処分を受け,その禁止の期間中にCからの申請に基づくことなく登録を消除された場合は,事務禁止の期間が満了するまでの間は,Cは,新たな登録を受けることができない。 (4)未成年(未婚)であるDは,法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得て登録を受けることができるが,宅地建物取引業者がその事務所等に置かなければならない成年者である専任の取引主任者とみなされることはない。 平成12年 [問 33]正解(1) (1)正しい。取引主任者が不正に登録を受けた場合,知事は登録を削除(消除)できるが,登録を削除する前に,知事は,言い訳を聴く必要がある。これが聴聞(ちょうもん)だ。聴聞の期日や場所が公示されると,ほとんどの場合,言い訳が通らず登録が削除される。「登録が削除されると5年間は再び登録を受けることができない」。そこで,お上に削除される前に自分から削除を申請しちゃえば,5年間待たなくても登録を受けることができると考える者が出てくる。それが(1)のAだ。しかし,Aの申請を許したのでは「登録が削除されると5年間は再び登録を受けることができない」という制度が骨抜きになってしまう。そこで,お上に削除される前に自分から登録の削除を申請しても,5年たたなければ新しい登録を受けることができないようになっている。 (2)誤り。宅建業法上,取引主任者の方から登録の削除(消除)の申請が義務付けられる場合はない。登録の削除はお上(かみ)(知事)がするものだ。なお,お上によって登録が削除された場合は,削除された日から5年たたなければ,新しい登録を受けることができないが,(2)の場合は登録が削除されることはない。過失傷害罪とは過失(不注意)で人をケガさせた罪だが,過失犯の場合は刑務所に行く判決(懲役(ちょうえき)または禁錮(きんこ))が出なければ登録を削除できないようになっているからだ。 (3)誤り。「Cからの申請に基づくことなく登録を消除された」と書いてあるが,これは,お上によって登録が削除されたことを意味する。この場合,上の(2)で書いたように,削除された日から5年たたなければ,新しい登録を受けることができない。したがって,仕事をヤルナという禁止期間(事務の禁止の期間)が終了しても,削除された日から5年たたなければ,Cは新らしい登録を受けることができない。 (4)誤り。未成年者(未婚)でも,親から「宅建業をしてもいい」という許可をもらえば,登録を受けることができる。営業に関する親の許可があれば,成年者扱い(成年者と同一の能力を有する未成年者)になるからだ。また,宅建業者が事務所などに置かなければならない取引主任者は,成年者でなければならないが,営業に関する親の許可があっても,ここでは成年者扱いにならない。しかし,その未成年者が会社などの法人の役員(取締役)の場合は,「成年者である専任の取引主任者とみなされる」という特別の決まりがある。未成年者でも役員であれば世間は一応の信頼を寄せるからだ。したがって,(4)は「成年者である専任の取引主任者とみなされることはない」という部分が誤りだ。 平成12年 [問 34]契約後の規制(37条書面の交付義務) 宅地建物取引業者が,その媒介により宅地の貸借の契約を成立させた場合に,宅地建物取引業法第37条の規定に基づく契約内容を記載した書面において必ず記載すべき事項以外のものは,次のうちどれか。 (1)借賃の額並びにその支払の時期及び方法 (2)契約の解除に関する定めがあるときは,その内容 (3)契約の更新に関する事項 (4)損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは,その内容 平成12年 [問 34]正解(3) 宅建業者が,貸主と借主の間に「貸し借り(貸借(たいしゃく))の契約」を成立させた場合には,その契約の「大切な部分」を37書面に必ず記載しなければならないが,具体的には次の8つの事項だ。 @当事者の氏名・住所 A宅地建物を特定するために必要な表示 B借賃の額,ならびに支払時期・支払方法 C宅地建物の引渡し時期 D借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは,その額,その金銭の授受の時期・目的 E契約の解除に関する定めがあるときは,その内容 F損害賠償の予定または違約金に関する定めがあるときは,その内容 G天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは,その内容 (1)37書面に必ず記載すべき事項だ。上のBに当たる。これが契約の「大切な部分」であることは簡単に想像がつくだろう。 (2)37書面に必ず記載すべき事項だ。上のEに当たる。「1年間続けて借主が地代を払わないときは,貸主は契約を解除する」というような定めがあったときが,その例だ。 (3)37書面に必ず記載すべき事項以外のものだ。したがって正解肢になる。契約の更新に関する事項は,上の@からGのどれにも当たらない。契約の更新に関する事項も契約の「大切な部分」に違いないが,更新は借地借家法の定めにしたがって結論付けられる側面が強いので,37書面に記載すべき事項から除かれているのだ。 (4)37書面に必ず記載すべき事項だ。上のFに当たる。これは,「相手に迷惑をかけたときの損害賠償に関する特別の約束があるとき」だが,例えば,「1年間続けて借主が地代を払わないときは,貸主は年利2割の違約金を請求する」というような定めがあった場合は,その約束の内容を37条書面に記載しておけということだ。 平成12年 [問 35]契約前の規制(一般) 宅地建物取引業者Aが,その業務を行う場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (1)Aが,建物の貸借の媒介をするに当たり,当該建物の近隣にゴミの集積場所を設置する計画がある場合で,それを借主が知らないと重大な不利益を被るおそれがあるときに,Aは,その計画について故意に借主に対し告げなかった。 (2)Aは,建物の売買の媒介をするに当たり,建物の売主から特別の依頼を受けて広告をし,当該建物の売買契約が成立したので,国土交通大臣が定めた報酬限度額の報酬のほかに,その広告に要した実費を超える料金を受領した。 (3)Aが,建物の貸借の媒介をするに当たり,借受けの申込みをした者から預り金の名義で金銭を授受した場合で,後日その申込みが撤回されたときに,Aは,「預り金は,手付金として既に家主に交付した」といって返還を拒んだ。 (4)Aは,建物の売買の媒介をするに当たり,買主が手付金を支払えなかったので,手付金に関し銀行との間の金銭の貸借のあっせんをして,当該建物の売買契約を締結させた。 平成12年 [問 35]正解(4) (1)違反する。宅建業者は,重要な事項について,「わざと(故意(こい)に)真実(事実)を告げない行為」をしてはダメだ。ウソつきになるからだ。ウソつきの典型は,「わざと(故意(こい)に)ウソ(不実)を告げる行為」だが,本当の事を隠すのもウソつきになる,ということだ。(1)のゴミの集積所問題は建物の借主にとって,すごく重要な事項だ。だから,Aはそれを借主に告げるべきであり,わざと告げない態度が,宅建業法違反になる。 (2)違反する。お客さんから特別に頼まれて広告をしたときは,国土交通大臣が定めた限度額の報酬のほかに,その広告に使った実費を請求できる。しかし,実費を超える分は請求できない。宅建業には公共性があるから,こんなところで「うわまえをハネルな!」ということだ。 (3)違反する。お客さんが契約をキャンセルする際に,宅建業者が受け取った預り金の返還を拒むと,宅建業法違反になる。宅建業法はお客さんの保護を目指す法律だが,このような行為がお客さんの保護にとってマイナスなのは明白だからだ。 (4)違反しない。宅建業者が手付金を貸すと宅建業法違反だ。これを「手付を貸すことによる契約の誘い込み(誘引(ゆういん))の禁止」という。お客さんが「宅建業者に」借金すると,後で気が変わっても手付放棄による解除の道を閉ざされてしまうから禁止されるのだ。形式上,手付放棄による解除ができたとしても,その手付は宅建業者から借りたものだから,お客さんは別に,手付を宅建業者に返さなければならず,実質的には手付放棄による解除ができないのだ。でも(4)の場合は違う。銀行ローンをあっせんしただけなので,お客さんが「宅建業者に」借金したわけではなく,手付放棄による解除の道が閉ざされていることもない。だから,銀行ローンのあっせんは禁止されず,宅建業法に違反しない。 平成12年 [問 36]契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aが,B所有建物の売買の媒介の依頼を受け,Bと一般媒介契約(専任媒介契約でない媒介契約)を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)Aは,遅滞なく,宅地建物取引業法第34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面を作成し,取引主任者をして記名押印させ,Bに交付しなければならない。 (2)「Bが,A以外の宅地建物取引業者に重ねて売買の媒介の依頼をする際は,Aに通知しなければならない」旨の定めをしたときは,その定めは無効である。 (3)Aが,建物を売買すべき価額について意見を述べる場合に,その根拠を明らかにしなかったとき,Aは,そのことを理由に業務停止の処分を受けることがある。 (4)BがAに対して支払う報酬に関する事項については,必ずしも宅地建物取引業法第34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面に記載する必要はない。 平成12年 [問 36]正解(3) 宅建業者が,売買契約の売主と買主の仲立(なかだ)ちを引き受ける契約を,媒介契約という。 媒介契約のうち,お客さんは「他の宅建業者にも同じ依頼をしてよい」と約束したものを一般(いっぱん)媒介(ばいかい)契約(けいやく)という。反対に,「他の宅建業者に同じ依頼をしてはダメ」と約束したものを専任(せんにん)媒介(ばいかい)契約(けいやく)という。 (1)誤り。媒介契約を結んだ宅建業者は,一般媒介契約・専任媒介契約を問わず,宅建業法で決められた書面を作り,ハンコを押して(記名押印して),お客さんに交付しなければならない。口約束のままだと,後で「言った,言わない」の水掛(みずか)け論(ろん)になったとき,お客さんの利益を害するからだ。ところで,この書面は水掛け論を防ぐためのものなので,ハンコを押すのにそれほどの法律知識を必要としない。そこで,取引主任者じゃなくても記名押印できることになっている。 (2)誤り。お客さんは「他の宅建業者にも同じ依頼をしてよい」と約束をしたものが一般媒介契約だが,宅建業法は,一般媒介契約に2種類のものを認める。1つは,「他の宅建業者にも同じ依頼をしてよく,その業者の名前を通知する必要もない」というものだ。これを明示義務のない一般媒介契約という。もう1つは,「他の宅建業者にも同じ依頼をしてもよいが,その業者の名前を通知してくれ」という条件を付けたものだ。これを明示義務のある一般媒介契約という。(2)で書いてあるのは明示義務のある一般媒介契約だ。これは宅建業法が認めているのだから,AB間の約束は有効だ。 (3)正しい。宅建業者が代金(価額(かがく))について意見を述べるときは,結論だけでなく,必ずその根拠(理由)を明らかにしなければならない。お客さんが要求しなくても同じだ。紋切(もんき)り型(がた)に結論だけ押し付けられると頭に来るのが人間だから(理由を書いてない宅建の解説書を読むと,皆さんがイライラするのと同じ!!),それを回避させるためだ。だから,結論だけを押し付けた宅建業者には,お灸(きゅう)をすえる(業務停止の処分を受ける)手立てが用意されている。 (4)誤り。(1)で述べたように,媒介契約を結んだ宅建業者は,宅建業法で決められた書面を作り,記名押印して,お客さんに交付しなければならないが,この書面には,「報酬に関する事項」を必ず記載しなければならない。水掛け論で一番多いのが,お金に関することの口約束だから。 平成12年 [問 37]契約前の規制(媒介契約の規制) 宅地建物取引業者Aが,B所有地の売買の媒介の依頼を受け,Bと専任媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか。 (1)当該契約には,Bが,他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買又は交換の契約を成立させたときの措置を定めなければならない。 (2)Aは,Bの申出に基づき,「契約の有効期間を6月とする」旨の特約をしたときでも,その期間は3月(専属専任媒介契約にあっては,1月)となる。 (3)「当該B所有地についての売買すべき価額は指定流通機構への登録事項とはしない」旨の特約をしたときは,その特約は無効である。 (4)Aは,Bに対し,当該契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任媒介契約にあっては,1週間に1回以上)報告しなければならない。 平成12年 [問 37]正解(2) 媒介契約のうち,お客さんは「他の宅建業者に同じ依頼をしてはダメ」と約束したものを専任(せんにん)媒介(ばいかい)契約(けいやく)という。浮気を禁止するのが専任媒介契約だ。お客さんは拘束されるので,宅建業法は,お客さんを保護するために,専任媒介契約独特の制度をイロイロ用意している。 なお宅建業法は,専任媒介契約に2種類のものを認める。1つは,「他の宅建業者に同じ依頼をしてはダメだが,お客さんが自分で相手を見つけてくるのは禁止しない」というものだ。これを普通の専任媒介契約という。もう1つは,「他の宅建業者に同じ依頼をしてはダメだし,お客さんが自分で相手を見つけてくるのもダメだ」というものだ。これを専属(せんぞく)専任(せんにん)媒介(ばいかい)契約(けいやく)という。したがって,同じ専任媒介契約でも専属専任媒介契約の方が,お客さんを拘束する度合いがより強い。 (1)正しい。「他の宅建業者に同じ依頼をしてはダメ」と約束したものが専任媒介契約だが,お客さんが別の業者に同じ依頼をしちゃうこと(お客さんの裏切り)も十分に考えられる。そこで,別の業者に同じ依頼をして買主を探してしまったときの措置(例:「BがAを裏切ったときは,AはBに100万円払う」という約束)を,あらかじめ定め,それを書面に記載することになっている。でないと,海千山千(うみせんやません)の宅建業者から,お客さんが不当な損害賠償を取られかねないからだ。 (2)誤り。専任媒介契約は,浮気が禁止されお客さんが拘束されるので,3ヶ月に1度は見直すことになっている。そこで,お客さんの申し出があっても,3ヶ月を超えた専任媒介契約を結んだときは,その期間は3ヶ月に短縮される。この取り扱いは,普通の専任媒介契約でも専属専任媒介契約でも同じだ。専属専任媒介契約の場合は1ヶ月になる,というのは出題者の作り話だ。 (3)正しい。専任媒介契約はお客さんを拘束するので,早く相手が見つからないと,お客さんに気の毒だ。そこで,専任媒介契約を結んだ宅建業者は,情報を一人(ひとり)占(じ)めしないで,国土交通大臣が指定したセンターに情報を流す(登録する)ことが義務付けられる。その情報センターが指定流通機構だ。少しでも早く相手を見つけるために情報を流すのだから,この情報には,代金が含まれなければ話にならない。だから,「代金は指定流通機構への登録事項としない」というようなフザケタ約束は無効になる。 (4)正しい。専任媒介契約では,お客さんが他の宅建業者に頼めないので不安だ。この不安を少しでも解消するため,普通の専任媒介契約を結んだ宅建業者は,お客さんに対してその専任媒介契約に関係する仕事が今どのくらい進んでいるかを2週間に1回以上報告しなければならないことになっている。専属専任媒介契約では,お客さんが自分で相手を見つけてくるのもダメなので,お客さんに一層サービスすべきだから,1週間に1回以上報告することになっている。 平成12年 [問 38]複合問題 宅地建物取引業者Aの行う広告に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)Aが,都市計画法第29条の許可を必要とする宅地の分譲をする場合,Aは,その許可を受ける前であって,許可申請中である旨表示して,その宅地の分譲の広告をすることができる。 (2)Aが,宅地建物取引業法第65条第2項の規定により業務の全部の停止を命じられた場合でも,Aは,停止期間経過後に契約を締結する宅地については,停止期間中に,その販売の広告をすることができる。 (3)Aが,建物の貸借の媒介をするに当たり,依頼者からの依頼に基づくことなく広告した場合でも,その広告が貸借の契約の成立に寄与したとき,Aは,報酬とは別に,その広告料金を請求できる。 (4)Aが,建物を分譲するに当たり宅地建物取引業法第32条の規定に違反して誇大広告をした場合は,その広告をインターネットを利用する方法で行ったときでも,国土交通大臣又は都道府県知事は,Aに対して監督処分をすることができる。 平成12年 [問 38]正解(4) (1)誤り。開発許可を必要とする宅地ということは,その宅地がまだ工事完了前だということを表している。工事完了前の物件は,お上の許可(この問題では開発許可)がないと,広告できない。お上の許可をもらわないと物件を完成できないが,許可をもらえる保証はないからだ。Aは,開発許可の申請中であるとはいえ,まだ許可がないことに変わりない。したがって,たとえ「許可を申請中だ」と表示しても,その宅地の分譲広告はできない。 (2)誤り。宅建業者の典型的な仕事は契約業務だが,業務停止処分の「業務」には広告業務が含まれる。業務停止処分は宅建業者にお灸(きゅう)をすえる意味があるが,業務から広告を除いたのではお灸をすえる意味が半減してしまうからだ。したがって,Aは停止期間中に,その後のための広告をすることはできない。 (3)誤り。お客さんから特別に頼まれて広告をしたときは,国土交通大臣が定めた限度額の報酬のほかに,その広告に使った実費を請求できる。しかし,頼まれもしないのに広告したときは,その広告が契約の成立に貢献したとしても,その料金を請求できない。余計なお世話のツケをお客さんに持っていくのは,お客さんの保護を目指す宅建業法に矛盾するからだ。 (4)正しい。ウソ・おおげさな広告(誇大(こだい)広告(こうこく))は禁止される。その手段は問わない。「世間が迷惑する可能性がある」ことがウソ・おおげさの基準だからだ。現代はインターネット社会と言えるので,ウソ・おおげさをインターネットで流せば,明らかに世間が迷惑する可能性が生じるから,Aは誇大広告の禁止に違反したことになる(可能性でいいから被害者が出なくても同じだ)。そこで宅建業法は,お上が指示処分・業務停止処分・免許取消処分の3つのお灸をすえる手立てを用意している。この3つを総称して監督(かんとく)処分(しょぶん)という。 平成12年 [問 39]契約前の規制(重要事項の説明義務) 宅地建物取引業者が,宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項について説明をする場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)建物の貸借の媒介において,当該貸借が借地借家法第38条第1項の定期建物賃貸借である場合は,貸主がその内容を書面で説明したときでも,定期建物賃貸借である旨を借主に説明しなければならない。 (2)建物の売買の媒介において,売主が瑕疵(かし)担保責任を負わない旨の定めをする場合は,その内容について買主に説明しなければならない。 (3)建物の貸借の媒介において,借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは,その額及びその目的のほか,当該金銭の授受の時期についても借主に説明しなければならない。 (4)建物の売買の媒介において,買主が天災その他不可抗力による損害を負担する旨の定めをする場合は,その内容について買主に説明しなければならない。 平成12年 [問 39]正解(1) (1)正しい。定期建物賃貸借とは,借主が,「最初に契約した期間だけ建物を借り,期間が来たら,必ず貸主に建物を返す」と約束した建物の賃貸借だ。期間が来ても更新されることがない。借主が更新の可能性のある普通の建物賃貸借と誤解するといけないので,「宅建業者は」,定期建物賃貸借であることを借主に説明しなければならない。貸主がすでに同じことを借主に説明したときでも,重要事項の説明は宅建業者の義務だから,宅建業者がもう一度説明する必要がある。 (2)誤り。瑕疵(かし)担保(たんぽ)責任(せきにん)とは,売主が売った物にチョット気が付かない欠陥(瑕疵)があった場合,売主が負う責任のことだ。ところで,重要事項の説明でいう「重要」とは,契約するかどうかを決定する判断材料として一般的な重要性を持つ事項,という意味だ。売主が瑕疵担保責任を負わないと定めても,そんな定めは,契約するかどうかを決定する判断材料にはならないのが一般だ。それほど数が多くない欠陥住宅のための備えより,現在の住宅の性能を重視して選ぶというのが,住宅の一般的な選び方なのだ。そこで宅建業法は,(2)のような定めがあった場合でも,重要事項として説明することを義務付けていない。なお,平成12年から「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法(ひんかくほう))がスタートしたが,その名からもわかる通り,国民の住宅の選び方が欠陥住宅のための備えを重視する方向に転換してきている。そこで近い将来,瑕疵担保責任に関する定めが重要事項の仲間入りをする時がくると思われる。 (3)誤り。借賃以外の金銭(例:敷金・権利金)の受け渡しに関する定めがあるときは,その額や受け渡しの目的は,契約するかどうかを決定する判断材料になる。借賃が安くても敷金や権利金が高ければ「他を探そう」と思うのが一般だからだ。しかし,それらの受け渡しの時期についてはたいした問題じゃないだろう。そこで宅建業法は,「借賃以外の金銭の額や受け渡しの目的」を説明しなければならないと決めているが,その金銭の受け渡しの時期については放任している。(3)は,「金銭の授受の時期についても借主に説明しなければならない」と書いてある点が,誤りだ。 (4)誤り。「買主が天災など人の力ではどうしようもできないことを原因とする損害を負担する定めをする」ということだ。さらにホンヤクすると,例えば「地震で損害が発生しても買主が我慢する定め」,ということになる。こんな定めがあっても,契約するかどうかを決定する判断材料にならないのが一般だ。地震による損害など滅多(めった)におきないからだ。そこで宅建業法は,(4)のような定めがあった場合でも,重要事項として説明することを義務付けていない。 平成12年 [問 40]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,宅地建物取引業者でないBと中古の土地付建物の売買契約(代金5,000万円,手付金1,000万円)を締結する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法及び民法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)Aが,瑕疵(かし)担保責任を負うべき期間について,その土地付建物の引渡しの時から1年間とする旨の特約をした場合は,その期間は,Bが瑕疵の事実を知った時から1年間となる。 (2)Aは,手付金のうち代金の10分の1を超える部分について宅地建物取引業法第41条の2に規定する手付金等の保全措置を講じた場合は,手付金全額を受領することができる。 (3)Aは,Bの要求があった場合は,契約の締結を誘引するためBの手付金の支払いについて分割払とすることができる。 (4)AB間で,手付金を違約手付とする旨の特約を定めた場合においても,別途Bの債務不履行による契約解除に伴う損害賠償の予定額を定めることができる。 平成12年 [問 40]正解(1) (1)正しい。宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結ぶ場合は,瑕疵担保責任について「民法の定めより買主に不利な特約」をしてはならず,やってしまえば,その特約は無効になる。Aは,その土地付建物をBに引渡した時から1年間瑕疵担保責任を負うと約束しているが,これは,民法の定めより買主に不利な特約だ。民法は,買主が欠陥を「発見した時から1年間」責任を負えと定めているからだ。だから,Aがした特約は無効になる。ということは,宅建業法上は特約しなかったことになるから,民法が適用される。民法では,買主が欠陥を「発見した時から1年間」責任を負えと定めているので,Aが,瑕疵担保責任を負う期間は,Bが欠陥を発見した時から1年間となる。 (2)誤り。工事完了後の物件(中古の土地付建物)について,宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結ぼうとしている。この場合は,受領しようとする手付金の額が代金額の10分の1(本問では500万円)を超えるときは,「手付金全部」(本問では1,000万円)について保全措置(宅建業者が倒産してもお客さんに迷惑をかけない措置)を行わないと,手付金を1円も受け取れない。手付金を受け取るための保全措置を,代金の10分の1を超える部分(500万)についてだけ行えばよいとしたのでは,本問の場合,Aが倒産するとBは500万円も損しちゃうからだ。 (3)誤り。宅建業者はお客さんに手付金を貸すことができない。お客さんが「宅建業者に」借金すると,後で気が変わっても手付放棄による解除の道を閉ざされてしまうからだ。Bの要求があったとしても,Aが手付金の支払いについて分割払を認めることは,お客さんが「宅建業者に」借金したことになってしまう。したがって,Aは手付の分割払いをOKしちゃダメだ。 (4)誤り。宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結ぶ場合は,違約金と損害賠償の予定額の「合計が」,代金の10分の2(本問では1,000万円)を超える定めをすることができない。これは,お客さん(B)が悪いとしても余り多額の迷惑料を約束するな,という趣旨だが,違約金も損害賠償の予定額も,要するにBがAに迷惑をかけた場合の迷惑料であり実質上同じ意味なので,「合計が」10分の2を超えちゃダメ,と決めたのだ。したがって,違約金と損害賠償の予定額を別々に定めたとしても,両者の「合計額が」10分の2を超えることはできないから,(4)の表現は不正確だ。 平成12年 [問 41]自ら売主となり買主が非業者のときだけの規制 売主を宅地建物取引業者であるA,買主を宅地建物取引業者でないBとする宅地の売買契約について,Bが,宅地建物取引業法第37条の2(事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等)の規定に基づき売買契約の解除を行う場合に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (1)Aが,売買契約を締結した際に,売買契約の解除ができる旨及びその方法について口頭のみで告知した場合は,その告知した日から起算して10日後で,かつ,代金の一部を支払った後であっても,Bは,当該売買契約を解除することができる。 (2)Aが,電話によりBの勤務先で売買契約に関する説明をする旨を申し出て,Bの勤務先を訪問し,そこで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができない。 (3)Aが,一団の宅地の分譲について宣伝のみを行う現地案内所でBに契約に関する説明を行い,翌日Aの事務所等の近くのホテルのロビーで売買契約を締結した場合は,Bは,当該売買契約を解除することができる。 (4)Bが,売買契約を締結した後,Aから宅地の引渡しを受け,かつ,その代金の全部を支払った場合は,売買契約の解除ができる旨及びその方法について告知を受けていないときでも,Bは,当該売買契約を解除することができない。 平成12年 [問 41]正解(2) 宅建業者が,自分で売主となって,宅建業者でない者と売買契約を結んだ場合,事務所なんかじゃない場所で買ってきたお客さんは,クーリングオフできる。衝動(しょうどう)買(が)いしたお客さんを救済する趣旨だ。 (1)正しい。お客さんが,宅建業者よりクーリングオフのことについて「書面で」告げられた場合は,その日から数えて8日経過すると,クーリングオフできなくなる。8日間は書面で告げられた日から数えるので,(1)のように口でだけ告げられたときは,何日たっても8日が経過したことにならない。したがって,Bはクーリングオフできる。 (2)誤り。お客さんが勤務先で契約するとクーリングオフできなくなる場合がある。それは,「お客さんの方から申し出て」,勤務先で契約した場合だ。お客さんの方から業者を勤務先に呼び付けたときは,衝動買いとは言えない。だから,クーリングオフできないのだ。でも(2)では,宅建業者の方から申し出て,お客さんの勤務先に押し掛けている。こういうときは,お客さんの方から申し出た場合と違って衝動買いしやすい。だから,Bはクーリングオフできる。 (3)正しい。お客さんがクーリングオフするには,「事務所なんかじゃない場所(法律用語では「事務所等以外の場所」)で買ってきたことが必要だ。クーリングオフは衝動買いしたお客さんを救済する制度だから,事務所なんかじゃない場所とは,要するに衝動買いしやすい場所を指す。Bはホテルロビーで契約を結んでいるが,ホテルのロビーは衝動買いしやすい場所の代表と言える。したがって,Bはクーリングオフできる。 (4)正しい。お客さんが不動産の引渡しを受け,しかも,代金の全部を払ったときは,その時点でクーリングオフできなくなる。クーリングオフのことについて,宅建業者から全然告げられていないときでも同じだ。引渡しを受け,しかも,お金まで全額払ったということは,よくよく考えてのことだから,もはや衝動買いしたとは言えないからだ。 平成12年 [問 42]公共性による規制(一般) 次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 (1)宅地建物取引業者は,その業務に関する各事務所の帳簿を一括して主たる事務所に,従業者名簿を各事務所ごとに備えなければならない。 (2)宅地建物取引業者は,その業務に関する帳簿を,各事業年度の末日をもって閉鎖し,閉鎖後5年間当該帳簿を保存しなければならない。 (3)宅地建物取引業者は,その業務に従事する者であっても,アルバイトとして一時的に事務の補助をする者については,従業者名簿に記載する必要はない。 (4)宅地建物取引業者は,宅地建物取引業法第49条の規定に違反して業務に関する帳簿を備え付けなかったときでも,罰金の刑に処せられることはない。 平成12年 [問 42]正解(2) (1)誤り。宅建業には公共性があるので,業務に関する帳簿と従業員名簿を備えることになっている。パン屋さんや魚屋さんにはこんな義務はない。公共性からくるので,お上がキメ細かい監視をできるよう,業務に関する帳簿も従業員名簿も,両方とも「各事務所ごとに」備えなければならないことになっている。ひとまとめにして本店に備えるような大雑把(おおざっぱ)なことじゃダメだ。 (2)正しい。業務に関する帳簿は,各営業年度(各事業年度)の末日にまとめる(閉鎖する)ことになっている。その宅建業者の営業年度が4月から翌年3月までなら,翌年3月に業務に関する帳簿をまとめろ,ということだ。そして,業務に関する帳簿は,閉鎖後「5年間」保存しなければならない。5年間になっているのは,免許の有効期間が5年だからだ。5年経過し,お上が免許を更新してあげようかと判断する際に,5年間保存されてきた業務に関する帳簿の内容を参考にするのだ。 (3)誤り。従業員名簿(従業者名簿)には社長からアルバイトにいたるまで,すべての従業員(非常勤でも)を記載しなければならない。社長もアルバイトも,すべて公共性のある業務にたずさわっているからだ。 (4)誤り。業務に関する帳簿も従業員名簿も,両方とも,宅建業に公共性があるから備える帳面(ちょうめん)だ。そこで宅建業法は,これらに関する義務を守らなかった場合は,営業停止(業務停止処分)や罰金(20万円以下)を用意して,少しでも守らせようとしている。 平成12年 [問 43]監督処分 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)に対する監督処分に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか。 (1)Aが,乙県の区域内におけるAの業務に関し乙県知事から受けた業務停止の処分に違反した場合,乙県知事は,Aの免許を取り消すことができる。 (2)国土交通大臣は,Aに対し宅地建物取引業の適正な運営を確保し,又は健全な発達を図るため必要な指導,助言及び勧告をすることはあっても,Aの免許を取り消すことはできない。 (3)Aの取引主任者が,乙県の区域内におけるAの業務を行う場合に,取引主任者としての事務に関し著しく不当な行為をして乙県知事から指示の処分を受けたとき,乙県知事は,Aに対しても指示の処分をすることがある。 (4)乙県知事は,乙県の区域内におけるAの業務に関しAに対し指示の処分をした場合は,遅滞なく,その旨を甲県知事に通知しなければならない。 平成12年 [問 43]正解(1) 監督処分とは,悪い事や変な事をした宅建業者に,お上がお灸(きゅう)をすえるために行う,指示処分・業務停止処分・免許取消処分の3つの総称だ。 (1)誤り。免許取消は,免許を与えたお上だけができる処分だ。免許を与えていないお上は,与えていない者の免許を取り消すことなど絶対にできない。東京都公安委員会の運転免許を持った人が,大阪で重大な交通違反を犯した場合でも,その人の運転免許を取り消せるのは東京都公安委員会だが,それと同じだ。 (2)正しい。Aは,甲県知事の免許を受けているので,Aに免許を与えていない国土交通大臣は,Aの免許を取り消せない。 (3)正しい。取引主任者が取引主任者としての事務に関し著(いちじる)しく不当な行為をした(例:主任者証を提示しないで重要事項を説明した)場合は,取引主任者本人が指示処分を受けることがある。その場合,お上は,取引主任者を雇っている宅建業者に責任があれば,宅建業者に対しても指示処分ができる。なお,指示処分は免許を与えていないお上,つまり現場を管轄する乙県知事でもできる。 (4)正しい。現場を管轄する知事(乙県知事)が指示処分や業務停止処分をしたときは,すぐに,そのことを免許を与えたお上(甲県知事)に通知しなければならない。宅建業者に免許を与えたお上(甲県知事)に,その業者の素行(そこう)を把握(はあく)させるためだ。 平成12年 [問 44]担保(営業保証金) 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Aは,甲県知事の免許を受けた日から1月以内に,政令で定める額の営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託し,かつ,その旨を甲県知事に届け出なければ,事業を開始することができない。 (2)Aは,事業の開始後新たに事務所を設置したときは,2週間以内に政令で定める額の営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託し,かつ,その旨を甲県知事に届け出なければならない。 (3)Aは,宅地又は建物の売買契約を締結しようとするときは,当該契約が成立するまでの間に,相手方に対して,営業保証金を供託した供託所及びその所在地並びに供託金の額について説明しなければならない。 (4)Aが,営業保証金を金銭のみで供託している場合で,免許換えにより主たる事務所のもよりの供託所が変更したとき,Aは,遅滞なく,変更前の供託所に対し,変更後の供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。 平成12年 [問 44]正解(4) 宅建業者が扱う宅地・建物は高額なので,業者が倒産するとお客さんは莫大(ばくだい)な損害をこうむる。そこで宅建業法は,保証協会に加入していない者が宅建業を行うには,あらかじめ担保を供託所(法務局)に預ける(供託する)ことを要求している。この担保のことを営業保証金という。 (1)誤り。商売を始めるには,決められた額の営業保証金を本店のもよりの法務局(供託所(きょうたくしょ))に預け,しかも,そのことを免許をくれたお上に(甲県知事)に届け出なければならない。お上に「確かに供託しました」と届け出ることが,商売を始めるための絶対条件なのだ。そこで宅建業法は,「いつまでに供託しろ」という期限を決めていない。「1ヶ月以内」というのは出題者の作り話だ。期限など決めなくても,届け出なければ商売を始められないので,大丈夫なのだ。 (2)誤り。新しい事務所を開いたときも,最初と同じだ。新しい事務所で商売を始めるには,決められた額の営業保証金を本店のもよりの法務局(供託所(きょうたくしょ))に預け,しかも,そのことを免許をくれたお上に(甲県知事)に届け出なければならない。お上に「確かに供託しました」と届け出ることが,新しい事務所で商売を始めるための絶対条件なのだ。したがって,(1)と同じ理由で,宅建業法は,「いつまでに供託しろ」という期限を決めていない。「2週間以内」というのは出題者の作り話だ。 (3)誤り。営業保証金を供託することで商売している宅建業者は,契約が成立するまでの間に,お客さんに対して,営業保証金を預けた供託所(法務局)やその供託所の場所を説明しなければならない。業者が倒産した場合,お客さんがスムースに供託所に連絡できるようにするためだ。したがって,供託金の額(預けた額)については供託所にスムースに連絡することと無関係なので,説明が義務付けられていない。(3)は「供託金の額について説明しなければならない」と書いてある部分が,誤りだ。 (4)正しい。営業保証金の供託先は「本店(主たる事務所)のもよりの供託所」なので,本店が移転したことで,もよりの供託所が変われば,営業保証金を預ける供託所も変わる。この点について,今まで金銭だけで預けていたときは,すぐに(遅滞なく),前の供託所に対し,変更後の供託所への営業保証金の保管替(ほかんが)えを請求しなければならないことになっている。保管替えとは,帳簿操作だけで,前の供託所に預けたお金を変更後の供託所に預けたことにすることだ。今まで金銭だけで預けていたので,われわれが銀行預金を振り替えるのと同様に,実際に現金を動かさずに,預け先を替えることができるようになっているのだ。なお,免許換えとは,例えば,知事免許を受けた業者が2つ以上の都道府県の区域内に事務所を持つことになった場合に,国土交通大臣免許に換えることだが,免許換えの場合も本店が移転してもよりの供託所が変わることがあるので,今まで金銭だけで預けていたときは,保管替えを請求する必要がある。 平成12年 [問 45]担保(保証協会) 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入している場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (1)Aは,宅地建物取引業を行うに当たり保証協会へ加入することが義務付けられているが,一の保証協会の社員となった後に,重ねて他の保証協会の社員となることはできない。 (2)Aは,保証協会から弁済業務保証金の還付に係る還付充当金を納付すべき旨の通知を受けたときは,その通知を受けた日から2週間以内に,通知された額の還付充当金を保証協会に納付しなければならない。 (3)Aが,保証協会から特別弁済業務保証金分担金を納付すべき旨の通知を受けた場合で,その通知を受けた日から2週間以内に,通知された額の特別弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しないとき,Aは,社員の地位を失う。 (4)保証協会は,Aがその一部の事務所を廃止したため弁済業務保証金分担金をAに返還しようとするときは,弁済業務保証金の還付請求権者に対し,一定期間内に保証協会の認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければならない。 平成12年 [問 45]正解(2) 保証協会とは,そこに加入することで,宅建業者が営業保証金を供託したのと同じ保証を,お客さんに与えることができるようにするための,業界団体だ。 (1)誤り。保証協会に加入していない者が宅建業を行うには,あらかじめ営業保証金を供託所に供託すればよい。だから,Aは,宅建業を行うに当たり保証協会へ加入することが義務付けられているわけではない。なお,保証協会に加入した場合は,「重ねて他の保証協会の社員(会員)になることはできない」と書いてある点は,正しい。 (2)正しい。保証協会に加入している宅建業者が倒産したときは,保証協会が,お客さんに弁償することになっている。その弁償金を弁済業務保証金という。弁償金は他の業者の会費でまかなわれているので,倒産した業者は,保証協会が弁償した分を保証協会に返さなければならない。そのお金を還付充当金という。そして,還付充当金は,返せという通知を受けた日から「2週間以内」に納めなければならない。なぜ2週間以内か,というハッキリした理由は不明だが,営業保証金制度や保証協会制度では,「なるべく早く」ある行為をさせた方が妥当な場合,2週間以内という期限を付けることが多い。 (3)誤り。倒産した業者は,(2)で述べた還付充当金さえ払えない場合も多いだろう。そういう場合に備えて,保証協会は,ふだんから弁済業務保証金準備金というお金を積み立てて(供託して)おく義務がある。でも,倒産する業者が多く出たときは,その準備金さえ不足する。そこで宅建業法は,準備金が足りなくなったときは,すべての会員業者に対して,準備金不足を補う資金を徴収できることになっている。この資金のことを,特別弁済業務保証金分担金という。会員業者は急に言われても困るから「1ヶ月以内」に納付すればよいことになっている。(3)は2週間以内と書いてある点が誤りだ。なお,準備金不足を補うことは会員業者の義務なので,1ヶ月以内に納めない者は,保証協会から除名される(社員の地位を失う)ことになっている。 (4)誤り。宅建業者の会費(弁済(べんさい)業務(ぎょうむ)保証金(ほしょうきん)分担金(ぶんたんきん))は事務所の数によって決まっているので,業者が一部の事務所を廃止したときは,保証協会は,減った事務所の分の弁済業務保証金分担金を業者に返す必要がある。その場合,(4)に書いてあるようなオフレ(公告)を発する必要はない。このオフレは,弁済業務保証金(弁償金)を返してもらえるお客さんに名乗り出てもらうために発するが,業者が一部の事務所を廃止したときは倒産したわけじゃないので,名乗り出るお客さんはいないからだ。 したがって,公告は不要だ。 平成13年度宅建試験問題、解答・解説  平成13年度、惜しくも不合格だった方は、間違った点をそのままにしておかないようにしましょう。  また、初受験の方は、今年度受験のための参考にしてください。 「宅建必勝講座」へ 問1 [権利関係〜民法(共有)に関する出題] 問題  A・B・Cが、持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 1. Aが、B・Cに無断で、この建物を自己の所有としてDに売却した場合は、その売買契約は有効であるが、B・Cの持分については、他人の権利の売買となる。 2. Bが、その持分に基づいて単独でこの建物全部を使用している場合は、A・Cは、Bに対して、理由を明らかにすることなく当然に、その明渡しを求めることができる。 3. この建物をEが不法占有している場合には、B・Cは単独でEに明渡しを求めることはできないが、Aなら明渡しを求めることができる。 4. 裁判による共有物の分割では、Aに建物を取得させ、AからB・Cに対して適正価格で賠償させる方法によることは許されない。 解答・解説 正解:1 1.○  持分の処分は自由。他人の持分を勝手に処分することはできない。 2.×  共有者は持分に基づいて共有物の全体を使用することができる。その範囲であれば、他の共有者に明渡請求できない。 3.×  不法占拠者に対する明渡請求は保存行為であり、単独でできる。BもCもできる。 4.×  物理的に分割すると価値が無くなってしまうような場合、共有物を一部の者の所有とし、持分の価格を賠償するという方法も可能である。 “解答一覧へ戻る”へ 問2 [権利関係〜民法(錯誤)に関する出題] 問題  Aが、Bに住宅用地を売却した場合の錯誤に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 1. Bが、Aや媒介業者の説明をよく聞き、自分でもよく調べて、これなら住宅が建てられると信じて買ったが、地下に予見できない空洞(古い防空壕)があり、建築するためには著しく巨額の費用が必要であることが判明した場合、Bは、売買契約は錯誤によって無効であると主張できる。 2. 売買契約に要素の錯誤があった場合は、Bに代金を貸し付けたCは、Bがその錯誤を認めず、無効を主張する意思がないときでも、Aに対し、Bに代位して、無効を主張することができる。 3. Aが、今なら課税されないと信じていたが、これをBに話さないで売却した場合、後に課税されたとしても、Aは、この売買契約が錯誤によって無効であるとはいえない。 4. Bは、代金をローンで支払うと定めて契約したが、Bの重大な過失によりローン融資を受けることができない場合、Bは、錯誤による売買契約の無効を主張することはできない。 解答・解説 正解:2 1.○  錯誤(そうと認識していたら、そうしなかったであろう場合)がある場合でも、表意者に重大な過失がある場合は錯誤無効を主張することはできないが、本問はBに重過失なく、錯誤無効を主張できる。 2.×  錯誤無効は表意者保護の制度であり、表意者Bが主張しなければ、第三者は錯誤無効を主張できない。 3.○  それを買おうという意思を形作った「動機」について、その錯誤が無効となるかどうかについては問題であるが、動機が意思表示の内容となっていれば無効を主張できるとするのが判例。しかし、動機を相手に表示していないので、意思表示の内容となっておらず、無効を主張できない。 4.○  重大な過失があるので、錯誤無効を主張できない。 “解答一覧へ戻る”へ 問3 [権利関係〜民法(所有権―相隣関係)に関する出題] 問題  A所有の甲地は袋地で、Aが所有していない回りの土地(囲繞地(いにょうち))を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1. Aは、囲繞地の所有者に代償を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め、囲繞地に通路を開設することができる。 2. Bが、Aから甲地を譲り受けた場合には、Bは、所有権移転の登記を完了しないと、囲繞地に通路を開設することができない。 3. 甲地が、A及びCの共有地の分割によって袋地となったときには、Aは、Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。 4. 甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、袋地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設することができない。 解答・解説 正解:3 1.×  囲繞地について最も損害が少ない方法や場所を選ばなければならない。 2.×  囲繞地通行権は袋地についての登記がなくても主張できる。 3.○  その通りである。 4.×  土地を分割したことにより、袋地ができた場合、分割した他の土地を通行しなければならない。当該囲繞地が譲渡された場合もその土地を通らなければならない。 “解答一覧へ戻る”へ 問4 [権利関係〜民法(連帯債務)に関する出題] 問題  AとBとが共同で、Cから、C所有の土地を2,000万円で購入し、代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め、CはA・Bに登記、引渡しをしたのに、A・Bが支払をしない場合の次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1. Cは、Aに対して2,000万円の請求をすると、それと同時には、Bに対しては、全く請求をすることができない。 2. AとBとが、代金の負担部分を1,000万円ずつと定めていた場合、AはCから2,000万円請求されても、1,000万円を支払えばよい。 3. BがCに2,000万円支払った場合、Bは、Aの負担部分と定めていた1,000万円及びその支払った日以後の法定利息をAに求償することができる。 4. Cから請求を受けたBは、Aが、Cに対して有する1,000万円の債権をもって相殺しない以上、Aの負担部分についても、Bからこれをもって相殺することはできない。 解答・解説 正解:3 1.×  連帯債務者それぞれに対して、同時にあるいは順次に、債務の一部あるいは全部の請求をすることができる。 2.×  負担部分は、いわば内部関係であり、対債権者との関係ではそれぞれが全部についての責任を負う。 3.○  その通りである。 4.×  連帯債務者の1人が債権者に対して反対債権を有している場合、その連帯債務者が反対債権を行使しないときは、他の連帯債務者は負担部分について相殺できる。 “解答一覧へ戻る”へ 問5 [権利関係〜民法(物権変動・登記)に関する出題] 問題  AからB、BからCに、甲地が順次売却され、AからBに対する所有権移転登記がなされた。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 1. Aが甲地につき全く無権利の登記名義人であった場合、真の所有者Dが所有権登記をBから遅滞なく回復する前に、Aが無権利であることにつき善意のCがBから所有権移転登記を受けたとき、Cは甲地の所有権をDに対抗できる。 2. BからCへの売却後、AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻した場合、Aが解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に、その解除につき善意のCがBから所有権移転登記を受けたときは、Cは甲地の所有権をAに対抗できる。 3. BからCへの売却前に、AがAB間の契約を適法に解除して所有権を取り戻した場合、Aが解除を理由にして所有権登記をBから回復する前に、その解除につき善意のCがBから甲地を購入し、かつ、所有権移転登記を受けたときは、Cは甲地の所有権をAに対抗できる。 4. BからCへの売却前に、取得時効の完成により甲地の所有権を取得したEがいる場合、Eがそれを理由にして所有権登記をBから取得する前に、Eの取得時効につき善意のCがBから甲地を購入し、かつ、所有権移転登記を受けたときは、Cは甲地の所有権をEに対抗できる。 解答・解説 正解:1 1.×  無権利者からは権利を取得することができないので、Cは無権利者である。真の権利者は無権利者であるCに登記が無くても所有権を対抗することができる。逆にCはDに対して所有権を対抗できない。 2.○  契約の解除による原状回復により第三者(解除前に出現)を害することはできない。ここで第三者が保護されるためには不動産に関しては登記を得ていなければならない。登記を得たCはAに対して所有権を対抗することができる。 3.○  解除による原状回復と、解除後の第三者への物権変動は登記を先に得た方が優先するとされる。先に登記を得たCはAに所有権を主張できる。 4.○  BからEが時効取得した土地について、BがCに売却した場合は、登記を先に得た方が優先するとされる。先に登記を得たCはEに所有権を主張できる。 “解答一覧へ戻る”へ 問6 [権利関係〜民法(契約全般)に関する出題] 問題  契約当事者が死亡した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1. 委任契約において、委任者又は受任者が死亡した場合、委任契約は終了する。 2. 使用貸借契約において、貸主又は借主が死亡した場合、使用貸借契約は効力を失う。 3. 組合契約において、組合員が死亡した場合、当該組合員は組合契約から脱退する。 4. 定期贈与契約(定期の給付を目的とする贈与契約)において、贈与者又は受贈者が死亡した場合、定期贈与契約は効力を失う。 解答・解説 正解:2 1.○  その通りである。 2.×  使用貸借は借主の死亡によって終了するが、貸主の死亡によっては終了しない。 3.○  その通りである。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問7 [権利関係〜民法(抵当権)に関する出題] 問題  Aは、Bから3,000万円の借金をし、その借入金債務を担保するために、A所有の甲地と、乙地と、乙地上の丙建物の上に、いずれも第1順位の普通抵当権(共同抵当)を設定し、その登記を経た。その後甲地については、第三者に対して第2順位の抵当権が設定され、その登記がされたが、第3順位以下の担保権者はいない。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。 1. 甲地が1,500万円、乙地が2,000万円、丙建物が500万円で競売され、同時に代価を配当するとき、Bはその選択により、甲地及び乙地の代金のみから優先的に配当を受けることができる。 2. 甲地のみが1,500万円で競売され、この代価のみがまず配当されるとき、Bは、甲地にかかる後順位抵当権者が存在しても、1,500万円全額(競売費用等は控除)につき配当を受けることができる。 3. Bは、Aの本件借入金債務の不履行による遅延損害金については、一定の場合を除き、利息その他の定期金と通算し、最大限、最後の2年分しか、本件登記にかかる抵当権の優先弁済権を主張することができない。 4. Bと、甲地に関する第2順位の抵当権者は、合意をして、甲地上の抵当権の順位を変更することができるが、この順位の変更は、その登記をしなければ効力が生じない。 解答・解説 正解:1 1.×  共同抵当の場合、同時配当がなされるときは、各不動産の価格で按分して配当がなされる。抵当権者の選択によるのではなく、甲乙双方から配当を受けることになる。 2.○  その通りである。異なる時期に配当された場合である。 3.○  その通りである。 4.○  その通りである。抵当権の順位の変更をする場合は登記が効力要件となる。 “解答一覧へ戻る”へ 問8 [権利関係〜民法(代理)に関する出題] 問題  Aが、B所有の建物の売却(それに伴う保存行為を含む。)についてBから代理権を授与されている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 1. Aが、Bの名を示さずCと売買契約を締結した場合には、Cが、売主はBであることを知っていても、売買契約はAC間で成立する。 2. Aが、買主Dから虚偽の事実を告げられて売買契約をした場合でも、Bがその事情を知りつつAに対してDとの契約を指図したものであるときには、BからDに対する詐欺による取消はできない。。 3. Aが、買主を探索中、台風によって破損した建物の一部を、Bに無断で第三者に修繕させた場合、Bには、修繕代金を負担する義務はない。 4. Aは、急病のためやむを得ない事情があっても、Bの承諾がなければ、さらにEを代理人として選任しBの代理をさせることはできない。 解答・解説 正解:2 1.×  顕名がない場合でも、相手方がそれを知り、知ることができたときは顕名があったと同じ扱いとなる。売買契約はBC間で成立する。 2.○  その通りである。代理人が本人の指図に従って代理行為をした場合、相手方の詐欺について本人が騙されていなければ、詐欺による取消しを主張することができない。 3.×  建物の修繕=保存行為は本問の代理権の範囲内であるので本人に効果が及ぶ。Bは修繕代金を負担しなければならない。 4.×  任意代理の場合、やむをない事由がある場合や、本人の許諾があれば復代理人を選任することができる。 “解答一覧へ戻る”へ 問9 [権利関係〜民法(賃貸借)に関する出題] 問題  Aは、BからB所有の建物を賃借し、特段の定めをすることなく、敷金として50万円をBに交付した。この場合のAのBに対する敷金返還請求権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。 1. 賃貸借契約期間中でも、Bの返済能力に客観的な不安が生じた場合は、Aは、賃料支払債務と敷金返還請求権とを対当額にて相殺することができる。 2. 敷金返還請求権は、賃貸借契約と不可分であり、Aは、Bの承諾があったとしても、これをAの債権者に対して担保提供することができない。 3. 賃貸借契約が終了した場合、建物明渡債務と敷金返還債務とは常に同時履行の関係にあり、Aは、敷金の支払と引換えにのみ建物を明け渡すと主張できる。 4. Bは、Aの、賃貸借契約終了時までの未払賃料については、敷金から控除できるが、契約終了後明渡しまでの期間の賃料相当損害額についても、敷金から控除できる。 解答・解説 正解:4 1.×  敷金に関して賃貸借契約期間中、賃借人側から賃借人の敷金返還請求権と賃貸人の賃料支払請求権(=賃借人の賃料支払債務)を相殺することはできない。Aは相殺できない。 2.×  賃借人が敷金返還請求権を自己の債務の担保としてもよいとされる。 3.×  敷金の返還と建物明渡は原則同時履行の関係にない、とするのが判例である。Aは敷金の返還と引換えに明け渡すとの主張はできない。 4.○  その通りである。賃貸人は、賃貸借契約中の未払賃料分だけでなく、敷金から賃貸借契約終了後明渡しまでの賃料相当額を控除できるとされる。 “解答一覧へ戻る”へ 問10 [権利関係〜民法(不法行為)に関する出題] 問題   甲建物の占有者である(所有者ではない。)Aは、甲建物の壁が今にも剥離(はくり)しそうであると分かっていたのに、甲建物の所有者に通知せず、そのまま放置するなど、損害発生の防止のため法律上要求される注意を行わなかった。そのために、壁が剥離して通行人Bが死亡した。この場合、Bの相続人からの不法行為に基づく損害賠償請求に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 1. Bが即死した場合、B本人の損害賠償請求権は観念できず、その請求権の相続による相続人への承継はない。 2. Bに配偶者と子がいた場合は、その配偶者と子は、Bの死亡による自己の精神上の苦痛に関し、自己の権利として損害賠償請求権を有する。 3. Bの相続人は、Aに対しては損害賠償請求ができるが、甲建物の所有者に対しては、損害賠償請求ができない。 4. 壁の剥離につき、壁の施工業者にも一部責任がある場合には、Aは、その施工業者に対して求償権を行使することができる。 解答・解説 正解:1 1.×  即死の場合も、死亡した本人の損害賠償請求権を認め、さらに相続されるとする。 2.○  その通りである。 3.○  その通りである。建物の占有者が土地の工作物の設置等の瑕疵によって不法行為責任が認められる場合は、所有者は責任を負わない。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問11 [権利関係〜民法(相続)に関する出題] 問題  被相続人Aの相続人の法定相続分に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。 1. AとBが婚姻中に生まれたAの子Cは、AとBの離婚の際、親権者をBと定められたが、Aがその後再婚して、再婚にかかる配偶者がいる状態で死亡したときは、Cには法定相続分はない。 2. Aに実子がなく、3人の養子がいる場合、法定相続分を有する養子は2人に限られる。 3. Aが死亡し、配偶者D及びその2人の子供E、Fで遺産分割及びそれに伴う処分を終えた後、認知の訴えの確定により、さらに嫡出でない子Gが1人いることが判明した。Gの法定相続分は1/6である。 4. Aに子が3人あり、Aの死亡の際、2人は存命であったが、1人は既に死亡していた。その死亡した子には2人の嫡出子H、Iがいた。A死亡の際、配偶者もいなかった場合、Hの法定相続分は1/6である。 解答・解説 正解:4 1.×  CはAの子であるので、被相続人が離婚、再婚しても、法定相続分は消滅しない。 2.×  養子も法定相続人となるし、何人いても法定相続人となれる。相続税に関する規定と混同しないこと。 3.×  本問のような場合も法定相続分はなくならない。法定相続分はまず子と配偶者で1/2ずつ、さらに嫡出子と非嫡出子は2:1の法定続分となるので、E:F:G=2:2:1となる。したがってGの法定相続分は1/10。 4.○  その通りである。被相続人であるAが死亡した際に3人の子のうちの1人が死亡しており、さらにその子H、Iがいたとすると、死亡した子の法定相続分をHとIが代襲相続する。したがって、Aの子1人あたりの法定相続分が1/3、さらにそれをHとIで分けることになるので、1/6となる。 “解答一覧へ戻る”へ 問12 [権利関係〜借地借家法(借地)に関する出題] 問題  Aは、昭和46年(西暦1971年)8月、Bから、その所有地を、建物の所有を目的として存続期間30年の約定で賃借し、その後A所有の建物を同土地上に建築し、A名義の所有権保存登記をしてきた。この場合、借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1. 平成13年(西暦2001年)8月の契約更新時に、AB間の合意により、更新後の存続期間を10年と定めることができる。 2. 平成13年8月の契約更新時に、AB間の合意により、今回の更新は旧借地法によるものとするが、次回以降の更新は借地借家法本則によるものとする旨定めることができる。 3. Aは平成12年7月に再築のため建物を取り壊し、土地の上の見やすい場所に「旧建物を特定するために必要な事項、取り壊した日、建物を新たに築造する旨」を掲示した。この掲示が存続していれば、建物が未完成でも、平成13年8月時点で、Aは本件借地権を第三者に対抗できる。 4. 平成13年8月の契約更新後、更新期間満了前に、本件借地上のA所有建物が朽廃した場合、本件借地権は消滅しない。 解答・解説 正解:3 本問は昭和46年(1971年)8月の賃貸借契約であり、借地借家法(以下、「新法」とする)施行(平成4年8月1日)以前の契約である。これに原則としてそれ以前の借地法(以下、「旧法」とする)、の適用がある。 1.×  旧法では、更新後の存続期間は堅固な建物の場合少なくとも30年、非堅固な建物の場合少なくとも20年以上とされる。 2.×  旧法上の借地契約の更新に関して、旧法によるとされる。 3.○  借地権の対抗要件について借地上の建物の登記があれば借地権の登記がなくても、対抗できるとする。新法では、その後建物が滅失してもそれに代わる表示をすることにより2年間は対抗することができるとするが、旧法が適用となる場合でも新法施行以後の滅失であれば、新法同様の扱いを受けることができる。 4.×  旧法は、契約更新後の建物の朽廃により契約が終了する、としている。 “解答一覧へ戻る”へ 問13 [権利関係〜借地借家法(借家)に関する出題] 問題  賃貸人A(個人)と賃借人B(個人)との間の居住用建物の賃貸借契約に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。 1. Bが家賃減額の請求をしたが、家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは、Aは、その裁判が確定するまでの期間は、Aが相当と認める金額の家賃を支払うようにBに請求できる。 2. Bが家賃減額の請求をしたが、家賃の減額幅についてAB間に協議が調わず裁判になったときは、その請求にかかる一定額の減額を正当とする裁判が確定した時点以降分の家賃が減額される。 3. 家賃が、近傍同種の建物の家賃に比較して不相当に高額になったときは、契約の条件にかかわらず、Bは、将来に向かって家賃の減額を請求することができる。 4. AB間で、3年間は家賃を減額しない旨特に書面で合意した場合、その特約は効力を有しない。 解答・解説 正解:2 1.○  その通りである。 2.×  減額請求がなされた時点から家賃が減額されたものとして扱われ、差額に年1割の利息を付けて返還する必要がある。 3.○  その通りである。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問14 [権利関係〜不動産登記法(区分所有建物の登記)に関する出題] 問題  1棟の建物を区分した建物(以下この問において「区分建物」という。)についての登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1. 表示の登記がされていない区分建物を建築者から取得した者は、当該区分建物の表示の登記を申請する義務はない。 2. 区分建物の床面積は、壁その他の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。 3. 区分建物が規約による共用部分である旨の登記は、当該区分建物の登記用紙の表題部にされる。 4. 区分建物について敷地権の表示が登記されたときは、敷地権の目的たる土地の登記用紙の表題部に敷地権である旨の登記がされる。 解答・解説 正解:4 1.○  その通りである。 2.○  その通りである。 3.○  その通りである。 4.×  敷地権たる旨の登記は、相当区事項欄(敷地権が所有権であれば甲区、所有権以外であれば乙区である)。 “解答一覧へ戻る”へ 問15 [権利関係〜区所有法(規約)に関する出題] 問題  建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 最初に建物の専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、共用部分の全部について持分割合を定める規約を設定することができる。 2. 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約の設定、変更、又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者全員の承諾を得なければならない。 3. 管理者は、規約の定め又は集会の決議があっても、その職務に関し区分所有者のために、原告又は被告となることができない。 4. 管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないが、集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。 解答・解説 正解:4 1.×  最初に専有部分の全部を有する者は、公正証書によっていわゆる原始規約を作ることができるが、その内容は、規約共用部分を定める規約、規約敷地を定める規約、専有部分と敷地利用権の分離処分を認める規約、敷地利用権の割合に関して特別の定めをする規約であり、「共用部分の全部について持分割合を定める」規約は原始規約では作れない。 2.×  一部共用部分を共有すべき区分所有者及び議決権の各3/4以上の承諾があればよい。 3.×  規約の定めや集会の決議があれば、管理者は職務に関し原告又は被告となれる。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問16 [法令上の制限〜国土利用計画法(事前届出制)に関する出題] 問題  国土利用計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 監視区域内において一定規模以上の面積の土地売買等の契約を締結した場合には、契約締結後2週間以内に届出をしなければならない。 2. 市町村長は、当該市町村の区域のうち、国土交通大臣が定める基準に該当し、地価の上昇によって適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域を、期間を定めて、注視区域として指定することができる。 3. 監視区域内において国土利用計画法の規定に違反して必要な届出をせず、土地売買等の契約を締結した場合には、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。 4. 注視区域内においては、都道府県の規則で定める面積以上の土地売買等の契約を締結する場合に届出が必要である。 解答・解説 正解:3 1.×  監視区域内の土地売買等の届出は契約締結前になされなければならない。 2.×  注視区域を指定するのは原則として都道府県知事である。 3.○  その通りである。 4.×  届出対象面積は都道府県の規則ではなく、国土利用計画法の定めによる。 “解答一覧へ戻る”へ 問17 [法令上の制限〜都市計画法(地域地区)に関する出題] 問題  都市計画法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1. 用途地域に関する都市計画には、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合を定めることとされている。 2. 第一種低層住居専用地域に関する都市計画には、建築物の高さの限度を定めることとされている。 3. 第二種中高層住居専用地域に関する都市計画には、建築物の高さの最高限度及び最低限度を定めることとされている。 4. 特定街区に関する都市計画には、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めることとされている。 解答・解説 正解:3 1.○  その通りである。各用途地域の容積率を定めることとされている。 2.○  その通りである。いわゆる低層住居専用地域の絶対的高さ制限の規定により、高さの限度を定める。 3.×  建築物の高さの最高・最低限度は定めない。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問18 [法令上の制限〜都市計画法(開発許可制度)に関する出題] 問題  次に掲げる開発行為(都市計画法第4条第12項に定める行為をいう。以下この問において同じ。)のうち、同法による開発許可を常に受ける必要がないものはどれか。 1. 医療施設の建築を目的として行う開発行為 2. 農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築を目的として行う開発行為 3. 土地区画整理事業が行われている区域内において行う開発行為 4. 学校教育法による大学の建築を目的として行う開発行為 解答・解説 正解:1 1.○  常に受ける必要はない。 2.×  市街化区域の場合、農業用建築物という理由では許可が不要とはならない。 3.×  土地区画整理事業の施行として行われる場合は不要であるが、土地区画整理事業が行われている区域内ということでは許可が不要とはならない。 4.×  幼稚園、小中高等学校に関しては不要となるが、大学ということでは不要とならない。 “解答一覧へ戻る”へ 問19 [法令上の制限〜都市計画法(開発許可制度)に関する出題] 問題  都市計画法の開発許可に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 開発許可申請書には、予定建築物の用途のほか、その構造、設備及び予定建築価額を記載しなければならない。 2. 開発許可の申請は、自己が所有している土地についてのみ行うことができる。 3. 開発許可を受けた開発区域内の土地においては、開発工事完了の公告があるまでの間は、原則として、建築物を建築することができない。 4. 開発許可処分については、開発審査会の裁決を経ることなく、常に直接その取消しの訴えを提起することができる。 解答・解説 正解:3 1.×  予定建築物の構造、設備、予定建築価格については申請事項ではない。 2.×  自己が所有していなくてもよい。なお、権利者等の相当数の同意は必要である。 3.○  その通りである。 4.×  不服がある場合は、まず開発審査会に審査請求をして裁決を経なければならない。 “解答一覧へ戻る”へ 問20 [法令上の制限〜建築基準法(防火・準防火地域)に関する出題] 問題  防火地域又は準防火地域に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。 1. 防火地域内において、延べ面積が50m2の平屋建の附属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のものは、必ず耐火建築物としなければならない。 2. 準防火地域内にある木造建築物の外壁及びその軒裏で延焼のおそれのある部分は、防火構造としなければならない。 3. 建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合においては、その全部について準防火地域内の建築物に関する規定が適用される。 4. 防火地域又は準防火地域以外においても、建築物の高さが15mを超える建築物は、必ず耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。 解答・解説 正解:2 1.×  本肢の場合は、耐火構造とする必要はない。 2.○  その通りである。 3.×  全部について防火地域の建築物に関する規定が適用となる。 4.×  防火地域・準防火地域以外の区域に関し、本肢のような規定はない。 “解答一覧へ戻る”へ 問21 [法令上の制限〜建築基準法(道路に関する制限)に関する出題] 問題  建築基準法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 幅員4m未満の道路は、建築物の敷地と道路との関係において、道路とみなされることはない。 2. 第一種低層住居専用地域内においては、高さが10mを超える建築物を建築できる場合はない。 3. 建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合は、都市計画において定められた数値以下でありさえすればよい。 4. 商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物については、建築面積の敷地面積に対する割合の制限を受けない。 解答・解説 正解:4 1.×  都市計画区域等における建築物の敷地、構造及び建築設備に関する規定が適用されるにようになった際、現に建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁の指定したもの(いわゆる2項道路)については、建築基準法上の道路とみなされる。 2.×  いわゆる低層住居専用地域に関する絶対的高さ制限については10m又は12mのうちから高さの最高限度が選ばれることになるが、12mが選ばれた場合は10mを越えた建築物が建築されることがあるし、例外として、これらの制限が適用されない場合もある。 3.×  容積率は建物の敷地の前面道路(12m未満)の幅をもとにして計算した数値でも制限されることがある。あらかじめ地域ごとに定められた容積率の制限と比較して厳しい方が当該敷地の容積率の限度となる。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問22 [法令上の制限〜土地区画整理法(土地区画整理事業)に関する出題] 問題  土地区画整理法における土地区画整理事業に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 施行者が、道路法にいう道路の用に供する土地を、道路管理者の了解を得ることなく造成した場合でも、当該道路管理者は、施行者に対して、その造成費用の全部を支払わなければならない。 2. 施行者は、仮換地の指定を行うに当たっては、従前の宅地について抵当権を有する者に対して、仮換地について仮にその目的となるべき宅地又はその部分を指定しなければならない。 3. 換地処分があった場合、従前の宅地に存した未登記及び未申告の借地権は、その公告があった日が終了した時において消滅し、従前の宅地とみなされる換地について存続することはない。 4. 土地区画整理組合が成立した場合において、施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者はすべて組合員となるが、施行地区内の借家人は組合員とはならない。 解答・解説 正解:4 1.×  本肢の場合、造成費の全部の支払いは不要である。 2.×  抵当権は価値が把握されればよいので、特に場所が指定されなくてもよい。なお、地上権、永小作権等を有する者に対しては場所の指定が必要となる。 3.×  借地権(未登記・未申告)は従前の宅地とみなされる換地が指定されれば、当然には消滅しない。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問23 [法令上の制限〜農地法(定義、許可制)に関する出題] 問題  農地法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 現況は農地であるが、土地登記簿上の地目が「山林」である土地を住宅建設の目的で取得する場合には、農地法第5条の許可を要しない。 2. 農地法第3条又は第5条の許可を要する農地の権利移転について、これらの許可を受けないでした行為は、その効力を生じない。 3. 市街化区域内の農地を耕作目的で取得する場合には、あらかじめ農業委員会に届け出れば、農地法第3条の許可を要しない。 4. 農地法第4条の許可を受けた農地について、転用工事に着手する前に同一の転用目的で第三者にその所有権を移転する場合には、改めて農地法第5条の許可を要しない。 解答・解説 正解:2 1.×  現況が農地であれば農地として、転用目的での権利移動について第5条許可を要する。 2.○  その通りである。 3.×  第3条許可に関して、市街化区域内農地の場合の農業委員会への届出により許可が不要となる例外はない。 4.×  転用工事が終了していなければ、まだ現況が「農地」であり、これを転用目的で権利移動することに関して第5条許可を要する。 “解答一覧へ戻る”へ 問24 [法令上の制限〜法令一般(宅地造成等規制法、その他)に関する出題] 問題  次の記述のうち誤っているものはどれか。 1. 宅地造成等規制法によれば、宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の請負人は、工事に着手する前に、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 2. 生産緑地法によれば、生産緑地地区内において建築物の新築、改築又は増築を行おうとする者は、原則として市町村長の許可を受けなければならない。 3. 河川法によれば、河川保全区域内において工作物の新築又は改築をしようとする者は、原則として河川管理者の許可を受けなければならない。 4. 流通業務市街地の整備に関する法律によれば、流通業務地区において住宅を建設しようとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。 解答・解説 正解:1 1.×  造成主(請負の場合は注文者)が許可を受ける。 2.○  その通りである。 3.○  その通りである。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問25 [法令上の制限〜法令一般(都市計画法、建築基準法、民法)に関する出題] 問題  A所有の都市計画法による市街化区域内の宅地甲地(面積250m2)を、Bが取得した場合における次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. Bが甲地を盛土したうえで住宅を建築しようとするときには、都市計画法第29条の許可(開発許可)を受けなければならない。 2. 甲地が都市計画法による第一種住居地域に指定されているときは、建築基準法の規定によると、Bは、甲地に住宅の一部を喫茶店(店舗面積150m2)として使用する建築物を建築することができる。 3. 甲地にA所有の住宅が建っているとき、BがAに対してこれを除却するよう求めるためには、民法の規定によると、Bは、甲地の所有権移転登記を完了していなければならない。 4. 甲地と公道との間が建築基準法第42条第2項の規定により道路とみなされる私道(敷地はA所有)のみにより接続しているときには、Bは、甲地に住宅を建築する目的で同法第6条第1項の確認を受けるためには、当該私道の通行についてのAの承諾を必要とする。 解答・解説 正解:2 1.×  市街化区域内の開発行為については、1,000m2未満の場合は許可が不要である。 2.○  その用途に供される床面積が150m2以内の一定の飲食店であれば、第一種低層住居専用地域・工業専用地域以外で原則として建築が可能である。第一種住居地域でも可能。 3.×  Aは第三者ではないので登記は不要。 4.×  道路に接していればその私道の所有者の承諾がなくてもよい。 “解答一覧へ戻る”へ 問26 [税〜所得税に関する出題] 問題  租税特別措置法第41条の5の特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 譲渡資産とされる家屋については、譲渡をした年の1月1日における所有期間が10年を超えるものであり、かつ、その居住の用に供していた期間が10年以上であることが適用要件とされている。 2. 買換資産とされる家屋については、租税特別措置法第41条の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けないことが適用要件とされている。 3. 買換資産とされる家屋については、譲渡をした日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに取得するものであることが適用要件とされている。 4. 譲渡資産とされる家屋については、居住の用に供しているもの、又は居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものであることが適用要件とされている。 解答・解説 正解:4 1.×   特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除に関して、本肢の要件はない。 2.×  特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除といわゆる住宅ローン控除は、同時に使える。 3.×  譲渡日の翌年の12月31日までの取得で、かつ、取得日から翌年12月31日までに居住(の見込み)という要件はあるが、本肢のような要件はない。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問27 [税〜印紙税に関する出題] 問題  印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 地方公共団体であるA市を売主、株式会社であるB社を買主とする土地の譲渡契約書2通に双方が署名押印のうえ、1通ずつ保存することとした場合、B社が保存する契約書には印紙税が課されない。 2. 「平成13年5月1日作成の土地譲渡契約書の契約金額を1億円から9,000万円に変更する」旨を記載した変更契約書は、契約金額を減額するものであるから、印紙税は課されない。 3. 土地の賃貸借契約書で「賃借料は月額10万円、契約期間は10年間とし、権利金の額は100万円とする」旨が記載された契約書は、記載金額1,200万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。 4. 給与所得者である個人Cが生活の用に供している土地建物を株式会社であるD社に譲渡し、代金1億円を受け取った際に作成する領収書は、金銭の受取書として印紙税が課される。 解答・解説 正解:1 1.○  地方公共団体の作成する売買契約書は非課税であるが、地方公共団体と株式会社で契約書を作成して互いに保存している場合、株式会社の保存している方が地方公共団体の作成したものであるとみなされるので、非課税となる。 2.×  減額に関しては、金額の記載のないものとして扱われて課税される。 3.×  土地賃貸借設定契約書に関しては課税されるが、記載金額は賃料や敷金等返還される予定のないものについては含まれない。本肢は権利金の100万円が記載金額とされる。 4.×  作成者が営業者ではない場合、領収書に印紙税は課税されない。 “解答一覧へ戻る”へ 問28 [税〜不動産取得税に関する出題] 問題  不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 不動産取得税は、不動産の取得に対して、取得者の住所地の都道府県が課する税であるが、その徴収は普通徴収の方式がとられている。 2. 平成13年7月に中古住宅とその敷地を取得した場合、当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から1/2に相当する額が減額される。 3. 土地に定着した工作物又は立木はそれ自体では不動産取得税の課税対象とはならないが、土地と同時に取引される場合には、不動産取得税の課税対象となる。 4. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合、当該改築により増加した価格を課税標準として不動産取得税が課税される。 解答・解説 正解:4 1.×  不動産取得税の課税主体は、取得された不動産の存在する都道府県である。 2.×  類似の特例は課税標準に関してはあるが、税額についての減額はない。 3.×  不動産取得税は土地と家屋の取得に対して課される税である。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問29 [鑑定評価〜鑑定評価基準に関する出題] 問題  不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 不動産の価格を求める鑑定評価の手法は、原価法、取引事例比較法及び収益還元法に大別されるが、鑑定評価に当たっては、案件に即してこれらの三手法のいずれか1つを適用することが原則である。 2. 取引事例比較法とは、まず多数の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い、これらに係る取引価格に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた価格を比較考量し、これによって対象不動産の試算価格を求める手法である。 3. 収益還元法は、学校、公園等公共又は公益の目的に供されている不動産も含めすべての不動産に適用すべきものであり、自用の住宅地といえども賃貸を想定することにより適用されるものである。 4. 賃料の鑑定評価において、支払賃料とは、賃料の種類の如何を問わず貸主に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価をいい、純賃料及び不動産の賃貸借等を継続するために通常必要とされる諸経費等から成り立つものである。 解答・解説 正解:2 1.×  原価法、取引事例比較法、収益還元法の3つの方式を併用すべきとされる。 2.○  その通りである。 3.×  公益の目的に供される不動産以外の場合にすべて適用される。 4.×  本肢は実質賃料についての記述である。 “解答一覧へ戻る”へ 問30 [宅建業法〜免許に関する出題] 問題  次の記述のうち、宅地建物取引業法の免許を受ける必要のないものはどれか。 1. 建設業法による建設業の許可を受けているAが、建築請負契約に付帯して取り決めた約束を履行するため、建築した共同住宅の売買のあっせんを反復継続して行う場合 2. 地主Bが、都市計画法の用途地域内の所有地を、駐車場用地2区画、資材置場1区画、園芸用地3区画に分割したうえで、これらを別々に売却する場合 3. 地主Cが、その所有地に自らマンションを建設した後、それを入居希望者に賃貸し、そのマンションの管理をCが行う場合 4. 農家Dが、その所有する農地を宅地に転用し、全体を25区画に造成した後、宅地建物取引業者Eに販売代理を依頼して分譲する場合 解答・解説 正解:3 1.○  免許を要する。建物の売買の媒介(=取引)を業として行うため。 2.○  免許を要する。宅地(用途地域内の土地)の売買を当事者となって(=取引)業として行うため。 3.×  免許を要しない。宅地・建物の貸借の当事者となり、管理をするにすぎず、取引をしていないため。 4.○  免許を要する。宅地を分譲、つまり売買を当事者となって(=取引)業として行うため。 “解答一覧へ戻る”へ 問31 [宅建業法〜取引主任者に関する出題] 問題  宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に規定する取引主任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 都道府県知事は、宅地建物取引主任者資格試験を不正の手段で受験したため合格決定が取り消された者について、同試験の受験を以後5年間禁止する措置をすることができる。 2. 宅地建物取引主任者資格試験に合格した者でも、3年間以上の実務経験を有しなければ、法第18条第1項の登録を受けることができない。 3. 甲県内に所在する事務所の専任の取引主任者は、甲県知事による法第18条第1項の登録を受けている者でなければならない。 4. 宅地建物取引主任者証を滅失した取引主任者は、宅地建物取引主任者証の再交付を受けるまで、法第35条の規定による重要事項の説明をすることができない。 解答・解説 正解:4 1.×  受験が禁止されるのは3年以内で定められた期間である。 2.×  2年以上である。なお、国土交通大臣に同等以上の能力がある認められた者も登録を受けることができる。 3.×  別の県知事の登録を受けていても甲県内にある事務所の専任の取引主任者となることができる。 4.○  重要事項説明をする際に主任者証の提示が義務付けられているので、再交付を受けるまで説明できない。 “解答一覧へ戻る”へ 問32 [宅建業法〜取引主任者に関する出題] 問題  宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に規定する取引主任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 取引主任者は、法第35条の規定による重要事項の説明をするときに、その相手方から要求がなければ、宅地建物取引主任者証の提示はしなくてもよい。 2. 宅地建物取引業者は、10戸以上の一団の建物を分譲するために案内所を設置し、当該案内所において契約締結を行うときは、1名以上の成年者である専任の取引主任者を置かなければならない。 3. 取引主任者は、取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受けたときは、2週間以内に、宅地建物取引主任者証をその処分を行った都道府県知事に提出しなければならない。 4. 取引主任者は、法第18条第1項の登録を受けた後に他の都道府県知事にその登録を移転したときには、移転前の都道府県知事から交付を受けた宅地建物取引主任者証を用いて引き続き業務を行うことができる。 解答・解説 正解:2 1.×  重要事項説明の際の主任者証の提示は相手方からの要求がなくてもしなければならない。 2.○  その通りである。 3.×  事務禁止処分を受けた場合、主任者証は「速やか」に提出しなければならない。また、主任者証の提出先は主任者証を交付した知事である。 4.×  登録の移転により、旧主任者証は失効する。 “解答一覧へ戻る”へ 問33 [宅建業法〜営業保証金に関する出題] 問題  宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. 営業保証金の供託は、必ず、主たる事務所のもよりの供託所に金銭を供託する方法によらなければならない。 2. 新たに宅地建物取引業を営もうとする者は、営業保証金を供託所に供託した後に、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けなければならない。 3. 宅地建物取引業者は、営業保証金の還付が行われ、営業保証金が政令で定める額に不足することになったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければ、業務停止の処分を受けることがあるが、免許取消しの処分を受けることはない。 4. 宅地建物取引業者との取引により生じた債権であっても、内装業者の内装工事代金債権については、当該内装業者は、営業継続中の宅地建物取引業者が供託している営業保証金について、その弁済を受ける権利を有しない。 解答・解説 正解:4 1.×  有価証券を用いることもできる。 2.×  営業保証金の供託は免許を受けた後である。 3.×  本肢の場合は業務停止処分を受けることがあるが、情状が特に重ければ免許取消処分を受けることもある。 4.○  宅地建物取引業に関する債権ではないので、営業保証金から還付を受けることはできない。 “解答一覧へ戻る”へ 問34 [宅建業法〜業務規制に関する出題] 問題  宅地建物取引業者が、その業務に関して行う次の行為のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。 ア. 都市計画法による市街化調整区域内の土地について、「近々、市街化区域と市街化調整区域との区分(線引き)を定めることが都道府県の義務でなくなる。」と記載し、当該土地について、すぐにでも市街化区域に変更されるがごとく表示して広告すること イ. 定期建物賃貸借を媒介する場合に、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明において、期間の定めがない旨の説明を行うこと ウ. 建築に関する工事の完了前において、建築基準法第6条第1項の確認を受ける必要のある建物について、その確認の申請後、確認を受ける前に、当該確認を受けることができるのは確実である旨表示して、当該建物の分譲の広告をすること エ. 競売開始決定がなされた自己の所有に属しない宅地について、裁判所による競売の広告がなされた後、入札前に、自ら売主として宅地建物取引業者でない者と当該宅地の売買契約を締結すること     1. 一つ 2. 二つ 3. 三つ 4. 四つ 解答・解説 正解:4 ア.×  将来の利用に関して著しく事実と反するので、誇大広告の禁止に違反する。 イ.×  定期建物賃貸借に関しての説明は必要となる。期間があるのにないと虚偽説明することは宅建業法に違反する。 ウ.×  工事完了前にもかかわらず、必要な確認申請を受けていないので、広告開始時期の制限に反する。確実に確認を受けることができる旨表示しても違反である。 エ.×  宅建業者が自ら売主となって自己に属しない物件の売買契約をするのは宅建業法に違反する。当該物件について売主となる宅建業者が買い受ける契約(予約)を締結すれば違反しないことになるが、入札前はこれにあたらない。 以上から誤っているものは四つで4が正解。 “解答一覧へ戻る”へ 問35 [宅建業法〜37条書面の記載事項に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aは、宅地の売買を媒介し、契約が成立した場合、宅地建物取引業法第37条の規定により、その契約の各当事者に書面を交付しなければならないが、次の事項のうち、当該書面に記載しなくてもよいものはどれか。 1. 代金以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的 2. 当該宅地上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記載された所有者の氏名(法人にあっては、その名称) 3. 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容 4. 当該宅地に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容 解答・解説 正解:2 1.○  いわゆる37条書面の記載事項である。 2.×  いわゆる37条書面の記載事項ではない。なお、登記簿上の権利関係は説明すべき重要事項であり、重要事項説明書の記載事項である。 3.○  いわゆる37条書面の記載事項である。 4.○  いわゆる37条書面の記載事項である。 “解答一覧へ戻る”へ 問36 [宅建業法〜重要事項説明に関する出題] 問題  宅地建物取引業者が、マンションの1戸の賃貸借の媒介を行うに際し、宅地建物取引業法第35条の規定による重要事項の説明を行った。この場合、次の記述のうち、同条の規定に違反しないものはどれか。 1. マンションの所有者についての登記名義人は説明したが、当該マンションに係る登記されている抵当権については説明しなかった。 2. 敷金の額については説明したが、その敷金をどのように精算するかについては説明しなかった。 3. 建物の区分所有等に関する法律に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(その案を含む。)がなかったので、そのことについては説明しなかった。 4. マンションの管理の委託を受けている法人については、その商号又は名称は説明したが、その主たる事務所の所在地については説明しなかった。 解答・解説 正解:3 1.×  違反する。登記された権利の種類・内容、登記名義人は重説の内容である。抵当権が登記されている場合は説明の対象となる。 2.×  違反する。契約終了時に清算すべき金銭について、どのように精算するかに関しても説明の対象となる。 3.○  違反しない。規約やその案があれば説明の対象となるが、ないことについての説明は不要である。 4.×  違反する。マンション管理の委託先について、主たる事務所の所在地も説明の対象となる。 “解答一覧へ戻る”へ 問37 [宅建業法〜媒介(代理)規制に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aは、Bから住宅用地の購入について依頼を受け媒介契約を締結していたところ、古い空き家が建った土地(甲地)を見つけ、甲地の所有者とBとの売買契約を締結させ、又はさせようとしている。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1. Aは、Bが住宅の建設を急いでおり更地の取得を希望していることを知っていた場合でも、空き家について登記がされていないときは、Bに対して空き家が存する事実を告げる必要はない。 2. 甲地が都市計画法による第二種低層住居専用地域に指定されている場合で、その制限について宅地建物取引業法第35条の規定による重要事項の説明をするとき、Aは、Bに対して、低層の住宅が建築できることを告げれば足りる。 3. AがBに対して、甲地の現況を説明しようとする場合、Aが甲地の地中の埋設管の有無について土地利用状況の経歴、関係者への照会等の調査を実施したが判明せず、埋設管の無いことを断定するためには掘削その他の特別の調査が必要であるときには、Aは、その旨を告げれば足りる。 4. Bが甲地を取得し、自ら古い空き家を除去するつもりである場合で、媒介契約に特別の定めがないとき、Aは、Bが甲地を取得した後も、その空家の除去が完成するまでは、媒介報酬の支払を請求することはできない。 解答・解説 正解:3 1.×  説明すべき重要事項として法定されている事項でなくても、重要であればこれを告げなかったり、不実のことを告げた場合は宅建業法違反となる。更地の購入希望者に土地上の空き家の存在を告げないのはこれにあたる。 2.×  法令上の制限についてその概要も説明しなければならず、本肢の説明では足りない。 3.○  その通りである。 4.×  Bが甲地を取得できたので、報酬請求が可能である。 “解答一覧へ戻る”へ 問38 [宅建業法〜媒介(代理)規制に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aが、BからB所有の土地付建物の売却の媒介を依頼され、媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。 1. AB間で媒介契約が締結されたときは、Aは遅滞なく宅地建物取引業法第34条の2の規定に基づく媒介契約の内容を記載した書面を作成し、記名押印して、Bに交付しなければならない。 2. AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合、Aは契約の相手方を探すため、当該物件につき必要な事項を、媒介契約締結の日から休業日数を除き7日以内(専属専任媒介契約の場合は5日以内)に指定流通機構に登録しなければならない。 3. Aが当該物件を売買すべき価額に対して意見を述べるときは、Bに対してその根拠を明らかにしなければならない。 4. AB間の媒介契約が専任媒介契約である場合、その有効期間の満了に際して、Bからの更新の申出がなくても、その有効期間を自動的に更新するためには、当該契約の締結時にあらかじめBの承諾を得ておかなければならない。 解答・解説 正解:4 1.○  その通りである。媒介契約締結について締結後遅滞なく書面を交付しなければならない。媒介契約には媒介契約を結んだ宅建業者の記名押印が必要となる。 2.○  その通りである。専任媒介契約に関しては相手方探索のために指定流通機構への登録が義務づけられている。 3.○  その通りである。宅建業者が目的物の価格や評価額につて意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない(根拠は口頭でもよい)。 4.×  専任媒介契約の自動更新は認められない。 “解答一覧へ戻る”へ 問39 [宅建業法〜重要事項説明書面、契約書面に関する出題] 問題  宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買の媒介に際して相手方に交付する必要のある書面に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において、「重要事項説明書」又は「契約書面」とは、それぞれ同法第35条又は同法第37条の規定に基づく書面をいう。 1. 契約の解除については、特に定めをしなかったため、重要事項説明書にはその旨記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。 2. 代金の額及びその支払の時期については、重要事項説明書に記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。 3. 宅地及び建物の引渡しの時期については、特に定めをしなかったため、重要事項説明書にはその旨記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。 4. 移転登記の申請の時期については、特に定めをしなかったため、重要事項説明書にはその旨記載し内容を説明したが、契約書面には記載しなかった。 解答・解説 正解:1 1.○  その通りである。 2.×  代金の額や支払い時期については、重要事項説明書面には記載・説明が定められていない。契約書面には記載が必要とされる。 3.×  宅地及び建物の引渡の時期については、重要事項説明書面には記載・説明が定められていない。契約書面には記載が必要とされる。 4.×  移転登記の申請時期については、重要事項説明書面には記載・説明が定められていない。契約書面には記載が必要とされる。 “解答一覧へ戻る”へ 問40 [宅建業法〜弁済業務保証金制度に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に加入した場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 1. Aについて弁済業務保証金が還付された場合で、Aが、その還付された分に充当されるべき金額を、保証協会の通知を受けた日から2週間以内に保証協会に納付しないときは、保証協会の社員としての地位を失う。 2. Aは、保証協会に加入したときは、その加入の日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。 3. 弁済業務保証金について弁済を受けることのできる権利を有する者には、Aがチラシの制作を依頼し、代金が未払である広告代理店も含まれる。 4. 弁済業務保証金について弁済を受ける権利を有する者には、Aが保証協会の社員となる前にAと宅地建物の取引をした者は含まれない。 解答・解説 正解:1 1.○  その通りである。なお、還付が行われた場合、まず保証協会が通知された額を供託所に供託し、その上で社員に対して還付充当金の納付を通知する。 2.×  加入しようとする日まで(すなわち事前)に納付しなければならない。 3.×  還付を受ける権利を有するのは、宅地建物取引上生じた債権を有するようになった者である。チラシの制作の未払代金はこれにあたらない。 4.×  社員となる前に取引がなされていても還付の対象となる。 “解答一覧へ戻る”へ 問41 [宅建業法〜手付金(手付金等保全、特約)に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aは、自ら売主となって、宅地建物取引業者でない買主Bに、建築工事完了前のマンションを価格4,000万円で譲渡する契約を締結し、手付金300万円を受け取った。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。なお、この問において「保全措置」とは、同法第41条第1項の規定による手付金等の保全措置をいう。 1. Bが契約前に申込証拠金10万円を支払っている場合で、契約締結後、当該申込証拠金を代金に充当するときは、Aは、その申込証拠金についても保全措置を講ずる必要がある。 2. Aが手付金について銀行との間に保全措置を講じている場合で、Aが資金繰りに困り工事の請負代金を支払うことができず、マンションの譲渡が不可能となったときには、Bは、手付金の全額の返還を当該銀行に請求できる。 3. AB間の契約においては、「Aがマンションの引渡しができない場合には、当該手付金の全額を返還するので、Bの履行着手前にAが契約を解除してもBは損害賠償その他の金銭を請求しない」旨の特約をすることができる。 4. Aは、手付金300万円を受け取ったのち、工事中にさらに中間金として100万円をBから受け取る場合は、当該中間金についても保全措置を講ずる必要がある。 解答・解説 正解:3 1.○  保全の必要な手付金等は、契約締結後引渡までに授受される金銭で代金に充当されるものである。契約締結後に代金に充当されるので本問の申込証拠金(10万円)も手付金等となる。これに手付金として受領される300万円で手付金等の額は合計310万円となる。本問は代金4,000万円で未完成物件の売買に関するものであるので、手付金等の額が、200万円以下であれば(代金の5%以下、かつ、1,000万円以下)、保全措置は不要である。手付金等がこれを超えるので申込証拠金10万円も合わせて保全措置が必要である。 2.○  保全措置として銀行が委託を受け手付金等の返還債務の連帯保証人となるので、債務不履行が生じ契約が解除された場合に生ずる手付金等の返還請求について全額を請求できる。 3.×  手付けによる解除は、売主側からの場合、倍戻しが必要である。 4.○  保全すべき手付金等が分けて支払われる場合は、合計した額について不要となる場合に当たるかどうかを判断する。本肢の場合は中間金を受け取ると合計400万円となるので、保全措置は不要とならない。 “解答一覧へ戻る”へ 問42 [宅建業法〜宅建業者間の取引に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aが、自ら売主となり、宅地建物取引業者Bと建物の売買契約を締結しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば正しいものはどれか。 1. AがBから受け取る手付金の額が売買代金の2割を超える場合には、その手付金について宅地建物取引業法第41条又は第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じなければならない。 2. 買主Bも宅地建物取引業者であるので、AがBに対し手付金を貸し付けて契約の締結を誘引してもさしつかえない。 3. 売買予定の建物が、建築工事完了前の建物である場合には、Aは、建築基準法第6条第1項の確認の申請をすれば、Bとの売買契約を締結することができる。 4. AB間で、建物の譲渡価格について値引きをするかわりに、瑕疵(かし)担保責任の期間については、引渡しの日から6月間とする特約を結ぶ場合、この特約は有効である。 解答・解説 正解:4 1.×  宅建業者間の取引について、手付金等の保全措置は不要である。 2.×  手付金を貸与する等によって契約を誘引することは、宅建業者間の取引でも禁じられている。 3.×  契約締結時期の制限がはずれるためには、確認申請では足りず、確認がおりたことを要する。 4.○  宅建業者間の取引については、瑕疵担保責任の特約に関し、民法よりも買主に不利となる特約をすることもできるし、責任を負う期間に関し、引き渡しから2年未満とする特約もすることができる。 “解答一覧へ戻る”へ 問43 [宅建業法〜業務規制に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aが、自ら所有する土地を20区画の一団の宅地に造成し、これを分譲しようとしている。この場合、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1. Aが、現地案内所を設置して、そこで法第35条の規定による重要事項の説明をさせようとするときには、その業務を行うのは、専任の取引主任者でなければならない。 2. Aは、分譲の代理を、他の宅地建物取引業者Bに依頼した。Bは単独でその分譲のために現地案内所を設置したが、Aは、この案内所の場所について、法第50条第2項の規定による届出をしなければならない。 3. Aは、現地案内所を設置して、そこで分譲を行おうとしているが、当該案内所には、法第50条第1項による国土交通省令で定める標識(宅地建物取引業者票)を掲げなければならない。 4. Aが、法第15条第1項の規定により専任の取引主任者を置いて現地案内所を設置している場合に、当該案内所で買受けの申込みをした者は、申込みの日から起算して8日以内であれば、無条件で申込みの撤回をすることができる。 解答・解説 正解:3 1.×  重要事項の説明をする取引主任者は、専任の取引主任者でなくてもよい。 2.×  本肢の場合は案内所を設置するBが届出を行う。 3.○  その通りである。 4.×  まず、本肢の案内所が土地に定着するものであれば、事務所等での買受けの申込であり、クーリングオフできない。またそうでなかったとしても、目的物の引渡、かつ、代金全額の支払が終了すればできない。なお、クーリングオフができなくなるとする8日の起算点は書面でクーリングオフできると告げられた日である。 “解答一覧へ戻る”へ 問44 [宅建業法〜クーリングオフに関する出題] 問題  宅地建物取引業者でないAは、宅地建物取引業者Bに対し、Bが売主である宅地建物について、Aの自宅付近の喫茶店で、その買受けの申込みをした。この場合、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。 1. Bは、申込みの撤回ができる旨及び撤回の方法の告知は書面で行う必要があるが、口頭で告知した2日後に書面を交付した場合、申込みの撤回が可能な時期の起算日は、口頭での告知のあった日である。 2. Aは、申込みの撤回を書面により行う必要があり、その効力は、Aが申込みの撤回を行う旨の書面を発した時に生ずる。 3. 買受けの申込みに際して申込証拠金がAから支払われている場合で、Aが申込みの撤回を行ったとき、Bは、遅滞なくその全額をAに返還しなければならないが、申込みの撤回に伴う損害があった場合は、別途これをAに請求できる。 4. 申込みの撤回を行う前にAが売買代金の一部を支払い、かつ、引渡し日を決定した場合は、Aは申込みの撤回はできない。 解答・解説 正解:2 1.×  本肢の場合、書面の交付の日が起算日となる。 2.○  その通りである。 3.×  クーリングオフがなされた場合、売主は受け取っていた物があれば、遅滞なく返還する必要がある。また、クーリングオフによって損害が生じたとしても損害賠償を請求することができない。 4.×  代金の全部の支払い、かつ、引渡がなされた場合にはクーリングオフできなくなる。 “解答一覧へ戻る”へ 問45 [宅建業法〜業務規制に関する出題] 問題  次の行為のうち、宅地建物取引業者がしてはならないこととして、宅地建物取引業法の規定により禁止されているものは、いくつあるか。 ア. 正当な理由なしに、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らすこと イ. 自己の所有に属しない宅地又は建物について、宅地建物取引業法で定める一定の場合を除いて、自ら売主となる売買の予約を締結すること ウ. 宅地又は建物の貸借の媒介にあたって、その媒介に係る取引の当事者の双方と媒介契約を締結すること エ. 宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して、国土交通大臣の定める額をこえて報酬を受けること 1. 一つ 2. 二つ 3. 三つ 4. 四つ 解答・解説 正解:3 ア. 禁止されている。 イ. 禁止されている。 ウ. 禁止されていない。当事者双方と媒介契約を結ぶことは禁止されていない。 エ. 禁止されている。 以上より、禁止されているものア、イ、エは三つであり、3が正解となる。 “解答一覧へ戻る”へ 問46 [その他〜住宅金融公庫法に関する出題] 問題  住宅金融公庫の業務に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1. 住宅金融公庫は、自ら居住するため住宅を必要とする者のほか、親族の居住のために住宅を必要とする者に対して、融資を行うことができる。 2. 住宅金融公庫の融資を受けて住宅を建設した賃貸業者は、当該住宅を一定の他の賃貸業者に賃貸することができる。 3. 住宅金融公庫は、貸付金に係る貸付けの申込みの審査業務(貸付けの決定を除く。)について銀行に委託することができる。 4. 住宅金融公庫から融資を受けて建設した賃貸住宅の賃貸を行う者は、賃借人の資格は一定の基準に従わなければならないが、選定方法は任意に定めることができる。 解答・解説 正解:4 1.○  融資を受けられる(親族居住用住宅貸付制度)。 2.○  一定の要件を満たす他の賃貸事業者に賃貸することもできる。 3.○  審査の決定でなければ、審査業務を委託することができる。 4.×  選定方法についても、主務省令による基準に従う必要がある。 “解答一覧へ戻る”へ 問47 [その他〜不当景品類及び不当表示防止法に関する出題] 問題  宅地建物取引業者Aが行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。 1. Aは、建物の売買の媒介を依頼されたところ、当該建物は工事完成後10ヵ月が経過しているものの未使用であったので、当該物件を新築物件として販売広告してもよい。 2. Aは、駅から160mの距離にある宅地を、代理により売却するに当たり、「駅より徒歩2分、立地条件は万全です。」と販売広告してもよい。 3. Aは、自社所有の10区画の宅地の販売に当たり、インターネットを利用する方法で1ヵ月を販売期間とする旨の広告をしたところ、販売開始1週間で8区画を売却したが、販売期間中の表示の一貫性を考慮し表示の更新は行わなくてもよい。 4. Aは、工事中の建物をインターネットを利用する方法で販売広告するに当たり、他の建物の写真であっても当該建物と外観が類似するものであれば、他の建物の写真である旨明示することなく使用してもよい。 解答・解説 正解:1 1.○  公正競争規約によれば、建築後1年以内、かつ、未使用であれば「新築」と表示できる。 2.×  公正競争規約によれば、断定的に、「万全」等の全く欠けることがない、といった表現は不当表示となる。 3.×  公正競争規約によれば、インターネットで売却済みの物件について継続的に広告することは不当表示となる。 4.×  公正競争規約によれば、未完成物件に関して、他の規模・形質・外観が同一の建物の外観写真を使用することができるが、この場合、他の建物である旨を明示しなければならない。 “解答一覧へ戻る”へ 問48 [その他〜統計に関する出題] 問題  不動産の需給に関する次の記述のうち、最近5年間(平成8年から平成12年まで)の動向を述べたものとして、正しいものはどれか。 1. 地価公示(国土交通省)によると、全国平均の地価の毎年の下落率は、商業地のほうが住宅地よりも大きい。 2. 住宅着工統計(国土交通省)によると、全国の新設住宅の着工戸数は、持家系住宅(持家及び分譲住宅)より貸家系住宅(貸家及び給与住宅)のほうが多い。 3. 住宅・土地統計調査(総務省)によると、全国の住宅戸数は、総世帯数よりも少ない。 4. 地価公示(国土交通省)及び国民経済計算(内閣府)によると、全国平均の地価が下落した年には、実質国内総生産(GDP)も常に下落している。 解答・解説 正解:1 1.○  その通りである。 2.×  持家系住宅より貸家系住宅の方が少ない。 3.×  総世帯数より、住宅戸数のほうが多い。 4.×  一致しているとは限らない(平成11年には地価は下落したものの、GDPは上昇した)。 “解答一覧へ戻る”へ 問49 [その他〜土地に関する出題] 問題  土地に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1. 地すべりは、特定の地質や地質構造を有する地域に集中して分布する傾向が強く、地すべり地形と呼ばれる特有の地形を形成することが多い。 2. 土石流は、急勾配の渓流に多量の不安定な砂礫(されき)の堆積(たいせき)がある所や、流域内で豪雨に伴う斜面崩壊の危険性の大きい場合に起こりやすい。 3. まさ、しらす、山砂、段丘砂礫などの主として砂質土からなるのり面は、地表水による浸食には比較的強いため、簡易な排水施設の設置により安定を図ることが可能である。 4. 丘陵地を切土と盛土により造成した地盤の場合は、その境目では地盤の強度が異なるため、不同沈下が起こりやすい。 解答・解説 正解:3 1.○  その通りである。地すべりによって生じる地形は上部は急斜面、中部は緩斜面、下部は急斜面といった特有な形となる。 2.○  その通りである。 3.×  砂質土からなるのり面は浸食に弱い。しっかりとした排水施設が必要である。 4.○  その通りである。 “解答一覧へ戻る”へ 問50 [その他〜建物に関する出題] 問題  建築材料に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 1. 常温常圧において、鉄筋と普通コンクリートを比較すると、温度上昇に伴う体積の膨張の程度(熱膨張率)は、ほぼ等しい。 2. コンクリートの引張強度は、一般に圧縮強度の1/10程度である。 3. 木材に一定の力をかけたときの圧縮に対する強度は、繊維方向に比べて繊維に直角方向のほうが大きい。 4. 木材の辺材は、心材より腐朽しやすい。 解答・解説 正解:3 1.○  その通りである。 2.○  その通りである。 3.×  繊維方向の力に対する強度のほうが大きい。 4.○  その通りである。     平成14年・宅建本試験・ 宅建業法 -------------------------------------------------------------------------------- ●免許 〔問30〕 A (個人) の宅地建物取引業法の免許 (以下この問において「免許」と いう) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 1 Aが,競売により取得した複数の宅地を,宅地建物取引業者に媒介を依頼し売却 する行為を繰り返し行う場合,Aは免許を必要としない。 2 Aが,土地区画整理事業により造成された甲市所有の宅地を,甲市の代理として 売却する行為を繰り返し行う場合,Aは免許を必要としない。 3 Aが,組合方式による住宅の建築という名目で組合参加者を募り、A自らは組合員 となることなく,当該組合員による住宅の建築のため,宅地の購入の媒介を繰り返し行う 場合,Aは免許を必要としない。 4 Aが,賃貸物件の複数の所有者から一括して借上げ,賃借人に自らまたは宅地建物 取引業者に媒介を依頼し賃貸する行為を繰り返し行う場合,Aは免許を必要としない。 ●免許取引主任者 〔問31〕 取引主任者と宅地建物取引主任者証 (以下この問において「取引主任 者証」という。)に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法 (以下この問におい て「法」という。) の規定に違反しないものはどれか。 1 Aは,専任の取引主任者として従事していた宅地建物取引業者B社を退職し,宅地 建物取引業者C社に専任の取引主任者として従事することとなり,B社は宅地建物取引 業者名簿登載事項の変更の届出をAの退職から半年後に,C社はAの就任から10日後 に当該届出を行った。 2 Dは,宅地建物取引業者が業務に監視展示会を実施する場所であって,宅地又は 建物の売買の契約を締結する国土交通省令で定める場所 (業務に従事する者11名) における唯一の専任の取引主任者である。 3 Eは,自らが有する取引主任者証の有効期間が満了して半年になるが,宅地建物 取引主任者資格登録をしている都道府県知事が指定する講習を受講したので,当該 取引主任者証の更新の申請をせず,取引主任者としてすべき事務を行っている。 4 Fは,取引主任者として宅地の売買に係る法第37条の書面の交付を買主に対して 行い,その際,買主から取引主任者証の提示を求められたが,法35条の重要事項の 説明を行う際に提示していたので,これを拒んだ。 ●宅建業者 : 広告規制 〔問32〕 宅地建物取引業者Aが行う広告に関する次の記述のうち,宅地建物業 法の規定によれば、正しいものはどれか。 1 Aが宅地または建物の売買に関する広告をする場合,自己所有の物件で自ら契約 の当事者となる場合においては,取引態様の別を記載する必要はない。 2 Aが県知事からその業務の全部の停止を命ぜられた期間中であっても,当該停止 処分が行われる前に印刷した広告の配布活動のみは認められている。 3 Aは,土地付き建物の売買に係る広告に際し、建築基準法第6条第1項の建築確認 の申請中であれば,「建築確認申請中のため,建築確認を受けるまでは,売買契約は できません」と表示すれば広告をすることができる。 4 Aは,その業務に関する広告について著しく事実に相違する表示を行った場合,取 引の成立に至らなくとも,懲役又は罰金に処せられることがある。 ●還付 : 営業保証金、弁済業務保証金 〔問33〕 Aは,宅地の売買契約の解除に伴い,売主である宅地建物取引業者B (国土交通大臣免許) に対して手付金の返還請求権を有し,媒介業者C (甲県知 事免許) に対しては媒介報酬の返還請求権を有する。しかし,B,Cいずれも請求 に応じない。Bは営業保証金を供託所に供託しており,Cは宅地建物取引業保証 協会に加入していた。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述の うち誤っているものはどれか。 1 Aは,その権利を実行するため,Bに関しては営業保証金の還付を,Cに関しては 弁済業務保証金の還付を,同時に供託所に申し立てることができる。 2 Aは,営業保証金についてBに関する権利を実行する場合は,債権額,債権発生の 原因たる事実等を記載した一定の様式による書面の提出が必要である。 3 Aは,弁済業務保証金についてCに関する権利を実行する場合は,宅地建物取引 業保証協会の認証を受けなければならない。 4 Aの権利実行により,還付がなされた場合は,Bは国土交通大臣から通知を受けて から、Cは甲県知事から通知を受けてから,それぞれ2週間以内に不足額を供託しなけ ればならない。 ●媒介契約 〔問34〕 宅地建物取引業者Aが行う宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約 (以下この問において「媒介契約」という。) に関する次の記述のうち,宅地建物取 引業法 (以下この問において「法」という。) の規定によれば,正しいものはどれか。 1 法第34条の2に規定する依頼者 (以下この問において「依頼者」 という。)とは,宅地 建物取引業者でなて者をいい,同条の規定は,宅地建物取引業者相互間の媒介契約 については適用されない。 2 Aが依頼者と専任媒介契約を締結したときは,Aは法第4条の2に規定する契約内容 を記載した書面を依頼者に交付しなければならないが,一般媒介契約を締結したときは, 当該書面の交付をしなくてもよい。 3 専任媒介契約の有効期間は3月を超えることができず,3月より長い期間を定めたと きは,その期間は3月とされるが,当該有効期間は,依頼者の申出があれば,更新の時 から3月を超えない範囲で更新してもよい。 4 Aが依頼者に対して業務の処理状況を20日に1回以上報告することを定める専任 媒介契約が締結された場合であっても,依頼者の同意が得られているのであるから, 当該契約は無効とはならない。 ●宅建主任者の資格登録 〔問35〕 宅地建物取引主任者資格登録 (以下この問において「登録」という。) 又 は取引主任者に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正し いものはどれか。 1 甲県知事の登録を受けている取引主任者が,乙県に住所を移転し,丙県知事免許 を受けている宅地建物取引業者に勤務先を変更した場合,甲県知事を経由して乙県 知事に対し,登録の移転の申請をすることができる。 2 取引主任者が取締役をしている宅地建物取引業者が,不正の手段により宅地建物 取引業の免許を受けたとして,その免許を取り消されるに至った場合,当該取引主任者 はその登録を消除される。 3 取引主任者が勤務している宅地建物取引業者が,宅地建物取引業に関し不正な 行為をして業務停止処分を受けた場合,当該取引主任者は速やかに,宅地建物取引 主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。 4 取引主任者が破産者となり,自ら登録の消除を申請した場合,復権を得てから5年 を経過しなければ,新たに登録をすることはできない。 ●宅建業者の「事務所」 〔問36〕 宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という。) に規定する 「事務所」に関する次の記述のうち,法の規定によれば,誤っているものはどれ か。 1 「事務所」とは、本店又は支店やその他の政令で定めるものを指すものであるが, 宅地建物取引業を行わず他の兼業業務のみを行っている支店は「事務所」に含まれ ない。 2 新たに宅地建物取引業の免許を受けようとする者は,免許を受ける前に営業保証 金を主たる「事務所」のもよりの供託所に供託しなければならない。 3 宅地建物取引業者は,その「事務所」だけでなく国土交通省令で定める場所ごとに 一定の専任の取引主任者を置かなければならないが,これに抵触することとなった場合 は,2週間以内に必要な措置を執らなければならない。 4 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地の売買契約について,当該宅地建物取引 業者の「事務所」において契約の申込み及び締結をした買主は,法37条の2の規定に よる売買契約の解除をすることはできない。 ●重要事項説明 〔問37〕 宅地建物取引業者Aが行う宅地建物取引業法第35条の重要事項の説 明に関する次の記述のうち,同条の規定に違反しないものはどれか。 1 Aは,建物 (建築工事完了前) の売買の契約を行うに際し,建物の完成時における 主要構造部,内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造について の図面を渡したのみで,当該図面の説明はしなかった。 2 Aは,マンションの分譲を行うに際し,当該マンションの管理規約案に「分譲業者で あるAは当該マンションの未販売住戸の修繕積立金を負担しなくてもよい」とする規定 があったが,これについては説明しなかった。 3 Aは,中古マンションの売買の媒介を行うに際し、当該マンション修繕の実施状況 について、当該マンションの管理組合及び管理業者に確認したところ,修繕の実施状 況の記録が保存されていなかったため,購入者にこの旨説明し,実施状況については 説明しなかった。 4 Aは,建物の売買の契約を行うに際し,当該建物は住宅の品質確保の促進等に関 する法律の住宅性能表示評価を受けた新築住宅であったが,その旨説明しなかった。 ●重要事項説明と37条書面 〔問38〕 次の記述のうち,宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という) の規定によれば,正しいものはどれか。 1 法35条に規定する重要事項を記載した書面には,説明した主任者Aが記名押印し たが,法第37条に規定する書面には,Aが不在であったため,取引主任者でない従事 者Bが,Aの記名押印を行った。  2 法第37条に規定する書面は,宅地又は建物の取引に係る契約書とは本来別個の ものであるので,必ず取引の契約書とは別に当該書面を作成し,交付しなければなら ない。 3 法第35条の重要事項説明のうち,宅地建物取引業者の相手方等の保護の必要性 及び契約内容の別を勘案して国土交通省令で定められている事項は,宅地又は建物 の賃借に係る事項であり,売買に係るものは含まれていない。 4 法第35条に規定する重要事項を記載した書面には,説明した取引主任者Cが記名 押印したが,法第37条に規定する書面には,Cが急病で入院したため,専任の取引主 任者Dが自ら記名押印した。 ●監督処分 〔問39〕 宅地建物取引業者Aに対する監督処分に関する次の記述のうち,宅地 建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 1 Aが,宅地建物取引業法の業務に関して,建築基準法の規定に違反して罰金に処 せられた場合,これをもって業務停止処分を受けることはない。  2 Aは,自ら貸主となり,借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した 業務において,賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが,重要事項の説明を 行わなかった場合,これをもって指示処分を受けることはない。 3 都道府県知事は,Aに対し,業務停止処分をしようとするときは,聴聞を行わなけれ ばならないが,指示処分をするときは,聴聞を行う必要はない。 4 Aの取締役が宅地建物取引業の業務に関するものではないが,脱税し,所得税法 に違反したとして罰金刑に処せられた場合,Aは指示処分を受けることがある。 ●自ら売主の場合 : 手付金など保全措置・損害賠償金・解約 〔問40〕 宅地建物取引業者Aが,自ら売主となって宅地建物取引業者でない買 主Bと建物 (完成物件) を売買する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引 業法の規定によれば,正しいものはどれか。 1 Aは,Bの承諾を得ている場合は、契約自由の原則に則り,購入代金の額の2/10を 超える額の手付を受領できる。 2 Bが手付を支払った後,代金の一部を支払った場合は,Aは,手付の倍額を償還 することによる契約解除はできない。 3 AがBから受領した手付が代金の額の1/10を超え,かつ,1,000 万円を超える場合, Aは,いかなる場合も手付金等の保全措置を行わなければならない。 4 Aは,Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金 を契約条項に定めることができるが,これらの合計額が代金の額の2/10を超える場合 は,Bに不利になるので全額無効である。 ●自ら売主の場合 : 契約の総合問題 〔問41〕 宅地建物取引業者Aが,自ら売主となり,宅地又は建物を売買する場合 に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれ か。 1 買主Bとの売買契約において,物件が競売で取得した中古住宅であるため,現状有 姿とし瑕疵担保責任の期間を 「引渡しから半年まで」 と定めた契約書の条項は有効で ある。 2 買主Cとの未完成物件の売買契約において,手付金等を受領する場合,保証委託 契約による保全措置の対象は,代金の額の5/100を超え,かつ,この金額が1,000万円 を超える部分である。 3 買主Dとの未完成物件の売買において,宅地建物取引業法第41条に規定する手付 金等の保全措置が必要であるにもかかわらず,Aが当該措置を講じない場合は,Dは, 手付金等を支払わないことができる。 4 買主Eとの割賦販売契約において,「Eが割賦金の支払を40日以上遅滞した場合は ,催告なしに契約の解除又は支払時期の到来していない割賦金の支払を請求すること ができる。」と定めた契約書の条項は有効である。 ●販売委託・代理の場合の案内所等 (50条2項) 〔問42〕 宅地建物取引業者A (甲県知事免許) が,売主である宅地建物取引業 者B (甲県知事免許) から,120戸の分譲マンションの販売代理を一括して受け, 当該マンションの所在する場所以外の場所にモデルルームを設けて,売買契約の 申込みを受ける場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤って いるものはどれか。なお,当該マンション及びモデルルームは甲県に所在するもの とする。 1 Aは,モデルルームに自己の標識を掲示する必要があるが,Bは,その必要はない。  2 Aは,マンションの所在する場所に自己の標識を掲示する必要があるが,Bは,その 必要はない。 3 Aは,モデルルームの場所について,甲県知事に届け出る必要があるが,Bはその 必要はない。 4 Aは,モデルルームに成年者である専任の取引主任者を置く必要があるが,Bはそ の必要はない。 ●保証協会 〔問43〕 ,宅地建物取引業保証協会 (以下「保証協会」という。) に関する次の 記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 1 保証協会の社員は,宅地建物取引業者に限られる。 2 保証協会は,民法第34条に規定する財団法人でなければならない。 3 一の保証協会の社員が,同時に他の保証協会の社員となっても差し支えない。 4 保証協会は,弁済業務保証金分担金の納付を受けたときは,その日から2週間以 内に弁済業務保証金を供託しなければならない。 ●総合問題 〔問44〕 次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。 1 営業保証金の供託は,金銭のみならず,一定の有価証券をもって行うこともできるが, 営業保証金の不足額の供託は,金銭により行わなければならない。 2 宅地建物取引業者が廃業届を提出し,免許の効力を失った場合であっても,その者 は廃業前に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては,なお宅地 建物取引業者とみなされる。 3 宅地建物取引業者 (国土交通大臣免許) が,宅地建物取引業法第50条2項の規定 に基づき業務を行う場所の届出を行う場合,その所在地を管轄する都道府県知事を経 由しなくても直接国土交通大臣に対して行うことができる。 4 宅地建物取引業者 (甲県知事免許) が,乙県内で宅地建物取引業をいとなんでいる 場合,乙県知事は,取引の業務について必要な報告を求めることができるが,当該宅地 建物業者の事務所に立ち入り,帳簿の検査をすることはできない。 ●自ら売主 : 解除とクーリングオフ 〔問45〕 宅地建物取引業者Aが自ら売主として締結した建物の売買契約について ,買主が宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき売買契約の解除をする場 合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 1 宅地建物取引業者でない買主Bは,建物の物件の説明を自宅で受ける申し出を 行い,自宅でこの説明を受け、即座に買受けを申し込んだ。後日,勤務先の近くの ホテルのロビーで売買契約を締結した場合,Bは売買契約の解除はできない。  2 宅地建物取引業者でない買主Cは,建物の物件の説明をAの事務所で受け, 翌日,出張先から電話で買受けを申し込んだ。後日,勤務先の近くの喫茶店で売買 契約を締結した場合,Cは売買契約の解除はできない。 3 宅地建物取引業者である買主Dは,建物の物件の説明をAの事務所で受けた。 後日,Aの事務所近くの喫茶店で買受けを申し込むとともに売買契約を締結した場合 ,Dは売買契約の解除はできる。 4 宅地建物取引業者でない買主Eから売買契約の解除があった場合で,この契約の 解除が法的要件を満たし,かつ,Aが手付金を受領しているとき,Aは契約に要した費用 を手付金から控除して返還することができる。